ばぶちの仕事しながら司法試験を突破し弁護士になりました

仕事をしながら司法試験に合格したばぶち(babuchi)の試験勉強記録+その後です。

平成23年度予備試験論文再現(商法)

2011年11月12日 10時02分04秒 | 商法
第1 設問1について
1 会社法368条1項は取締役会を開催する場合は、各取締役に招集通知をすることを要求しているが、本件ではこれを欠いている。この場合の取締役会の効力はどうなるか。
2 368条1項が取締役に招集を要求したのは、会社の所有と経営の制度的分離が規定され(331条2項等)、経営の専門家である取締役に経営権を付与し、その能力を発揮してもらうためにある。そして、取締役会は会社の重要な事項についての決議を行う場であり、出席の機会を確保し、検討、討論することを期待されている。
  よって、原則として招集通知を欠いた場合には無効というべきである。
  もっとも、招集通知があっても決議に影響のないという特段の事情がある場合には、決議は有効と考える。
3 本件においてBに対して招集通知を欠いている。
  しかし、本件取締役会のおける議題は、譲渡制限株式のX社に対する株式の譲渡に関する決議である。とすると、Bは譲渡人であり特別利害関係人であることから、議決に加わることはできない(369条2項)。これはBへの招集通知があったとしても決議に影響が無いという特段の事情に当たる。
  よって、本件取締役会の決議の効力は有効である。

第2 設問2について
1 X社は、自己が株主であるとして招集通知が来なかったのであり、Y社の株主総会決議の取消の訴え(831条1項1号)をして効力を争うことができるか。
2 X社はY社の株主であるというためには、株主名簿に記載されていなければならない(130条1項)が、X社は名義書換がされていない。
  しかし、株主名簿は会社に対する事務処理の円滑化を図ることから規定されているのであり、会社が不当拒絶等により拒絶している場合には会社を保護する必要はなく、株主名簿に記載されていなくても株主として権利主張をすることができると考える。
3 Y社は非公開会社であり、株式の全部が譲渡承認株式である(2条5号参照)。X社は譲り受けた株式が譲渡制限株式であることから、Y社に対して137条1項による株式取得者からの譲渡承認請求をY社に対して行っているにも関わらず、承認の通知がなされていない。
  145条1号は2週間以内に139条2項の通知をしなければならないが、請求をした3月15日から1ヵ月半以上も経過した5月2日に承認拒絶の通知をしている。X社は145条柱書但書のY社や他の人の買取請求をしていないため、145条柱書本文から承認の決定をしたものとみなすとなっており、X社が株主であることになる。
  にもかかわらず、株主名簿の書換を拒絶したことは、不当拒絶に当たり、Y社の主張は認められず、X社が株主である。
  そして、X社に対する招集通知を欠いたのであるから、X社は当該株主総会の決議に関し、その効力を争うことができる。

第3 設問3について
1 X社が譲渡代金の返還をBから受けて応じた場合、Aの自己株主になるとも考えられるが、145条柱書本文は株主とみなすと規定されており、X社が株主であるといえるのではないか。
2 145条柱書が規定したのは、本来株式は自由な譲渡がなされるはずなのに(128条)、譲渡制限株式を規定しているのであり、譲受人を保護すべく規定している趣旨と考える。
  とすると、保護されるべき株式譲受人がその権利、地位を放棄した場合には、145条柱書を適用して保護すべき必要性はない。
3 本件において、X社はBに株式売却代金の返還を受け、株主の権利、地位を放棄したのであれば、145条の適用はなく、X社は株主ではなくなる以上、本件株主総会決議の効力を争うことはできない。

以上



自己評価 B
評価 B


感想
設問1、2は題意に沿えた回答だと思います。
条文も丁寧にあげているし、145条柱書但書もあげられました。
設問3は、X社がBからの提案に応じたものだと考えました。問題の事案には、Aからの提案に応じようと考えたが、X社から拒絶されたため、Aの提案に応ずることができなかったとあり、Aの提案に応じるためには、X社は拒絶せず、譲渡代金の返還に応じたと考えられるからです。
しかし、設問3にはそのような記載はないことから、二重譲渡の場合を想定すべき、すなわち、X社が拒絶した場合を場合を分けしなければいけなかったのでしょう。

実質設問3は0点なのかも。

解いた時間は50分ぐらいです。
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