五條 瑛 著 「熱氷」を読みました。
姉弟として育てられた朱音の突然の訃報を、氷山ハンター石沢恒星はカナダ沖の氷山採取船で聞く。
帰国後、朱音の遺児・光晴と心を通わせるが、光晴は誘拐されてしまう。
「俺は人は撃たない。撃つのは氷だけだ」
という石沢に、総理を狙うテロリストは、解放の条件として“仕事”を課した。
石沢は無事光晴を救う事ができるのか。
そしてテロリストが石沢に課した“仕事”とは。
息詰まる3日間の攻防・・・。
多くの人物が登場し、互いに絡み合います。
まっすぐで熱いけど、不器用な恒星。
その恒星に協力するお節介な武器屋のスワローとグースの兄妹。
人を食った印象のある滑川に、諦観のある殺し屋・野村。
その登場人物が皆一癖も二癖もあり、さらにストーリーが過去・現在と縦横に絡まってきます。
二点三点するストーリーも飽きることなく最後まで楽しめる一冊でした。
今年1月に”統括”の座をO島新任所長に譲り渡したハリケーン所長ですが、それで仕事を引退した訳ではありません。
いまでもしっかりとO島統括所長の後見役として「担当所長」という役職で事務所に留まっています。
あれは昨年の12月の事でした・・・。
”お~い、Hさん ちょっと来てくれ!”と所長室から呼ぶ声が・・・
何かと思い、いってみると・・・
”今日の夕方の部課長会議で使うから、この組織表を手直ししてくれないか。”
Hさんは事務屋さんではありませんが、生憎と他の事務員さんは手が離せないらしく、Hさんにそのお鉢が回ってきました。
”所長、どのように直したらいいのですか?”
”まず、1月からO島所長に「統括所長」になって貰うから、一番上にO島統括所長もってきてくれ。”
”あ、はい。判りました。”
”それから、その横に俺の名前を書いて、点線で繋いでくれ。”
”え、横にですか?”
”そう、横に名前を書いて、「担当所長」と書く。”
”「担当所長」ですか。 はい、判りました。”
”そしてその横にカッコを付けて、その中に役割分担を書くんだ。”
”そうだな、俺の役割は・・・”
”まず、現場は安全が基本だから「安全」は俺が見る!”
”それとお客さんに喜んで貰うには品質が大切だ。「品質」も入れておこう!”
”お客さんに喜んで貰っても、会社に利益を出さないとな。「原価管理」も入れておいてくれ。”
”はい、判りました。”
”おお!そうだ! 今の仕事はそれで大丈夫かも知れないが、次の仕事の準備も進めなきゃならないから、「営業」も入れておこう!”
こうして出来上がった組織表は・・・
O島統括所長・・・・ハリケーン担当所長(安全・品質・原価管理・営業)・・・・以下所員。
その日の夕方の部課長会議が終了して、ハリケーン所長は上機嫌で退社。
残った所員に向かって、O島統括所長が・・・
”まいったな。いったい俺は他に何をやればいいんだ?”
すると、傍にいたM副所長が、すかさず・・・
”後の責任だけは取れよ 、と云う事じゃないですか。”
そこにいた所員全員、納得・・・。
こうして、ハリケーンは”依然、その勢力を保ったまま。”なのでした。
と云う事で「陳麻家」で夜のおつまみメニューを美味しく頂いて1次会は終了。
外へ出て駅へと向かい始めましたが、1次会に遅れてきたO島新人所長はまだまだ飲み足りない様子。
偉大なる?ハリケーン所長の跡目を継いでから1ヶ月が過ぎ、なにせ部下のほとんどが自分より年上と云う事もあり何かと気苦労が耐えないようです。
K課長の心配り?もあり、2次会はストレス発散にカラオケでも行きましょう!と云う事になりました。
店はいつものカラオケ屋さん。
奥のボックス席ではどこかの会社のおじさん達のグループ(”ぞうさんチーム?”)が、すでにマイク片手に盛り上がっていました。
こうなると後から来てカウンター席に座った我々”うさぎさんチーム?”も負けてはいられません。
すかさず選曲!
まずは新曲大好きHさんが先陣を切ってデゴマスの新曲で、今は解散してしまった「サスケ」という男性デュオのカバー曲「青いベンチ」を熱唱!!
