会社に入ってまず買ったのがDENONのレコードプレーヤーDP3000。1972年発売だから35年以上前のことだ。局用の仕様で作ったと言うことで丈夫で長持ちしていたのにとうとう去年の夏、回転がおかしくなった。めちゃくちゃな高速回転をするようになってしまったのだ。
当時43000円もしたこのターンテーブルは名機と呼ばれていて現在でも修理を重ねて使っている人がいる。インターネットで検索すると修理記録がたくさん出てくる。それでは修理してみようと始めたらかなりてこずっってしまい、結局半年かかってしまった。ここにDP3000を修理しようとしている人のために記録に残しておく。
DP3000はターンテーブルに記録された磁気信号によりスピードを検出しダイレクトドライブのモーターにサーボをかけている。明らかにこのサーボがかかっていない。
検索によると使用されているトランジスターの劣化が頻繁に起こっていると言う。確かにトランジスターのリードを見ると黒い粉を吹いているようになっている。これが導電性のものだったら確かに動作はおかしくなる。
2SC458と2SC1213を交換しろと言うのがインターネットのご託宣だったので秋葉原に出かけ千石電商で購入する。さっそく交換してみたが直るどころか電源が入らなくなってしまった。これは悩んだ。
原因はこれ。2SC1213のパッケージ形状が変わり、ピン配置が変わっていたこと。写真の左側がもともとついていたトランジスタ。品名が裏に表示してある。したがって品名表示面から見ると左側からベース、コレクタ、エミッタになるが写真右が新しく購入した2SC1213でエミッタ、コレクタ、ベースの順になる。全部付け直したら電源は入るようになり、元の状態に戻ったが相変わらずサーボはかからない。
次に電解コンデンサーの容量抜けが多いと言うことだったので全部交換したけれど、状態は変わらず。取り外した電解コンデンサーの容量を測定すると表示値より少ないものはなかった。昔の電解コンは容量誤差が+50%とか表示容量よりはるかに大きいので少々容量抜けが起こっても表示容量より大きい。これを最近の精度の良いコンデンサに交換すると逆に容量が減ってしまうことも有り得る。
こうなると順に解析していくしかない。オシロスコープで磁気ヘッドから順に追っていく。どうも磁気信号が入力されたIFアンプTA7061APの出力が低く、次段の2SA562の出力側がフルスイングしていなく、大きな振幅のノイズが定期的に入る。間歇振動を起こしているような感じ。位相補償が狂っていることも考え、TA7061APと次段の2SA562周辺の部品を総取替えすることにし部品を集めた。
結局次段のQ1、2SA562を交換することで正常に動作を始めた。33回転も45回転もきれいにサーボがかかる。取り外した2SA562のhfeを測ると160位、交換したもののhfeは250くらい。ただデータシートによると2SA562のhfeは100らしいから異常動作していた理由が分からない。TA7061APのゲイン不足をオーバースペックの2SA562が肩代わりしたのかもしれない。
正常な状態の2SA562のベース(下側の波形)とコレクタ(上側)の波形を示す。
結局使わなかったけれど東芝のTA7061APは生産中止になっていて、なかなか見つからなかった。秋月電子通商へも行ったのだが無いという。それでも店員の一人がこのICがDENONの修理部品と言うことを知っていて2年位前にも探したと言う。確かラジオストアー内のタカヒロ電子にあるはずだと教えてくれる。結局5個ほど手に入れることができたのだが、秋葉原、ナイスな街である。
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当時43000円もしたこのターンテーブルは名機と呼ばれていて現在でも修理を重ねて使っている人がいる。インターネットで検索すると修理記録がたくさん出てくる。それでは修理してみようと始めたらかなりてこずっってしまい、結局半年かかってしまった。ここにDP3000を修理しようとしている人のために記録に残しておく。
DP3000はターンテーブルに記録された磁気信号によりスピードを検出しダイレクトドライブのモーターにサーボをかけている。明らかにこのサーボがかかっていない。
