有川 浩 著 「塩の街」を読みました。
「塩害」により塩に埋め尽くされ、社会が崩壊しかけた東京で暮らす秋庭と、真奈。
2人の前を時に穏やかに、時に激しく人が行き過ぎる中で、2人の気持ちは徐々に変わりつつあった。
そして、2人の許へ訪れた1人の来客が秋庭と真奈、そして世界の運命を変えることとなる・・・。
有川 浩作品は『空の中』、『海の底』に続いて3冊目。
この作品を含めて「自衛隊三部作」と呼ばれているらしいのですが、実は本作が有川氏のデビュー作との事。
本作で云う「塩害」とは一般的にいう”塩害”とは違います。
「塩害」とは「宇宙からの巨大な塩化ナトリウムの結晶らしき謎の物体が次々と地球上に落下し、その結晶を視認したことにより人が感染・塩化し、死に至る病が広がっている怪現象」の事。
その怪現象があらわれ、人類は為す術もなく社会は崩壊していく。
生き残った人間は何をなすべきか・・・。
そんな世界を救うために立ち上がった男は、
実は、世界を救うなんて大層なことを考えていたわけではなく、
ただ好きな女の子を塩害で失うのが怖かった。
この世界に彼女がいるから・・・
ただそれだけの理由で男は世界全体を救ったのだった。
『空の中』、『海の底』に比べて緻密さはないものの、泣かせるストーリーで面白く読めました!