秘書検定 58*応対(1級) (5)来客との会話 

2015-01-30 | 秘書検定
 秘書が上司の 「不在理由」 を伝えますと、来客役の面接官が質問や意向などを述べ、

それに対して秘書が受け答えをしながら双方の会話が続き、面接試験は山場を迎えます。

会話に集中するあまり、表情や姿勢が疎かにならないよう、全身で秘書になりきりましょう。

 ここでは、私が受験した当時に予想したケースを挙げ、それに対する返答をお伝えしますが、

予約の有無などによって謝罪の程度も変わりますし、出題傾向も変化すると思われますので、

あくまで参考程度にお読みくださいますように。


【来客の質問に対する返答】

来客 「私宛てに、何か伝言はありませんか?」

秘書 「申し訳ございません。 特に申し付かっておりません」
    詫びることで、来客の立場に配慮します。


来客 「来週の月曜日の午前中ではいかがでしょうか?」

秘書 「来週の月曜日の午前中ですね? 山田に確認いたしまして、ご連絡させていただきます。
    本日はご足労くださいましたのに、申し訳ございませんでした」
     日時は必ず復唱し、今後の行動を伝え、再度お詫びをします。


来客 「いつなら都合がよいのですか?」

秘書 「山田が戻りしだい確認いたしまして、至急こちらからご連絡させていただきます。
    こちらの勝手でご迷惑をお掛けいたしまして、申し訳ございませんでした」
     「こちらの勝手で迷惑を掛けたこと」に対してお詫びします。


来客 「何時頃お戻りになりますか?」

秘書 「申し訳ございません。 正確な帰社時間は分かりかねます。
    もしお差支えなければ、代わりの者ではいかがでしょうか?」
     課題文に記載されていなくても、代理人が居ると想定して です。


【来客の意向に対する返答】

秘書 「おそれいりますが、○分ほどお待ちいただけませんでしょうか」

来客 「承知しました。 待たせていただきます」

秘書 「ありがとうございます。(45度の分離礼)
    それでは、応接室へご案内いたします。 こちらへどうぞ」(実際に指し示す)
    

来客 「それでは1時間後に再び参ります」

秘書 「1時間後でしたら、山田はお会いできるかと存じますが、
    念のため、お越しくださる前にお電話を頂戴できますでしょうか?
    山田には、中村様が1時間後に改めておみえになることを申し伝えておきます。
    せっかくお越しくださいましたのに、誠に申し訳ございませんでした」
     「せっかく来てくれたのに不在であること」に対してお詫びします。


来客 「他に用事もありますので、後日また出直します」

秘書 「それでは恐れ入りますが、ご都合のよろしい日時を二、三、お聞かせ願えますでしょうか?
    山田が戻りしだい確認いたしまして、中村様にご連絡させていただきます」

*****************************************************************************************

 控室で課題文を読みながら、走り書きしたメモ用紙には、

「予約あり  急な打ち合わせ  席をはずしている」 と書いてあります。

メモを取るのは自由ですが、そのメモを見ながら試験を受けられるわけではなく、内容を理解して臨みます。

その前に 「報告内容」 も覚えなくてはなりませんので、実際のところメモを取る時間も惜しいのですが、

「予約の有無」 と 「不在理由」 だけは文字にして、目と手で記憶しておこうと考えたものでした。

もしも来客役の面接官とのやり取りで時間の話題になったら、手首の内側に巻いた腕時計で確認し、
(腕時計を外側にすると、腕をグッと伸ばして折り曲げることになり、内側の方が女性らしいしぐさに映るため)

伝言を承る場面ではメモを取るしぐさを取り入れようと、いくつかのパターンを考えていたのですが、

実際は・・・

「いらっしゃいませ」 

「ABC商事の中村様でいらっしゃいますね。 いつもお世話になっております」

「中村様、誠に申し訳ございません。 あいにく山田は急な打ち合わせのため、席をはずしております。
 さほど時間はかからないとのことでございますが、お待ちいただくお時間はおありでしょうか」

と述べた時点で、「はい、ここまでにいたしましょう」 と、無情にも打ち切られてしまいました

少し物足りない気はしましたが、これで終わったわけではなく、最後まで気を緩めてはならないと思い直し、

面接官にお礼を申し上げて、緊張感を保ちながら席に戻ったことを懐かしく思い出します。


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秘書検定 57*応対(1級) (4)不在理由の説明

2015-01-20 | 秘書検定
 前回は、来訪されたお客様を出迎え、お名前と予約の有無を確認するところまでお話しいたしました。

面会をご希望のお客様に対して、上司は不在、もしくは在社していても面会不可という設定ですから、

秘書としては、まずは丁重にお詫びをします。

【予約がある

「中村様、お約束いたしておりながら、誠に申し訳ございません」(45度の分離礼)

【予約がない

「中村様、せっかくお越しくださいましたのに、誠に申し訳ございません」(45度の分離礼)