少し選曲が新し過ぎたようで、やや受けでした・・・。
続いて、O島所長も歌いましょう!とHさんが選曲してあげました。
その曲とは、かって大ヒットしたコミックソングの「金太の大冒険」。
「金太の大冒険」は、ラジオパーソナリティでシンガーソングライターだった”つボイノリオ”と云う人が1975年にリリースした10番までの歌詞から構成される曲です。
その歌詞は主人公である金太が悪人に追われて逃げてきたお姫様を救うストーリーが展開されます。
この歌詞の最大の特徴は・・・
金太は喧嘩はからっきしダメで ”負けが多い”
お姫様が金太を応援して ”負けるな”
金太はお姫様の美しさに気づき、瞳をぱちぱちと”またたいた”
途中でお腹が空いた二人は”マスカットをナイフで切って食べた”
さらに二人は逃げて安全な”マカオに着いた”
など、”金太”をそのフレーズの前に付けると口に出す事もはばかられる言葉になってしまう事です。
O島所長はこの歌が大好きらしくカラオケに行くと必ずと言ってよい程歌います。
しかも気持ち良さそうに・・・。
やがて、この歌を聴いていた”ぞうさんチーム”の人達もO所長と同世代だったのでしょうか、一緒に歌い始めました!
マカオに着いた二人は、知り合いの「神田さん」のビルを訪問。
お姫様はそのビルを見て,わりと”ましなビル”ね。と感想をもらす。
しかし中には誰もおらず、伝言板に神田さんが金太を待っているとの言付け
”金太 待つ 神田”が書かれていた。
かくして、店中で”キンタ○” の大合唱となったのでした。
歌い終わったO島所長の久々にストレスを解消したような”晴れ晴れとした顔”が印象的でした。
一昨晩はK課長からのお誘いで、一緒に夕食を食べに行く事に。
K課長の”夕食”とは、すなわち”飲み”です。
向った先は、先日HさんがK課長に坦坦麺と陳麻飯が美味しいお店と教えてあげた「陳麻家 渋谷宮益坂店」です。
このお店をいたく気に入ったK課長、前回は食事の後に夜勤の仕事があった為にビールを飲めなかったからと云う事で、今回は飲む気満々で入店。
酒の肴に「夜専用おつまみメニュー」を注文しましたが、この一品料理がかなり美味しい!!
さらに嬉しい事にどれも値段が安い!!
ビールをあっと云う間に飲み干した二人は、中華屋さんとくればやはり紹興酒と云う事でまずはスタンダードな5年物を注文。
そうこうしている間にO島新任所長も合流して、さらに話もはずみ、紹興酒は2本目の8年物に・・・。
こちらは水餃子。
皮はもちもちで、口に入れると肉汁がじゅわ~と広がってこれもなかなか美味しかった!
そしてこちらは店員さんから”目をつぶって食べると北京ダックのようですよ!”と一押しされた「油淋鳥」です。
確かに皮はパリパリで、その言葉に偽りなし!!
肉も柔らかくて本当に美味い!!
へたな居酒屋行くよりもここの方が全然いいね!と云うのが3人の一致した感想でした。
翌日、K課長が”あの店美味しいから食事に行こうよ!”とほかの人にも声を掛けていたのは云うまでもありません。
中学の頃にフィリップ・マーロウのようなクールな探偵になることを心に決め、とうとう脱サラして事務所を開いた「私」こと最上。
だが、来る依頼は動物の捜索ばかり。
おまけにとんでもない婆さんを秘書に雇うはめになった。
ふたりは逃げたペットの犬探しの折、本当の殺人事件に出くわす・・・。
ユーモアとハードボイルドミステリーが融合した作品。
序盤はハードボイルドを気取っているが、ハードボイルドになりきれていない最上と、ダイナマイト・ボディ(?)の押しかけ秘書の片桐綾のやり取りが笑えます!
しかし殺人事件に巻き込まれる中盤以降からはがぜん話がミステリータッチでスピーディに展開します。
そして最後にはほろっとさせる結末が用意されている・・・。
「荻原ワールド」全開の1冊です。
東野 圭吾 著 「夜明けの街で」を読みました。
渡部の働く会社に、派遣社員の仲西秋葉がやって来たのは、去年のお盆休み明けだった。
僕の目には若く見えたが、彼女は31歳だった。
その後、僕らの距離は急速に縮まり、ついに越えてはならない境界線を越えてしまう。
しかし、秋葉の家庭は複雑な事情を抱えていた。
両親は離婚し、母親は自殺。
彼女の横浜の実家では、15年前、父の愛人が殺されるという事件まで起こっていた。
殺人現場に倒れていた秋葉は真犯人の容疑をかけられながらも、沈黙を貫いてきた。
犯罪者かもしれない女性と不倫の恋に堕ちた渡部の心境は揺れ動く。
果たして秋葉は罪を犯したのか。
まもなく、事件は時効を迎えようとしていた・・・。
本の帯には「東野圭吾の”新境地”にして”最高傑作”」と書かれてありました。
これは面白そう!!
