ばぶちの仕事しながら司法試験を突破し弁護士になりました

仕事をしながら司法試験に合格したばぶち(babuchi)の試験勉強記録+その後です。

論基礎解答力養成編刑法第1回突入 監督義務者(民714条)と近親者固有の慰謝料請求

2005年07月12日 01時48分22秒 | 刑法
先週末の土曜日、日曜日は雨も降りましたが、涼しくて過ごしやすかったのですが、今日から猛烈に暑くなりましたね。夏ですか~!

予定より早く民法を終わらせました。やっと刑法に突入です。

論文本試験の方は今週末に始まりますね。力の限り頑張って下さい。


以下の論証は似ている構成です。

監督義務者(714条)の責任
未成年者に責任能力あれば、監督義務者は責任を負わないか?
↓確かに
714条は「責任無能力者がその責任を負わない場合」とあり、反対解釈をすれば、未成年者に責任能力あれば監督義務者は責任を追わないかに見える。
↓しかし
これでは、被害者保護に欠ける。

思うに、714条、責任能力なき者の監督義務者に過失の推定を認めたに過ぎず、監督義務者の709条の責任を免除したものではない。
↓したがって
被害者が監督義務者の過失と損害発生の因果関係を立証さえすれば、709条の不法行為責任に基づき、損害賠償請求しうると解する。

被害者重傷の場合の近親者の慰謝料請求
被害者が重傷を負うにとどまった場合、被害者の近親者は、加害者に対して近親者固有の慰謝料請求できるか?
↓確かに
711条は死亡の際の近親者の慰謝料請求を認めているのであり、反対解釈をすれば被害者が重傷の場合には近親者の慰謝料請求は認められないかに見える。
↓しかし
被害者の負傷が重大な場合には、近親者は精神的苦痛を受けるため、固有の慰謝料請求権を認めるべき。

思うに、711条は、被害者が死亡した場合に、近親者は通常精神的苦痛を受けるため、近親者の立証責任を軽減した規定である。
↓よって
711条は、709条710条を除外する規定ではない。
↓もっとも
近親者の精神的苦痛は間接的なものであり、安易に不法行為の成立を認めると慰謝料請求権を広範にみとめることになりかねない。
↓したがって
被害者が負傷により、近親者の精神的苦痛が死亡と同視できる場合には、709条、710条に基づき慰謝料請求を認めるべきである。
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司法試験用六法と予定

2005年07月10日 01時50分50秒 | その他
今日は、司法試験用六法を買ってきました。民法が口語化されて見やすくなりましたね。
そうすると、商法や手形法のカタカナ表記が見づらく感じてしまいますね


さて、論基礎は解答力養成編(22回)はインプットでアウトプットには基礎答練(6科目各1回)と応用答練(科目によって6回~9回)があります。

論基礎講座(一括申込済)
インプット
応用論点編(全16回)
解答力養成編(全22回)
過去問解析編(全22回)
最新過去問解析編(全4回)
アウトプット
基礎答練(各科目1回の全6回)
応用答練(科目により6回~9回の全38回)

解答力養成編は「論文の森」という問題集を軸にして論文の書き方、流れ、主張、根拠、問題提起、論証、結論の妥当性、考察力等を勉強していくのですが、それと並行して応用答練を受けるのか悩んでいます。

応用論点編、解答力養成編、過去問解析編は全てカセットで送られてきており、全科目そろっています。
応用答練は現在憲法だけ届いています。
基礎答練は、各科目の解答力養成編を聞き終われば受けていく予定です。


選択肢としては、
(1)解答力養成編6科目を全部聞いた後に、応用答練を憲法から解く
(2)1科目ずつ終われば応用答練を解く
があると思います。

(1)の方法だと解答力養成編を6科目一気に聞いて憲法から応用答練を受けるので、2回論文の範囲を勉強することになります。しかし、解答力養成編(インプット)が終わっているので、後半はずっと論文作成の日が続くこと、再度憲法を覚えなおして応用答練に臨む必要があることになります。

(2)の方法だと科目ごとに応用答練を全部解くとなると1科目にかかる期間はすごく長くなるため、6科目目の時には憲法を忘れてしまいそうです。

どちらの方が効率と記憶の定着の面から優れているのか?
う~ん。悩み中です

今のところ(1)のやり方でやろうと考えています。多分、通学の方は(2)の方法で応用答練のスケジュールが流れているので、選択の余地はなさそうです。
#生講義じゃなければ(1)の方法も取れると思います。