 次に、予め提示された課題内容に沿って、理由を説明します。

過去問から予想し得る不在理由をいくつか挙げて、それに見合った来客への説明を考えてみましょう。


【 「そこまで出かけて来る。客が来るまでには戻る」  予約のある客が来訪 】

「山田は外出が長引いておりましてまだ戻っておりませんが、お待ちいただくお時間はおありでしょうか」


【 ただいま会議中  会議が終わりしだい外出  予約のない客が来訪 】

「本日山田は立て込んでおりまして、お会いする時間が取れそうもありません。

 後日、改めてお約束いただくわけには参りませんでしょうか」


【 「疲れたので休みたい」  予約のある客が来訪 】

「山田は急用のため、ただいま席をはずしております。

しばらくかかると申しておりますが、いかがいたしましょうか」
(「いたす」 のは秘書A子です。 お客様の意向を尋ねるなら、「いかがなさいますか?」)


【 予約客を待っている間に常務が訪ねて来て話している  遅れて来訪 】

「先ほどまでお待ちしておりましたが、急な打ち合わせのため、ただいま席をはずしております。

 お待ちいただいて、終わりしだいご案内申し上げるということで、よろしいでしょうか」

 
【 「ちょっと書店に行く」  来客の予定を忘れている  予約客が遅れて来訪 】

「山田は外出が長引いておりまして、帰社が遅れております。

 それほど時間はかからないと存じますが、しばらくお待ちいただけませんでしょうか」


不在理由を述べる際には、たとえ課題文に書かれていても、そのまま伝えてはいけない ワードがあります。

【外出】
  「外出先での 用件が長引いております
  「列車の事故で、出張先からの帰社が遅れております」

  「おみえになることを 忘れてしまった ようでございます」
  「書店に行った だけですので、すぐに戻ると思います」

【多忙】
  「予定が立て込んでおりまして、お会いする時間が取れそうもありません」

  「忙しい ため・・・」 「あわただしい ので・・・」

【疲労】
  「急用のため、ただいま席をはずしております」 
 
  「少し 疲れた ようでございます」

【緊急・急病】
  「急な出張のため、本日は戻らないとのことでございます」

  「緊急事態 のため・・・」 「持病が悪化 いたしまして・・・」

***************************************************************************************

 お詫びをして不在理由を説明するという場面ですから、笑顔で応対するのは不自然ですが、

かといって、眉間にシワを寄せたり悲痛な表情になるのも、決して美しいものではありません。

上司に取り次げないという設定で応対を行なうことが予め分かっている以上、

上級秘書として求められる、品位ある 「恐縮の表情」 を、鏡の前で工夫してみませんか?


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秘書検定 56*応対(1級) (3)「名乗り」 と 「予約」 の有無