検索によると使用されているトランジスターの劣化が頻繁に起こっていると言う。確かにトランジスターのリードを見ると黒い粉を吹いているようになっている。これが導電性のものだったら確かに動作はおかしくなる。
2SC458と2SC1213を交換しろと言うのがインターネットのご託宣だったので秋葉原に出かけ千石電商で購入する。さっそく交換してみたが直るどころか電源が入らなくなってしまった。これは悩んだ。
原因はこれ。2SC1213のパッケージ形状が変わり、ピン配置が変わっていたこと。写真の左側がもともとついていたトランジスタ。品名が裏に表示してある。したがって品名表示面から見ると左側からベース、コレクタ、エミッタになるが写真右が新しく購入した2SC1213でエミッタ、コレクタ、ベースの順になる。全部付け直したら電源は入るようになり、元の状態に戻ったが相変わらずサーボはかからない。
次に電解コンデンサーの容量抜けが多いと言うことだったので全部交換したけれど、状態は変わらず。取り外した電解コンデンサーの容量を測定すると表示値より少ないものはなかった。昔の電解コンは容量誤差が+50%とか表示容量よりはるかに大きいので少々容量抜けが起こっても表示容量より大きい。これを最近の精度の良いコンデンサに交換すると逆に容量が減ってしまうことも有り得る。
こうなると順に解析していくしかない。オシロスコープで磁気ヘッドから順に追っていく。どうも磁気信号が入力されたIFアンプTA7061APの出力が低く、次段の2SA562の出力側がフルスイングしていなく、大きな振幅のノイズが定期的に入る。間歇振動を起こしているような感じ。位相補償が狂っていることも考え、TA7061APと次段の2SA562周辺の部品を総取替えすることにし部品を集めた。
結局次段のQ1、2SA562を交換することで正常に動作を始めた。33回転も45回転もきれいにサーボがかかる。取り外した2SA562のhfeを測ると160位、交換したもののhfeは250くらい。ただデータシートによると2SA562のhfeは100らしいから異常動作していた理由が分からない。TA7061APのゲイン不足をオーバースペックの2SA562が肩代わりしたのかもしれない。
正常な状態の2SA562のベース(下側の波形)とコレクタ(上側)の波形を示す。
結局使わなかったけれど東芝のTA7061APは生産中止になっていて、なかなか見つからなかった。秋月電子通商へも行ったのだが無いという。それでも店員の一人がこのICがDENONの修理部品と言うことを知っていて2年位前にも探したと言う。確かラジオストアー内のタカヒロ電子にあるはずだと教えてくれる。結局5個ほど手に入れることができたのだが、秋葉原、ナイスな街である。
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DENONでは修理はOKでもオーバーホール(コンデンサー、TR全交換)までは無理との事でした。
技術をお持ちの貴殿が羨ましい・・・
コメントありがとうございます。
コンデンサーを全交換したのですけれど、実際に容量抜けしていたのは一個もありませんでした。ですからDENONで修理してくれるうちはオーバーホールの必要はないと思いますが、いつまでやってくれるのでしょう、大変心配ですね。
今になってやっとオークションで手に入れました。
回転が時々少しノッキングしていました。
この記事を参考にトランジスタを交換してみたら、
みごとに直りました。
同じ回路(トランジスタ)だったので参考になりました。
大事に使用したいと思います。
ありがとうございます。
これでまたDP3000が一台、生き返りましたね。この時代の電子機器はどうにか直すことが出来るので長持ち、大事にしたいと思っています。
DP3000の修理では、私もインターネット上の大勢の方のレポートを参考にしました。少しでもその恩返しが出来ればこんなにうれしいことはありません。
これは想像もせず、買ってきたトランジスタが壊れているのかと思いテスターで測定し、やっと見つけました。直るといいですね。吉報をお待ちしています。
はじめまして。
お問い合わせのターンテーブルですが、固定されていません。ゴムシートをはずし、穴から磁気ヘッドを遠ざけてから、アルミのターンテーブルをまっすぐ上に持ち上げると外れます。
がんばってくださいね。