とりあえず、民法があと少しなので、民法を終わらせることが先決なのは間違いないのですが…。

あと、過去問解析編(22回)、最新過去問解析編(4回)も残っています。

(1)の方法の場合の予定(1ヶ月間の詳細とそれ以降)
(以前立てた予定は既に達成できそうなので予定の前倒し)
民法は7月12日(火)までに講義を聴き終わること。基礎答練は3連休のどこかで。
刑法は7月13日(水)~7月31日(日)
商法は8月1日(月)~8月14日(日)(なぜか商法の問題集は問題が多いから間に合うか!?)
民訴法は8月15日(月)~8月28日(日)
刑訴法は8月29日(月)~9月11日(日)

仕事の夏休みは7月8月はほとんど取りません。9月の後半から10日間ぐらい取る予定です。この夏休み間に応用答練を頑張ってやる。
10月いっぱいを過去問解析編と応用答練
11月を最新論点編と択一の過去問を解き始める。
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悪徳商法  請負

2005年07月09日 00時54分01秒 | 民法
私の知り合いが去年悪徳商法にだまされていました。本人は気付かず…。購入業者をネットで調べたら被害に遭った多くの方々がいました…。
布団、指輪、絵、学習セットetc…。総額300万円以上。

こういう人のために補助人の制度を利用すれば良いですね。もっと早ければ被害も少なくて済んだのでしょうが…。今後遭わないためにも補助人の審判を受けるべきですね。これほど騙されて、気付かないほどの能力しかないのですから…。

最近はほんとに物騒な世の中になりましたね。銃こそ持ちませんが、詐欺まがい、脅迫まがいなど色々な手口の犯罪が氾濫しています。ネットで悪の手口が公開され、それを真似る者まで出てくる始末。悲しいですね。

請負
手抜き工事の建物を完成させた場合の注文者と請負人の関係

☆構成
・請負の担保責任
 売買の担保責任の特則、債務不履行の特則
・請負の担保責任の発生時期
 仕事完成後
・「完成」(632条)の意義
・損害賠償の範囲
 履行利益∵完全な仕事をすることが債務の内容
・損害賠償請求権と報酬債権の相殺
 原則から相殺不可∵自働債権に抗弁権付着
 修正して相殺可

請負の担保責任(634条以下)の追及と不完全履行責任(415条、541条)の追及のどちらが適用されるか?
本来なら売買の担保責任が準用される(559条)
↓にもかかわらず
634条以下で請負の瑕疵担保責任が規定
↓これは
請負には仕事内容の不完全さからも瑕疵が生じるため
↓したがって
634条以下は売買の担保責任の特則のみならず、債務不履行責任(415条)の特則でもあると解する。
↓よって
請負の担保責任の適用があれば、債務不履行一般の規定は除外されることになる。

請負の担保責任の発生時期は?
思うに、仕事が完成すれば請負人は目的物を引き渡す債務のみとなり、それ以降は仕事によって瑕疵の変化は生じない
↓したがって
仕事完成前は債務不履行責任、仕事完成後は担保責任の適用により処理されることになる。

「完成」(632条)の意義
仕事の完成前後により請負人に生じる責任が異なる。しかし、「完成」の意義が条文上明らかでないため問題となる。

思うに、軽微な瑕疵がある場合にも未完成として解除可としたり、建物の瑕疵が重大なため完成時を遅らせたりすることは、解除制限規定である635条の趣旨に反する。
↓したがって
「完成」とは予定された最終工程が一応終了した場合をいい、不完全な場合は修補がなければ完全なものにならないことに過ぎないと解する。

損害賠償の範囲
本問は建物であるため、解除不可(635条但書)

請負は、完全な仕事をすることが債務の内容であるため、その責任は瑕疵から生じる全ての損害についてまで及ぶ。
↓すなわち
履行利益の範囲まで及ぶ。
↓そして
本問については、修補は不可能であり、実質合理的な建替費用の全てとなる。

注文者の損害賠償請求権を自働債権、請負人の報酬債権を受動債権として相殺ができるか?
両債権は同時履行の関係にあるため(634条2項後段、533条)、抗弁権付着の自働債権は原則相殺不可(505条1項但書)
↓しかし
実質的には、損害賠償請求権は代金減額請求権
↓また
同一の原因関係に基づく金銭債権であり、現実履行の必要性もない
↓したがって
相殺は認められる。

#この場合、損害賠償の範囲は建替費用まで可能なので、
#報酬債権は消滅してさらに建替費用まで請求可能と思われる。
#すなわち建替費用=損害賠償額-報酬かな?
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557条1項解約手付、他人物賃貸借

