アキコは薄いカーテンからすける光のなかをヒデオに近づいた。ヒデオはベッドにもたらかかり、腕をダランと床につけていた。アキコはヒデオの肩に手をやり、呼びかけた。
「ヒデオ、ヒデオ。」
「うん、ゴメン。」
「よかった。死んじゃったかと思った。」
「ふふ。」
ヒデオはアキコの肩を抱いた。
「そんなわけないよ。」
「だって・・・、なんか、そんな感じが・・・・。」
涙ぐんでいた。ヒデオはアキコを抱き寄せた。
「よかった。ほんとによかった。」
アキコはヒデオにしがみ付いた。
「ねえ、私ね。凄く感じたの。今までにないくらい。」
ヒデオの横にアキコは腰を落とした。胸に頭をのせ、ヒデオの腿に手を置いた。
「はは、フニャフニャなっちゃった。」
ヒデオ自身に触れた。ヒデオはアキコの手に手を添えた。
「不思議ね。身体って。」
ヒデオはアキコの頭を撫でた。
「私わかったような気がするの。ヒロムの言葉は時々難しすぎて、解らなくなるの。でもね。私たちが「ベース」で、感じていたものは、本当は今日みたいな感覚になるためのものだったんじゃないかって。」
アキコはヒデオ自身を握ろうとした。ヒデオの手がそれを止めようとして、アキコの手を押さえた。が、ヒデオの手には力が入らず、指先が背中を愛撫した時のようにアキコの手の甲や指を優しく移動した。アキコは指さきから感じる電気のような感触にヒデオ自身から手を離した。ヒデオはアキコの手を掌で覆った。アキコの掌はヒデオ自身に優しく着地した。
「ヒデオ。」
「何。」
「話さなくても、いいって。ヒデオも感じているって思うんだけど・・・・。」
「いいよ。」
優しすぎるくらいのトーンだった。
「私、ほんとに嬉しいの。ねっ、ねっ。ほんとに一つになっちゃた感じがしたの。」
ヒデオはアキコの顎の下に手をやり、ゆっくりとヒデオのほうに導いた。ふたりは口付けた。確かめるような口付けの後、アキコは言った。
「よかった。」
アキコの安心しきった笑顔がヒデオの瞳に入ってきた。アキコは、もう一度、ヒデオの胸に、心臓の音でも聞くかのように頭をのせた。
「私ね。今の「ベース」にね。段々、行きたくなくなってきちゃった。昔だったら、隣にいる誰かとそうなってもよかったんだけど。今の「ベース」の人たちとそうなるのは抵抗があるの。」
また、ヒデオはアキコの頭を撫でた。
「ヒロム、ヒロムの「ベース」とね。私の「ベース」は違う気がするの。今日ヒデオとこうなれて、はっきりわかったの。」
ヒデオは何も言わなかった。ただ、ヒデオの撫でる手が止まり、アキコの頭をぎゅっと抱きしめた。その感触が同じ感じを持っていることを伝えていた。
「ねえ、一緒に棲まない。もし、よかったら、ヒカルやミサキも一緒に。私たちの「ベース」を・・・・・・」
ヒデオの手の力が緩んでいった。ヒデオの意識の中にアキコの声はしっかり届いていた。ただ、身体が、限界に来ていた。アキコはヒデオの腕をはずし、ヒデオの肩に手を置いた。
「ゴメンね。明日も早いのに。」
ヒデオは首を振り、目を開けようとした。アキコは立ち上がり、ヒデオの手を取って、ヒデオが立つのを手伝った。そのまま、パイプベッドにヒデオは倒れ込んだ。アキコはヒデオの下敷きになった毛布を引っ張り出し、うつ伏せのヒデオに寄り添って毛布をかけた。
「ヒデオ、ヒデオ。」
「うん、ゴメン。」
「よかった。死んじゃったかと思った。」
「ふふ。」
ヒデオはアキコの肩を抱いた。
「そんなわけないよ。」
「だって・・・、なんか、そんな感じが・・・・。」
涙ぐんでいた。ヒデオはアキコを抱き寄せた。
「よかった。ほんとによかった。」
アキコはヒデオにしがみ付いた。
「ねえ、私ね。凄く感じたの。今までにないくらい。」
ヒデオの横にアキコは腰を落とした。胸に頭をのせ、ヒデオの腿に手を置いた。
「はは、フニャフニャなっちゃった。」
ヒデオ自身に触れた。ヒデオはアキコの手に手を添えた。
「不思議ね。身体って。」
ヒデオはアキコの頭を撫でた。
「私わかったような気がするの。ヒロムの言葉は時々難しすぎて、解らなくなるの。でもね。私たちが「ベース」で、感じていたものは、本当は今日みたいな感覚になるためのものだったんじゃないかって。」
アキコはヒデオ自身を握ろうとした。ヒデオの手がそれを止めようとして、アキコの手を押さえた。が、ヒデオの手には力が入らず、指先が背中を愛撫した時のようにアキコの手の甲や指を優しく移動した。アキコは指さきから感じる電気のような感触にヒデオ自身から手を離した。ヒデオはアキコの手を掌で覆った。アキコの掌はヒデオ自身に優しく着地した。
「ヒデオ。」
「何。」
「話さなくても、いいって。ヒデオも感じているって思うんだけど・・・・。」
「いいよ。」
優しすぎるくらいのトーンだった。
「私、ほんとに嬉しいの。ねっ、ねっ。ほんとに一つになっちゃた感じがしたの。」
ヒデオはアキコの顎の下に手をやり、ゆっくりとヒデオのほうに導いた。ふたりは口付けた。確かめるような口付けの後、アキコは言った。
「よかった。」
アキコの安心しきった笑顔がヒデオの瞳に入ってきた。アキコは、もう一度、ヒデオの胸に、心臓の音でも聞くかのように頭をのせた。
「私ね。今の「ベース」にね。段々、行きたくなくなってきちゃった。昔だったら、隣にいる誰かとそうなってもよかったんだけど。今の「ベース」の人たちとそうなるのは抵抗があるの。」
また、ヒデオはアキコの頭を撫でた。
「ヒロム、ヒロムの「ベース」とね。私の「ベース」は違う気がするの。今日ヒデオとこうなれて、はっきりわかったの。」
ヒデオは何も言わなかった。ただ、ヒデオの撫でる手が止まり、アキコの頭をぎゅっと抱きしめた。その感触が同じ感じを持っていることを伝えていた。
「ねえ、一緒に棲まない。もし、よかったら、ヒカルやミサキも一緒に。私たちの「ベース」を・・・・・・」
ヒデオの手の力が緩んでいった。ヒデオの意識の中にアキコの声はしっかり届いていた。ただ、身体が、限界に来ていた。アキコはヒデオの腕をはずし、ヒデオの肩に手を置いた。
「ゴメンね。明日も早いのに。」
ヒデオは首を振り、目を開けようとした。アキコは立ち上がり、ヒデオの手を取って、ヒデオが立つのを手伝った。そのまま、パイプベッドにヒデオは倒れ込んだ。アキコはヒデオの下敷きになった毛布を引っ張り出し、うつ伏せのヒデオに寄り添って毛布をかけた。