秘書検定 46*『謙譲語』 (3)名詞

2014-09-27 | 秘書検定
 名詞に「接頭語」や「接尾語」を付けることで、その名詞を謙譲語Ⅰにすることが出来ます。

ただ、「お」 や 「ご(御)」 に関しては、尊敬語や美化語でも使われるため、整理しておきましょう。

名詞の謙譲語Ⅰの作り方

接頭語

お ・ ご(御)     

謙譲語Ⅰ の 「お」 (立てるべき人物 への ) お電話 ・ お手紙 ・ ご挨拶 ・ ご説明 など

        )「(お客様に) 後ほどお電話します」
   
        )「(皆様への) ご挨拶といたします」

        謙譲語Ⅰは、向かう先(この場合はお客様や皆様) を立てる敬語ですので、

        電話や挨拶をするのが自分でも、「自分に対して尊敬語を使っている」 とはなりません。


尊敬語 の 「お」 (立てるべき人物 からの ) お電話 ・ お手紙 ・ ご挨拶 ・ ご説明 など

        )「(お客様から) 先ほどお電話がありました」

         )「(お客様から) ご挨拶をお願いいたします」

        こちらは、電話や挨拶をするという行為者(この場合はお客様) を立てる敬語です。

美化語 の 「お」

        「○○さん、電話です」 を 「お電話です」 と言うことで上品に聞こえるため、

        特に女性が使います。
        
        「尊敬語 (2)名詞の接頭語」で、りっちゃんから頂いたコメントの中に、
 
        「私のお弁当箱 」 という言い方の是非について、お尋ねがありましたが、

        「私のお考え」 や 「私のご自宅」 のように、自分の動作や物事を立ててしまうのでなければ、

        持ち物に付ける「お」 や 「ご」 は、美化語の範疇として考えてもよいのではないかと思います。 
                            

      拝見(見ること) ・ 拝聴(聴くこと) ・ 拝眉(会うこと) ・ 拝借(借りること) など 
 
        
接尾語

ども     私ども 

      私儀(わたくしぎ)

こと     私こと

      私め


名詞の謙譲語Ⅱの作り方(こちらは接頭語のみで、接尾語はありません)

接頭語

      愚案(考え) ・ 愚見(意見) ・ 愚息(息子)

      拙稿(原稿) ・ 拙宅(自宅) ・ 拙文(文章)

      弊社(会社) ・ 弊紙(新聞) ・ 弊誌(雑誌)

      小社(会社) ・ 小紙(新聞) ・ 小誌(雑誌)

      粗餐(食事) ・ 粗品(品物) ・ 粗茶(お茶)

