秘書にゃんこ*夏目漱石を訪ねて。。

2016-05-14 | おでかけ
 「石を枕にして眠り、小川の流れで口を漱ぐ(すすぐ)」 と言うべきところを、

「流れを枕にして眠り、石で口を漱ぐ」 と言い間違え、それを人から指摘されたら。。

さしずめ私なら、照れたり、相手と顔を見合わせて笑ったりすることでしょうが、

「いや、耳を洗うために流れを枕にし、歯を磨くために石で口を漱ぐのだ」

と言い張る人がいれば、負け惜しみの強い頑固者という印象を持つことでしょう。

 「漱石枕流」(そうせきちんりゅう)

夏目漱石(本名は夏目金之助)の雅号となった中国の故事です。

ちなみにこの名前、もともとは正岡子規の数多いペンネームのひとつだったそうで、

実際に漱石が変わり者だったかどうかはさておき、二人の友情が垣間見える名前です。


 今年は漱石の没後100年、来年は生誕150年という記念の年。

各地でイベントが催される中、横浜と東京に漱石を訪ねて参りました。


     
     横浜「港の見える丘公園」の一角にある 「神奈川近代文学館」 では、
     直筆の原稿や日記、愛用品や当時の新聞記事が展示されています。


 所変わって、こちらは東京。 

明治の面影を今に残す「文豪の街」 根津。


     
     日本武尊(やまとたけるのみこと)が千駄木の地に創祀したと伝えられる古社


     
     かつて漱石や鴎外が腰を下ろし、想を練ったと伝わる「文豪憩いの石」
     境内の目立つ場所にありながら、立て札がないと人は気に留めないようです。


     
     石の近くにある水飲み場にも説明がないため、参拝客が通り過ぎてしまうのですが、
     こちらは森鴎外が奉納したもので、もとは日露戦争の戦利砲弾を飾るための台座。


     
     すぐ後ろの溝には水が流れているため、にゃんこ片手に撮影するのは至難の業
     「陸軍々醫監 森林太郎」(鴎外の本名)という字がお読みになれますでしょうか。


 さて、話を漱石に戻しましょう。

根津神社の裏手にある門を出て閑静な住宅街を歩けば、そこは漱石が3年の月日を過ごした町。

イギリス留学から帰国した漱石が初めて筆を執り、名作を次々と発表した漱石文学発祥の地。


     
     「夏目漱石旧居跡」の題字は川端康成の書
     旧居は愛知県 犬山市の明治村に移築保存
     塀の上を歩くネコちゃんは、「吾輩は猫である」


     
     三毛子ちゃんに恋する「吾輩」は、秘書にゃんこには目もくれず


 この年齢だからこそ味わえる読み方で、再び漱石に出会ってみたいものです。


お読みくださいまして、ありがとうございます。

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