2005年07月08日 01時07分07秒 | 民法
557条1項の「履行に着手する」の意義
契約実現を期待している者の利益と、解約を期待する者の利益を調整する必要
↓すなわち
履行の着手の有無が認識できなければ、解約を期待する者を害する
↓とすれば
履行の着手とは、客観的に外部から認識しうる形で履行行為の一部をなした場合、又は履行の提供をするために欠くことのできない前提行為が行われた場合と解する。
↓では
「当事者」の意義は?履行に着手した者も含まれるか、条文上明らかでなく問題になる。

思うに、557条1項の趣旨は、履行に着手した者は契約完了への期待を強く抱くため、解約の制限はかかる期待を保護する点にある。
↓したがって
履行に着手した者は含まれないと解する。

他人物賃貸借
所有権がないことを知りながら、賃貸借契約を結んだ場合の賃貸人と賃借人
☆構成
・他人物賃貸借契約(559条、560条)は有効
 錯誤無効(95条)の主張不可
 ∵賃借人にとって賃貸人の所有に属することが重要な要素ではない。
 詐欺取消(96条)は詐害行為が認められれば可
・担保責任(559条、561条)は賃借人が善意のみ
 法定責任説を採るため、信頼利益の範囲
・賃貸人に帰責性あれば、債務不履行責任(415条)
 解除、損害賠償請求
・不法行為に基づく損害賠償請求(709条)
賃料債務は当然に消滅
 ∵継続的に使用収益させる契約であり、履行不能でも賃料債務が存続することは均衡を失する。

信頼関係理論
思うに、賃貸借契約は当事者間の信頼関係を基礎とする継続的契約関係にある。
↓とすれば、
基礎となる信頼関係を破壊するような特別の事情がなければ、賃貸借契約を解除することはできないと解する。
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論基礎解答力養成編民法最終回第4回に突入

2005年07月07日 01時07分33秒 | 民法
最近、涼しくて快適ですね。雨は鬱陶しいですが…

最近飲み会が週1回以上開催されて、予定の変更を余儀なくされています。ちょっとブルーです。

瑕疵担保責任のとこをやりましたが、自分の理解は、まず特定物の担保責任の損害賠償請求は信頼利益。
瑕疵修補請求は原則不可、特別の事情があれば、損害賠償請求の代わりに請求可、という風に理解しているのですが、明確な答えが分かりかねています。
合っているのかなぁ…。不安です。

瑕疵担保責任
売主の過失なく、目的物である建物が一部滅失した場合

☆構成
・損害賠償請求できる構成
 不法行為(709条)、債務不履行(415条)、瑕疵担保責任(570条)
・瑕疵担保責任の法的性質
 法定責任説→信頼利益の範囲
・瑕疵修補請求
 原則:不可、例外:当事者間に特約ありといえる場合に信義則

売主に過失がないため、品質保証等の特約があれば格別、なければ、債務不履行責任(415条)は問えない。
↓また
不法行為もないため、不法行為に基づく損害賠償請求(709条)も不可。
↓そこで
売買契約の目的物たる当該建物は特定物であるため、特定物売買における瑕疵担保責任の追及(570条)として損害賠償請求が可。
↓では
その際の損害賠償請求の範囲はどこまで可能か、担保責任の法的性質と関係して問題となる。

思うに、特定物売買において、売主は目的物に瑕疵が存在しても現状のまま引き渡せば履行を果たしたことになる(483条)
↓しかし
買主は、瑕疵のない目的物を期待して代金を支払う。
↓とすると
等価的均衡が保てないことになり、買主を保護できない。
↓よって
担保責任は法が特別に売主に無過失責任を負わせたものと解する。
↓そして
瑕疵のない物は存在しないため、履行利益の範囲を観念できない。
↓また
売主に無過失責任を負わせたこととの均衡を考慮すべきである。
↓したがって
担保責任による損害賠償の範囲は、契約が有効であったならば被らなかった損害の範囲(信頼利益)と解する。
↓もっとも
当事者間に特約があるといえるような特別の事情があれば、この範囲を拡張することは当事者の合理的意思に合致するといえるため認められる。
↓では、
建物の瑕疵修補請求は認められるか。
↓確かに
特定物売買においては、現状のまま引き渡せばよく完全履行義務を負わないため、修補請求は認められないともいえる。
↓しかし
建物の売買において、当事者間に特約がなくても、買主は瑕疵のない目的物を受け取るという黙示の特約保証があるといえる。
↓よって
信義則上(1条2項)、買主は瑕疵修補請求が認められると解する。
↓そして
売主は建物の瑕疵修補能力や手配を簡単にできる立場にあるといえ、損害賠償請求をされることよりも不利であるとはいえないため、かかる結論は妥当である。
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偽の預金債権と貸付による相殺