2015-01-12 | 秘書検定
 「いらっしゃいませ」 と言って来客を出迎えるまでは、いずれのケースでも同じですが、

そこから先は、予め提示された課題内容、そして面接官と受験者のやり取りによって変化します。

とはいえ、予想し得るパターンがありますので、落ち着いて応対することを心がけましょう。

ここでは、私が受験した際に指定された、「あなたは山田部長の秘書です」 から、上司の名前は 「山田」、

そして来客役の面接官の名札に書かれていた 「ABC商事 中村」 という名前を用いることにいたします。


【来客が名乗る & 予約がある

 面接官 「私は ABC商事の中村と申しますが、山田部長様はいらっしゃいますか?」
  
 受験者 「ABC商事の中村様でいらっしゃいますね。 お待ちいたしておりました」


【来客が名乗る & 予約がない

 面接官 「私は ABC商事の中村と申しますが、山田部長様はいらっしゃいますか?」

 受験者 「ABC商事の中村様でいらっしゃいますね。
 
       恐れ入りますが、本日はお約束をいただいておりましたでしょうか」


【来客が名乗らない & 予約がある

 面接官 「山田部長様はいらっしゃいますか?」

 受験者 「恐れ入りますが、どちら様でいらっしゃいますでしょうか」

 面接官 「失礼しました。 私は ABC商事の中村と申します」

 受験者 「ABC商事の中村様でいらっしゃいますね。 お待ちいたしておりました」


【来客が名乗らない & 予約がない】     

 面接官 「山田部長様はいらっしゃいますか?」

 受験者 「恐れ入りますが、どちら様でいらっしゃいますでしょうか」

 面接官 「失礼しました。 私は ABC商事の中村と申します」

 受験者 「ABC商事の中村様でいらっしゃいますね。

       恐れ入りますが、本日はお約束をいただいておりましたでしょうか」

***************************************************************************************

予約の有無については、控室で読んだ課題文に書かれていますが、名乗るか否かは面接官しだいです。

名乗ったと勘違いして、名札を見ながら 「ABC商事の中村様でいらっしゃいますね」 と言ったり、

予約なしの設定なのに、「お待ちいたしておりました」 などと言ってしまわないよう、気をつけましょう。

また、予約の有無、名乗りの有無に関わらず笑顔で応対し、お辞儀のとき以外は前傾姿勢を保ちましょう。


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秘書検定 55*応対(1級) (2)来客への挨拶

2015-01-08 | 秘書検定
 準1級の面接試験は3名一組で、1人目が3種類の課題を済ませて退室した後、2人目が行ないますが、

1級は2名一組で、課題ごとに面接番号の若い1人目が終えたら、そのつど着席して2人目が行ないます。

したがって、準1級の時のように横に移動することはありませんので、カニさん歩きになる心配はないのですが、

課題を終える度に歩いて席に戻って座り、また立ち上がって歩くという動作が加わります。

その姿も、面接官の目に留まることを意識しましょう。

良い意味での 「慣れ」 から、歩行や着席がスムーズになるのは大いに結構ですが、

逆の意味で 「慣れ」 てしまい、緊張感を欠くことのないよう気をつけたいものです。


 それでは、2人目の受験者が 「報告」 を終えた段階から順を追ってみましょう。

私が受験した際の記憶であり、試験の回によって異なる可能性をご了承の上、お読みくださいませ。

は、体験談によるアドバイスとして書き記します。


 受験者 「ご報告は以上でございますが、何かご不明な点はございませんでしょうか」

 面接官 「大体わかりました」

 受験者 「ありがとうございます」(15度の分離礼)
       着席を指示されたら 「はい」 と答え、姿勢よく歩いて席に戻って座る。


 
 面接官 「それでは、次は 『応対』 です。○番 (面接番号の若い1人目) の方からどうぞ」

 受験者 「はい」 と返事をして立ち上がり、指定される場所 (応対に適切な位置) まで進む。

 面接官 「私をお客様だと思って、『応対』 を行なってください」
       胸の名札に 「ABC商事 中村」 と書かれていたため、言い間違えずにすみました。

 受験者 「はい、かしこまりました」
       ここで笑顔になれれば、ご自分を落ち着かせることが出来ますよ。

 面接官 「それでは始めます」

 受験者  立つ姿勢、手の位置、指先まできちんと伸びているか、最終確認をしましょう。
 
 面接官 「ごめんください」 「こんにちは」 など

 受験者 「いらっしゃいませ」 (30度の分離礼)
       「こんにちは」 と言われても 「こんにちは」 と答えず、「いらっしゃいませ」 と言うようにと、
         秘書クラブの面接対策講座に参加した際、講師の方がおっしゃっていました。

*****************************************************************************************

 ここまでは、いずれのケースでも同じですが、ここから先は、来客の言葉や課題内容によって変わります。

次回は、来客の名乗りの有無、そして予約の有無によって異なる、最初のやり取りをお話しいたします。


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秘書検定 54*応対(1級) (1)「応対」 と 「対応」

2015-01-02 | 秘書検定
 秘書検定を受験される方の中には、1級が最終目標とお考えの方も多くいらっしゃることでしょう。

面接試験の最後の課題である 「応対」 は、秘書検定における集大成とも言えるものです。

得てきた知識、身につけてきた言葉遣いや立ち居振る舞いを存分に発揮して、合格を目指しましょう。


 「応対」 の課題文は面接試験の直前に控室で読みますので、状況設定を知った上で臨むのですが、

お客様役の面接官と会話のやり取りをする中で、同じ設定でも、さまざまな方向に話が展開します。

たとえば、上司の不在を伝えた際に、お客様が待つのか、出直すのか、あるいは帰社して連絡を待つのか。

それによって受験者は次の言葉を選び、相応しい表情や立ち居振る舞いで 「応対」 しなくてはなりません。


 ところで、課題の名称として、準1級では 「状況対応」 、そして1級では 「応対」 と言いますが、

イメージが似ている 対応応対 の使い分けに、迷うことはありませんか?

自分なりの解釈ですが、私は次のように考えています。

 対応 = 「人や物事 に対して、主に行動 で応じること」

 応対 = 「 に対して、主に言葉 で応じること」

客の立場になって、お店に当てはめてみますと、

 「良い 対応」 = 手際が良く、トラブルやクレームに対しても適切に対処してくれる。

 「良い 応対」 = 店員さんの言葉遣いや立ち居振る舞いが丁寧で、感じが良い。

たとえば、「申し訳ございません。ただいま代わりの品をお持ちいたします」とお詫びをするのが 応対 で、

実際に代わりの商品を用意したり、差額の返金処理を行なうのが 対応 と考えております。

重なる部分、つながる部分の多い、対応応対

どちらも、お客様への心遣いが前提であることは、言うまでもありません。

 秘書検定1級の 「応対」 においても、準1級でクリアした 「状況対応」 が含まれているように思います。

来客への言葉遣いや立ち居振る舞い、さまざまな状況への対応、そして身だしなみや表情に至るまで、

文字通り、頭のてっぺんから足の先まで 上級秘書らしさ を求められますので、

秘書検定の締め括りとして、入念に準備をした上で、自信を持って臨んでいただくことを願っております。

 
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