ばぶちの仕事しながら司法試験を突破し弁護士になりました

仕事をしながら司法試験に合格したばぶち(babuchi)の試験勉強記録+その後です。

積極的加害意思と攻撃の意思

2010年01月04日 23時26分35秒 | 刑法
積極的加害意思と攻撃の意思の違いが難しい。


Aは、日頃から仲の悪いBが攻撃を仕掛けてくると知り、これを利用して日頃の恨みを晴らそうと考え、怪我を負わせるためにナイフを携帯していた。

数日後、Aは道を歩いていると、待ち伏せしていたBが突然殴り掛かってきた。
そこで慌てたAは道に落ちていた石を思い切り投げつけ、Bの頭部に当たったため重傷を負った。




Aは積極的加害意思があるが、用意していたナイフを使わず、待ち伏せされていたため、その時点での急迫不正の侵害は予期なかったであろうが、防衛の意思は否定されるのだろうか?

積極的加害意思があっても攻撃の意思になるのだろうか?

おそらく、積極的加害意思の評価だと思います。

正当防衛に名を借りた攻撃とみなされるか否かが分岐点であると。

よって、この場合には、もともと積極的加害意思はあったが、本件急迫不正の侵害時には、これを認められる客観的事実はないため、正当防衛は否定されないといえそうです。

間接正犯の類型

2010年01月04日 22時03分06秒 | 刑法
間接正犯の正犯性の根拠は、行為支配説を採ります。

この場合であっても、その犯罪の故意ある者を利用した犯罪でも間接正犯として処罰しうるんですね。



目的犯における目的のない者を利用する場合
例えば、行使の目的を隠して他人に教材として偽札を造らせた場合

身分犯における非身分者を利用する場合
例えば、公務員が妻に賄賂を受け取らせた場合


このあたりは択一でよく出るので問題ないですね。



知らなかったのは次の類型

故意ある幇助行為の利用の場合
例えば、覚せい剤販売者と顔を合わせたくないために第三者に頼んで販売者から買ってもらう場合
又は、覚せい剤販売者が第三者に頼んで売ってもらう場合


使者として情を知りながら賄賂を届ける者や上司の命令で偽造文書と知りながら作成する場合も当たります。




行為支配説を採る場合でも、行為支配性はあるといえるのかなぁ。
因果経過を実質的に支配しているといえるんだろうか。


道具性としても、故意があり、反対動機の形成もあるのに、やっぱり道具なのだろうか。

共謀共同正犯の方がしっくりくるが、そのような見解はないようです。



こうすると殺害方法を事細かに考え、殺人を依頼しその通りに殺害した場合、殺人をした人は殺人の幇助犯という結論になるんでしょうね。

警察官への暴行

2010年01月04日 21時27分16秒 | 刑法
窃盗未遂犯が逮捕を免れる目的で警察官に暴行した場合、何罪が成立するか?














窃盗未遂犯も『窃盗』から除外すべき理由はなく、『窃盗』犯人足りうるし、窃盗の機会に暴行を加えているから、事後強盗罪を構成する。

さらに、窃盗未遂であるが、事後強盗罪は強盗罪と同視するから、財物の保護を主目的と考えて、窃盗未遂ならば、事後強盗未遂となると解する。

また、相手方は警察官であり、職務執行を妨害していることから、公務執行妨害罪も成立する。


したがって、両罪が成立し、観念的競合になる。