今野 敏 著 「触発」を読みました。
朝のラッシュで混雑する地下鉄霞ヶ関駅で爆弾テロが発生する!
死者5名。重軽傷者は300名を越える大惨事となった。
威信にかけ、捜査を開始する警視庁。
そんな中、政府上層部から一人の男が捜査本部に送り込まれてきた。
彼は陸上自衛隊ナンバーワンの爆弾のスペシャリスト・岸辺陸曹だった。
特殊な過去を持つ彼の前に、第二の犯行予告が届く!
はたして犯人の目的は、一体何なのか。
爆弾魔と爆弾処理のスペシャリストの対決を描いた小説です。
元外人部隊隊員の日本人テロリスト・戸上
カンボジア人の母を地雷で失った若き自衛隊員・岸辺
どちらも爆発物のプロという設定で好対照なキャラクターとなっています。
さらに二人を取り巻く警察・公安・自衛隊の対立や人間関係を舞台に、様々な葛藤が飛び交う。
最初の爆弾予告の電話を受けた刑事・碓氷。
内閣危機管理対策室の室長・陣内。
事件の真相の鍵を握る大学の助教授・若林。
そして、爆弾製作の描写がこれでもかというほどリアルに描かれる。
深みを増した上質なサスペンスで事件発生からラストまで、一気に読める一冊でした。