      寸志(心ばかりの贈り物) など


相手に関わるものは、大きく、高く、立派で、逆に自分に関わるものは、小さく、低く、粗末だと表わすことは、

決して考え方や言い方が卑屈なのではなく、相手に対する配慮を示しているのだと考えますと、

日本人が語り継いできた敬語の伝統に触れる思いがいたします。

とはいえ、敬語は「相互尊重」であると同時に、「自己表現」でもあります。

「粗茶ですが・・・」と謙遜するのも、「美味しいお茶をどうぞ 」と勧めるのも、お気持ちのままに。。


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秘書検定 45*『謙譲語』 (2)動詞

2014-09-22 | 秘書検定
 前回は、謙譲語Ⅰと謙譲語Ⅱの違いについてお話しいたしました。

謙譲語Ⅰは、敬意の向かう先に対する敬語 ですので、向かう先が立てるに相応しい対象にのみ使え、

謙譲語Ⅱは、自分(側)の行為や物事を、相手(聞き手や読み手)に対して丁重に述べる敬語 ですので、

立てるに相応しい向かう先がなくても、使うことができます。


 それでは、謙譲語Ⅰを作ってみましょう。

謙譲語Ⅰの作り方】

1 謙譲語Ⅰ 専用の語に置き換える

   ) 言う ⇒ 申し上げる  会う ⇒ お目に掛かる  与える・やる ⇒ 差し上げる などがあります。

      謙譲語Ⅰは、上司やお客様など、向かう先が立てるに相応しい対象であるとしっくり来ますが、

      「部下に申し上げる」 「妹にお目に掛かる」 「犬にエサを差し上げる」 のように、

      向かう先が立てるに相応しくない対象に使うと、聞き手や読み手は違和感を覚えます。
   

2 「お(ご)~する」 「お(ご)~いただく」 「お(ご)~申し上げる」 などに当てはめる

   ) 届ける ⇒ お届けする  読む ⇒ お読みいただく  案内する ⇒ ご案内申し上げる
 
      秘書検定では、自分の事を上司に述べるときや、上司の事を社外の方に話すときに用います。

 
 それでは次に、謙譲語Ⅱを作ってみましょう。

謙譲語Ⅱの作り方】

 謙譲語Ⅱ 専用の語に置き換える

   ) 言う ⇒ 申す  行く・来る ⇒ 参る  居(い)る ⇒ 居(お)る などがあります。

     「部下に申しておきます」 「妹のところに参ります」 「午後は会社に居ります」 と言われた場合、

     「部下に言っておきます」 「妹のところに行きます」 「午後は会社に居ます」 に比べて、

      聞き手は、「私に対して、改まった言い方で丁重に述べている」 という印象を受けます。

      ちなみに、この 「参る」 は、「子供達が参ります」 「雨が降って参りました」 のように、

      立てなくても失礼に当たらない第三者や事物にも使うことが出来ます。

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 敬語 さんにオススメ

 「尊敬語 (1)動詞」で、「いらっしゃる」 は、「行く」 「訪ねる」 「来る」 「居(い)る」 という、

 何通りかの場面で使える尊敬語であるとお話しいたしましたが、

 謙譲語Ⅰにも、「伺う」 という便利な言葉があります。

 ) 聞 く     「ご用件を聞きます」 ⇒ 「ご用件を伺います」
 
 ) 尋ねる    「ちょっと尋ねます」 ⇒ 「ちょっと伺います」

 ) 行く・訪ねる 「明日、御社に行きます」 ⇒ 「明日、御社に伺います」

 就職活動で企業を訪問する際など、「明日(あした)行きます」(丁寧語) では、学生言葉。

 「明日(みょうにち)伺います」(謙譲語Ⅰ) や 「参ります」(謙譲語Ⅱ)という言葉が自然に出るよう、

 どんどん口に出して言い慣れ、採用担当の方の印象に残るような言葉遣いを身につけましょう。

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秘書検定 44*『謙譲語』 (1)謙譲語ⅠとⅡの違い

2014-09-17 | 秘書検定
 以前は 謙譲語 としてまとめられていたものが、謙譲語Ⅰ謙譲語Ⅱ に分かれました。

分類されたことにより、それぞれの働きや使い方が明確になった半面、「ややこしく」なったのも事実で、

「これだから敬語はわかりづらい 」と、お嘆きの方もいらっしゃることでしょう。

というわけで、今日は、謙譲語Ⅰ謙譲語Ⅱ の違いについて、お話しいたします。


 まず、「私は先生の に行きます」という文を、謙譲語Ⅰ謙譲語Ⅱ に直してみましょう。

  謙譲語Ⅰ 私は先生の 伺います
  謙譲語Ⅱ 私は先生の 参ります

どちらも同じ意味なのに、なぜ「伺います」が 謙譲語Ⅰ で、「参ります」が 謙譲語Ⅱ なのでしょうか。

 それでは、「先生の 」 を 「 」に置き換えてみましょう。

  謙譲語Ⅰ 私は 伺います
  謙譲語Ⅱ 私は 参ります

いかがでしょうか? 

いま、お読みになったときの違和感こそが、謙譲語Ⅰ謙譲語Ⅱ の違いです。

つまり、謙譲語Ⅰ は、 敬意の向かう先(この場合は「先生」)に対する敬語 であり、

謙譲語Ⅱ は、自分側の行為や物事を、相手(聞き手や読み手)に対して丁重に述べる敬語 です。

この「丁重に述べる」という働きから、謙譲語Ⅱ は、丁重語 とも呼ばれています。

 では、「先生の に参ります」を、先生ご本人に言うのは誤りかと言えば、決してそうではありません。

このように、向かう先と相手が一致する場合に限り、謙譲語Ⅰと謙譲語Ⅱはどちらも使うことが可能です。

謙譲語Ⅰ謙譲語Ⅱ とが似たように映るのは、この辺りが原因であると思われますが、

向かう先と相手が一致しない場合には、謙譲語Ⅰ謙譲語Ⅱ の違いに留意して使う必要があります。


 さて、謙譲語Ⅰ謙譲語Ⅱ の違い、、、何となくイメージしていただけましたでしょうか?


