採用関係のまとめ
○企業の採用の自由
企業には採用の自由、雇用の自由があります(憲法22条、29条)。
雇い入れそのものを制約する根拠は、公序良俗違反に求められる。
そうすると、企業側の採用、雇用の自由は公序良俗違反にならない限り自由にして良いことになる。
○採用内定
採用内定の法的性質をいかなるものと考えるか。
これによって、採用内定取消が制約されるか否かにかかわるため、問題になる。
採用内定が出されることで、内定者は他の企業等への就職の機会を放棄し、会社は内定者を確保し、大学卒業によって就業(労務提供)を開始する旨を内容とした契約と考えられる。そして、採用内定取消事由に基づく解約権を留保していると考えられる。
とすると、採用内定の法的性質は、始期付解約権留保付労働契約と考える。
よって、採用内定の取消は、始期付解約権留保付労働契約の留保解約権の行使であるといえ、この解約申入れが解雇権濫用法理の類推適用によって、客観的に合理的であり、社会通念上相当と認められるかで判断する。
○試用期間
採用後の期限付きの労働契約を有期契約と見る場合には、期限満了によって契約関係は当然に終了する。
しかし、このように考えると、労働者にとって著しく不利な場合もある。
そこで、当事者の明確な合意があるなどの特段の事情のない限り、期限満了後は労働契約が継続する、試用期間であると考える。
そして、試用期間の法的性質は、当事者間の合理的意思の解釈、態様等を考慮すれば、解約権留保付労働契約と考える。
よって、試用期間満了時の本採用の拒否は、留保解約権の行使と考える。
とすれば、かかる解約権の行使は、試用期間の意義に鑑みて、採用時に判明しなかった事項に基づき解約権を行使することが、客観的に合理性があり、社会通念上相当と認められるかで判断する。