2005年07月05日 01時12分16秒 | 民法
偽の預金債権と貸付による相殺
出資者と名義人が異なる定期預金を担保に貸付後の相殺
☆構成
・預金者は誰か?
 出資者保護の必要性 ∵銀行は預金者が誰であれ利害関係は影響しない
・相殺不可か?
 銀行が不利→債権者としての外観の信頼の保護する法的構成
・預金担保貸付と相殺
 定期預金の期限前払いとする弁済と同視、債権者としての外観の信頼
 →478条類推適用
・478条の主観的要件
 善意・無過失
 ∵真の権利者の帰責性を要求せずに債務者を保護する均衡上
 ∵他の表見法理の規定(480条等)との均衡
・478条の主観的要件の判断時期
 貸付時を基準
 ∵貸付時に定期預金を担保として、相殺適状になれば相殺しうるとの期待保護
・478条の類推時の注意
 銀行は定期預金担保貸付は強制履行ではないため、478条の主観的要件は厳格にあてはめ
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論基礎解答力養成編民法第3回の終了間近-相殺

2005年07月05日 00時54分16秒 | 民法
今日は、雨が降って外気温は涼しいというより寒かったです。

職場は普段はクーラーも高い温度設定で暑いのですが、今日に限っては快適でした。

論基礎講座を受講している際は、ルーズリーフを使用して答案構成と論証のまとめをしています。ルーズリーフはすぐになくなるので、100均で購入した80枚入りを使用しています。
おそらく択一後の2ヶ月ほどで、1個と3分の1を使った感じですので、100枚ちょっとぐらい書きまくっています。それでも1日平均だと1枚ちょっとになります。
覚えるというより理解するために書きまくっているので、びっしり書いているわけではありません。

ルーズリーフの数で勉強の質と量が決まるわけではないですが、論文試験前のみなさんは、もっと使用されているのでしょうか…?

予定の確認
論基礎解答力養成編の民法2回を日曜(7月3日)までに終わらせること!→終了!
民法下巻(基本15問+応用15問)を海の日の三連休(7月15日)までに終わらせること!
進行状況:民法下巻基本6問+応用6問終了
三連休に解答力養成編刑法に取り掛かり、民法の基礎答練を受けること!

相殺と差押え又は債権譲渡
☆構成
・相殺の担保的機能
 簡単な決済と無資力のリスクの回避
・差押えと相殺
 無制限説…弁済期の先後を問わない
・債権譲渡と相殺
 無制限説…債権取得原因は問わない

相殺の担保的機能とは、対立する債権・債務につき、その対等額の範囲内で、当事者が簡単に、かつ、相手方が無資力となっても確実に回収できるという機能をいう。
↓しかし
相殺は、債権の主体が変更され得る点で流動的であり、第三者に対する公示の法定手段がないため、外形からの認識は困難
↓よって
相殺権者の担保的機能への期待を保護すること、債権を差押え又は譲り受けた者が満足を得る機会の保護を比較衡量すべきである。
差押え
「その後に取得したる債権」(511条)の意義(事例は省略)

思うに、債権・債務の対立があれば、弁済期の先後を問わず、互いに相殺による決済無資力のリスクを回避しうるという期待を抱く。
↓とすれば、
弁済期の先後を問わず、相殺の担保的機能への期待を保護すべきである
↓したがって
511条の反対解釈から、差押以前に債権の取得があれば、相殺は可能と解する。
↓ただし
相殺の効果は意思表示により発生する。
↓したがって
第三者と相殺権者の優劣は意思表示の先後で決すると解する。

債権譲渡(事例は省略)
「譲渡人に対して生じたる事由」(468条2項)の意義

思うに、相殺権者の相殺に対して有する期待は、債権取得原因を問わない。
↓したがって
「事由」は広く解し、譲渡前に弁済期になくても、債権の対立があれば、「事由」に含まれ、債権譲渡されても相殺をなしうる。
↓ただし
第三者との優劣は意思表示の先後で決すると解する。
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異議なき承諾

