お箸*16 元禄箸

2017-06-12 | お箸の世界
皆様に割り箸の種類をご紹介しようと思い立ってからというもの、外でお食事をする時には、

お料理よりも目当ての割り箸を探し求めながら、お店を決める秘書にゃんこです。

とはいえショーウィンドウを見ても、お料理のサンプルにお箸が添えてあるとは限らず、

それはメニューを見ても同様で、実際に提供されて初めて分かるケースがほとんどです。

そんな中、「元禄箸」 を使っているお店がありましたので、ご覧いただきましょう。


     
     こちらが 「元禄箸」 です。
     といっても、これではよく見えませんよね


     
     拡大してみましたが、今度はいかがでしょう?
     切り口が八角形で、お箸全体に溝があるのがお分かりいただけますでしょうか?


 さて、元禄箸の名前の由来となった元禄時代は、17世紀後半から18世紀初頭の十数年間。

「生類憐れみの令」 を発布した 第5代将軍 徳川綱吉の時代。

松尾芭蕉が奥の細道の旅に出たのも、赤穂浪士の討ち入りがあったのも元禄年間です。

90年以上も流通していた 「慶長小判」 の摩耗や破損を機に、新しい小判に切り替え。

ところが幕府の財政窮乏により金の含有量を減らしたため、重さこそ変わらないものの、

品位も品質も低下してしまったこの小判は 「元禄小判」 と呼ばれるようになりました。

「元禄箸」 は元禄時代からあったわけではなく、明治の半ばに出来たものですが、

角を削り、さらに全体に溝をつけることで、材料である木が少なくなることから、

金の含有量を減らした 「元禄小判」 になぞらえて 「元禄箸」 と呼ばれるようになりました。

でも、角を削ったことで滑らかになり、溝をつけたことで割りやすくなったのですから、

小判と違ってこの工夫は人々に喜ばれ、今に続いているのですね。

ちなみに、「小判箸」 という割り箸もあります。

こちらも切り口が小判の形をしていますが、溝は下半分にしかついていないため、

下から割った際に、上の部分がキレイに割れないことが多々あります。

元禄箸が出来る十年ほど前から使われていたもので、割り箸としては最も古いそうです。


 さて、お次はどんな割り箸をお目に掛けられるか、秘書にゃんことのお箸の旅は続きます。


お読みくださいまして、ありがとうございます。
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