主人公は、妻帯者で平凡なサラリーマン。
「不倫なんて、馬鹿な男がするものだ」
と思っていた主人公が、どんどん派遣社員に惹かれてゆき、やがて不倫の仲になる。
その不倫相手が時効間近の犯人かも知れない・・・。
これぞ、「東野圭吾の最高傑作ミステリー!」と思いきや・・・
読み進めると、その内容は”ミステリー”と云うよりも「不倫」がテーマの”恋愛小説”といった趣でした。
確かに”新境地”かも知れませんが、”最高傑作”はないでしょう。
昨日は1月4日以来今年2回目となるゴルフへ行ってきました。
場所は前回と同じ栃木県の大倉カントリー倶楽部です。
大倉カントリー倶楽部は栃木ICから15分弱と比較的アクセスが良く、コースもさまざまに工夫がされていて面白みがあります。
なおかつ、プレー料金が安い割りには、空いていると云う理由から我々ゴルフ仲間内ではお気に入りのコースとなりました。
クラブハウスのカウンターには何故か木彫りの像とクラリネットの置物が・・・。
さてプレー開始。
アウトコースは全体的にゆるいやかな丘陵コースとなっています。
1月4日にプレーした時には48でホールアウトしました。
果たして今回は・・・。
1番ホール460ヤードPAR5。
ドライバーはまずまずの当たり! そして2打目で残り90ヤードにつけました。
さらにPWでのアプローチショットがピンそば30cmにピタリ!!
なんと!らくらくのバーディーです!!
1月4日以来、クラブを握っていないにも係らずバーディー発進!!
練習しないほうが調子がいいじゃん!!
続く、2番、3番ホールは3オン2パットのボギー。
これは40台前半で上がれるかも・・・。
しかしその後が続かない・・。
4番ホールからは3パットの連続・・・。
さらには上がりの9番ロングホールではバンカーのはしごをしてしまい9つの大叩き!!
アウトは結局上がってみれば52でした。
こちらはスーさんのまな弟子のY山さんのショット。
フィニッシュもしっかり取れていてなかなかさまになってます!
昼食は今日も前回と同じくラーメンで・・・。
気分を変えてインコースへ挑みます。
インコースは全体的に林間風でアップダウンがありトリッキーなコースが多い。
前回のラウンドでは58でさんざんでした。
今回は・・・
10番ホールはドライバーを左に引っ掛けてダボ発進・・・。
その後12番、13番ホールでパーを取って波に乗るかと思いきや14番でトリプル・・・。
さらに17番120ヤードのショートホールでバンカーに捕まり、寄らず入らずでまたしてもトリ。
結局、インコースは終わってみれば49。
今年2回目のゴルフはトータル101でホールアウトしたのでした。
3パットが7回、バンカーでの打数が6打では、100の壁はまだまだ破れそうもありません。
製作:2008年
出演:コリン・ファレル、ブレンダン・グリーソン、レイフ・ファインズ
クリスマス・シーズン。
ロンドンで一仕事終えた新人ヒットマンのレイは、ボスの指令でベテランのケンと一緒にベルギーのブルージュへ向かい、次の指示を待つことに。
ところが、神父を殺害した初めての仕事で偶然その場にいた子供を巻き添えにしてしまった一件を引きずり、罪の意識に苛まれるばかりのレイ。
そんな中、ケンはボスから密命を受ける。
それは、“レイを消せ”との指示だった。
しかし、ケンは実行の矢先、逆に自殺を図ってたレイを思いとどまらせ、抹殺未遂に終わる。
やがて、それを知ったボスが直接ブルージュに乗り込みレイを追跡、ボスを諫めようとするケン、追いつめられていくレイ、という三つ巴の駆け引きに発展していくのだが…。
子供を殺したことで苦悩するヒットマンとその仲間の末路を描く少しコメディータッチの作品です。
しかしコメディータッチと言ってもその視点はあくまでシニカル。
子供殺しに悩む男、仲間との付き合いを重んじる男、筋を通す男。
それぞれ三者三様に生きる男達。
舞台は中世の趣きをそのまま残すベルギーのブルージュ。
その街並みは美しくも少し暗い。
そこで安っぽい所から始まる素敵な恋愛や小人との友情もからめたストーリーが展開される。
コリン・ファレルがゴールデン・グローブ賞を取った、渋く粋な作品です。
この映画のお勧め度:☆☆☆☆
一昨晩は7年前に一緒に働いていた事務方のT内君が昨年一人目の子供が出来たと云う事で出産祝いを兼ねて食事会を行いました。
同じ頃にT内君と一緒に銀座の現場で事務員をしていた女性派遣社員のY田さんとも久々に顔を会わせて、当時の思い出話で盛り上がりました。
Y田さんは私の知る限りでは、たびたびパワハラをするハリケーン所長と対等に渡りあえた唯一の女子事務員さんでした。
ある時、ハリケーン所長が夕方出先から事務所へ電話をかけてきて、
”これからそちらに戻るから、晩メシを用意しとけ!”