2005年07月04日 01時05分33秒 | 民法
まとめの最後です

構成のみ書きます。

異議なき承諾
☆構成
・異議なき承諾(468条1項)の「事由」の範囲
 468条1項の「事由」と同じく広く解する。
 双務契約における反対給付の未履行
 相殺の債権・債務の対立があること
・常に異議なき承諾により主張を封じられるか
・468条1項の趣旨
 異議なき承諾という観念の通知に一種の公信力を付与
 譲受人が悪意又は有過失なら保護されない
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譲渡禁止特約付債権

2005年07月04日 00時56分25秒 | 民法
譲渡禁止特約付債権(466条2項)
☆構成
・譲渡禁止特約の法的性質
・譲渡禁止特約付債権が有効になる場合
・「善意」の第三者

譲渡禁止特約付債権を譲渡した場合

思うに、466条2項の趣旨は、債権者が不明確になり、過誤払いの危険が発生することを防止する点にある。
↓とすれば、
債務者は債権者に対して債務不履行責任を追及しうるだけでなく、物権的効力として譲渡自体が無効であると解すべきである。
↓しかし
「善意」の第三者には対抗できない(466条2項但書)。

この「善意」には有過失者も含まれるか、明らかでなく問題となる。

思うに、債権は自由譲渡が原則である(466条1項)。
↓そして、
譲渡禁止特約付債権であるかどうかは、当事者間の特約であり、公示も不完全である。
↓よって
外観を信頼した第三者を保護する必要がある。
↓もっとも
重過失者は悪意と同視できるため、保護不要と解する。
↓したがって、
466条1項但書の「善意」には、善意・無重過失の第三者を保護する規定であると解する。

譲渡禁止特約付債権の譲渡における債務者の承諾
☆構成
・債務者の承諾の効果
・債務者の承諾により害される第三者の保護

譲渡禁止特約付債権が債権者から第三者に譲渡された後、債務者が承諾をした場合、どのような効果が生じるか。

思うに、466条2項の趣旨は、債権者が不明確になり、過誤払いの危険が発生することを防止し、債務者を保護する点にある。
↓とすれば
保護されるべき債務者が承諾しているため、有効である。
↓そして
これらの法的構成は、処分権を有しない債権者が譲渡しており、無権代理人の行為と類似しているいえ、債務者の承諾は無権代理人の無効行為の追完(116条類推)であるといえる。
↓よって、
債務者の承諾により、遡及的に譲渡は有効になる。
↓ただし、
第三者を害する場合は、遡及効を制限する必要がある。
↓したがって
債務者の承諾前に利害関係を有するに至った者は、116条但書を類推適用して保護されると解する。
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債権者代位権と二重譲渡の劣後譲受人への480条(準占有者)の適用の可否

2005年07月04日 00時39分02秒 | 民法
今日は、まとめをドバーっと書きます。

債権者代位権(423条)のまとめ
趣旨について
債務者の一般財産は差押えがない限り、管理や処分をするのは債務者の自由。
↓しかし
債務者の有する債権の不行使により債権者を害するおそれがある。
↓よって
一般財産を保全する目的で規定
↓次に
優先弁済効について

代位債権者が第三債務者から受け取った金銭の債務者への返還債務と自己の有する債務者への債権とを相殺することを認める。
↓これは、
本来の責任財産保全の目的と相反するが、制度の不備として認められている。
↓次に、
債権者代位権の転用(目的物が特定債権)はどのような場合に認められるか?

代位行使を認める必要性があり、第三債務者は履行の義務を負っている以上、不測の存在はない。
↓また、
条文上も金銭債権に限定していない。
↓そして、
特定債権の保全と無資力は無関係であるため、無資力要件は不要である。
↓最後に
自己への引渡し請求は認められるか?

本来、責任財産保全の目的としているため、債務者への履行がされれば、目的は達成される。
↓しかし
金銭やその他の引渡を被保全債権としている場合には、債務者が受領を拒否すれば債権者代位権の目的が達成できない。
↓そこで
かかる債権の場合には、例外的に直接自己への請求は認められると解する。

二重譲渡の劣後譲受人への478条(準占有者)の適用の可否
二重譲渡において、対抗要件で劣後する譲受人への弁済をした場合に478条の準占有者への弁済として債務者は保護されるか?
↓この点
対抗要件制度(467条)により優劣が決定したはずなのに劣後譲受人を保護することは、対抗要件制度を没却するため、認められないかにみえる。
↓しかし
478条は優劣関係を覆すのではなく、弁済後も不当利得による処理も可能
↓よって
467条に反せず、劣後譲受人も478条の準占有者に当たる。
↓もっとも
478条は表見法理として弁済者を保護するため、480条との均衡上、善意・無過失を要件とする。