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秘書にゃんこ*カワイイの原点 高橋真琴展

2014-09-12 | おでかけ
 海の向こうに暮らす少女たちの間で、cute とも pretty とも異なる、「カワイイ」が広まりつつあるようです。

日本人と同じイメージで使っているのかは定かでありませんが、「カワイイ」は、もはや世界共通語

そんな「カワイイ」に会いに、「秘書にゃんこ*少女の日」でご紹介した 高橋真琴さんの個展 に行って参りました。

個展のサブタイトルは、「カワイイの原点」

髪には   目には  手には  森には  そして隣には王子様

まちがっても、 を食べたり、 に行ったりすることのない、究極の美少女の世界です。



また会えたね


にも関わらず、会場には大勢の女性や取材陣、そして意外なことに男性の姿も多く見受けられ、

高橋真琴先生による限定サイン会を心待ちにする人々で、会場は熱気に包まれていました。



シリアルナンバーの横に、お名前と日付をお書き下さいました


復刻版ぬりえ・着せ替え・シールのセットは、今回の限定販売


 原画の1枚1枚に顔をくっつけて、その繊細な筆の運び方や色の使い方に見入るうちに、早2時間
 
先生のますますのご長寿を祈りつつ、少女の日の思い出に浸る、、そんな初秋の一日でした


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秘書検定 43*『尊敬語』 (3)名詞の接尾語

2014-09-07 | 秘書検定
        名詞の後に付ける接尾語は、「敬称」と考えれば分かりやすいでしょう。

接尾語

役職名  「山田部長」の「部長」は敬称ですが、「部長の山田」の「部長」は役職を表します。

様(さま) 「営業部長 山田一郎様」のように、文書でも口頭でも使われる、一般的な敬称です。

        「さま」や「サマ」と書くと、親しさは増しますが敬意は薄れますので、相手を選んで用いましょう。

殿(どの) 「営業部長殿」のように、主に文書で使います。

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 さて、「様」と「殿」では、どちらが高いのか、どのように使い分ければよいのか、迷うことがあります。

古くは、「殿」の方が「様」よりも敬意の度合いが高かったようですが、江戸時代になると逆転します。

そして現代では、「様」が最も一般的な敬称として広く使われ、「殿」は同僚または目下への私信で使われます。

私信ではありませんが、昨今では自治体からの文書でも、宛て名に「様」が使われる方向にありますから、

敬称は、一般的には「様」で統一し、「殿」は役職名にと、使い分けるのがよいでしょう。
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 尊敬語としての接尾語には、他にも「氏」や「先生」、そして「お二方」のように複数を表す「方」などがあります。

そして秘書検定の筆記試験にたびたび登場するのが、「各位」と「御中」、そして「気付」です。

筆記試験では、社内文書や社外文書を作成する問題や、封書の宛て名書きについて問われます。

各位(かくい) 「関係者各位」のように、同じ文書を複数送る際に記す受信者名で、「皆様」という意味です。
           
           「各位」は敬称ですので、さらに敬称を付けて、「各位様」「各位殿」とする必要はありません。

御中(おんちゅう) 
           会社・官庁・学校など、団体・機関・組織にあてる文書で用いる宛て名です。

           組織に対する敬意は含まれますが、敬称ではありません。

           部課名を連記する際には、最後にひとつだけ「御中」と添えます。

           筆記試験の表書きに関する問題では、「御中と様の両方は不要」と覚えておくとよいでしょう。

           営業部御中
           営業部    山田一郎様

           営業部御中 山田一郎様

気付(きつけ) ホテルなどに滞在している人に宛てる際は、「○○ホテル気付」のように、ホテル名の後に記します。

           あまり目にする機会がないだけに、こういう言葉が自然に出ると素敵ですね。

         
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