と言われたY田さんは・・・
”私はあなたの奥さんじゃありません!!”
と言ってガチャっと電話を切ってさっさと帰ったとか・・・。
そんなY田さんは旦那さんの長期出張に同行して来月には中国へ行くそうです。
食事会の場所は渋谷駅東口から徒歩3分で今年1月20日にOPENしたばかりのイタリアンバール&トラットリア ACCESO(アチェーゾ)です。
40種類のワインと30種類のパスタが楽しめる”バール”と前菜からメインまでイタリアンを満喫できる”トラットリア”の2つの空間を併せ持つなかなか洒落たお店です。
店内はやはり女性のグループが多かった。
こちらが本日のコース料理の前菜”アチェーゾのタパス盛り合わせ”。
続いては、チーズたっぷりロメインレタスのシーザーサラダ と風船ピッツア”ボンバー”の生ハムとフォンデュチーズ添え 。
確かに爆発しそうな膨れ具合ですが、フォークで突き刺すと中身は空っぽでカリカリのピザ生地だけでした・・・。
このピザ生地に生ハムを乗せて熱々のチーズを付けるとマジうま!!
こちらは牛スジの辛旨い煮込みカラブリア風
それを自家製トマト風味のパンにつけて食べると、こちらも美味しい!!
続いて出てきたのは北海道モッツァレラチーズと茄子のトマトソーススパゲッティ”シチリアーナ”
さらにはモッツァレラチーズ・バジル・トマトの”ピッツァ マルゲリータ”も登場!
(こちらは写真を撮り忘れた・・・。)
この頃にはHさんのお腹はすでにパンパンですが、さらに料理は続きます・・・。
奥の都鶏のローストディアポロ風。
でもこちらのチキンもこんがりと焼けていてなかなか旨い!!
ここでトイレへ・・・。
トイレへ入るとなにやらいい香りが・・・。
トイレの中にアロマが焚かれていました。
そして〆のデザートは500円で4種類のケーキから選べます。
Hさんはティラミスとコーヒーを注文。
こちらもそんなに甘くなくてペロリといただけました。
今回いただいた「グスターレ(GUSTARE)コース」は飲み放題付きで4000円(料理のみだと2500円)。
なかなかコストパフォーマンスも良く、大満足のお店でした。
大藪 春彦 著 「野獣都市」を読みました。
ボクシングで鍛え引き締まった体、精悍で端正な容貌。
有間靖浩は、銃の修理や自動車のセールスで生計を立てる大学院生だ。
猟友である会社社長・石浜からの依頼が、男の胸にくすぶっていた野望に火を点けた。
麻薬組織から大量のヘロインを強奪。
不正を働く企業家からは大金を掠め取る。
女たちを利用し、死体の山を築きながら、疾走する欲望の終着駅とは・・・。
『蘇える金狼』『汚れた英雄』など日本における冒険小説、ハードボイルド、暗黒小説の先駆者の大藪 春彦作品でこの小説も過去に映画化されました。
主人公の有間がのし上がるために大量のヘロインを売買するという危険な戦いの中に身を投じる過程はそれなりに面白いです。
しかしその動機が説明不足で最後まで何の為に?と云う疑問が残りました。
またラストもちょっとあっけなくて、今ひとつ不満の残る作品でした