かかる要件は、裁判所の転付命令を信頼して弁済した場合には、過失あるとして認められないなど、厳しい要件であるため、かかる結論は妥当である。
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契約関係にない当事者の一方が損害を与えた場合

2005年07月03日 23時47分02秒 | 憲法
都議会議員選挙の投票は、無事終了しました。

今日は、気温も低く涼しかったので、よく集中できたので結構進みました
ちょっと書き方を変えて、まず、まとめ的な構成のあと流れ文章を書きました。

契約関係のない当事者と履行補助者
契約関係にない当事者の一方の履行補助者の過失により損害を被った場合、何ら請求できないか?
☆構成
・不法行為責任(715条)
 被害者に不利な面
・契約責任(415条)
 一定の特別な社会的接触関係にあるならば、安全配慮義務が認められるべき
・履行補助者の故意・過失→報償責任の原則
・不法行為と契約責任のどちらを主張

契約関係にない当事者の一方の履行補助者の過失により損害を被った場合、何ら請求できないか?
↓まず
使用者責任に基づく不法行為責任(715条)。

履行補助者の過失と損害との間に相当因果関係あれば認められる。
↓しかし
かかる構成は、消滅時効、故意・過失の挙証責任等の面において債権者に酷である場合がある。
↓では、
使用者に契約責任(415条)が認められないか?

思うに、ある契約関係が存在するならば、当事者間には相手方の身体・生命の安全を配慮する義務を信義則上(1条2項)当然に負うと解する。
↓とすれば、
契約関係がなくても、一定の特別な社会的接触関係にあるならば、かかる義務を認めるべきである。
↓では
その履行補助者の故意・過失により被った損害についても請求できるか?

思うに、債務者は履行補助者を使用することで、自己の活動範囲を拡大し、利益を得ている以上、それに伴う損失も負担させるのが公平の見地から妥当であるといえる(報償責任)。
↓よって
履行補助者の過失も信義則上、債務者自身の過失と同視でき、415条責任を負うと解する。
↓そして
不法行為責任(715条)と契約責任(415条)が認められる場合、両者は要件・効果が異なるため、常に契約責任追及が被害者(債権者)にとって有利になるわけではない。
↓したがって、
選択的に債権者は主張可能
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東京都議会選挙

2005年07月03日 12時20分08秒 | その他
今日は涼しいですね。この様な日が続いてくれれば、夏もブルーじゃないのですが…。

今日は、都議会議員選挙の日です。該当する方は投票に行きましょう。

私は、今から行ってきます
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論基礎解答力養成編民法第2回がやっと終わりました。

2005年07月01日 00時21分15秒 | 民法
論基礎解答力養成編民法第2回がやっと終わりました。

上巻では、最後の問題の構成とオプション問題で終わります。
民法は広い上に問題が多分野にまたがるので、復習が大変ですね


譲渡担保の法的性質で、昨日は所有権的構成でさらっと流しましたが、担保権的構成で書きます。
譲渡担保の法的性質
譲渡担保の設定により、形式的には譲渡担保権者への所有権の移転がある。
↓しかし
譲渡担保権者に完全な所有権が移転することを認めると、弁済期前に第三者に譲渡すれば有効になり、譲渡担保権設定者の権利を害することになる。

思うに、譲渡担保は実質的には債権の担保目的のために設定される。
↓したがって
債権者には担保権が移転するのみであり、譲渡担保権設定者と譲渡担保権者の双方に担保目的物の権利が分属して存在すると解する。

保証と物上保証
共通点
・附従性、随伴性
 主債務者の債務の保証
・相殺の抗弁の主張
 主張しても債権者を害しない
・時効の援用権
 時効により直接利益を受ける者にあたる
・時効中断効
 保証人(467条1項)、物上保証人は396条の趣旨から及ぶ

相異点
・法的性質
 保証は債権であり、債務を負担。物上保証は物権であり、担保提供のみ
・範囲
 保証人の総財産、物上保証人の担保物権の範囲
・補充性
 催告・検索の抗弁あり(452条453条)。物上保証人は債務を負担しないためなし
・事前求償権
 委託保証人は一定の場合に可能(460条)。物上保証人は債務を負担する義務がないため、不可能。事後求償権はともにあり。
・共同保証
 責任の割合は保証は人数割り、物上保証は価額に応じた責任
コメント
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