坂の中腹まで、ほぼ全力疾走で走った。エントランスを抜けて、階段を駆け上がり、マサルの部屋の前で手を離した。息が切れていた。マサルは鍵を開けて中に入り、腰を下ろした。膝に手を当て、明菜は、ハー、ハーしていた。
「ここがあなたの部屋なの。」
「そうだよ。」
「凄いわね。」
「そんなことないよ。」
「どうして走ったの。」
「いいから、中に入りなよ。」
マサルは手を差し出した。明菜は、苦しげに身体を起こして手を握った。クッと引いたかと思うとマサルの上にダイブした。明菜の身体がマサルの上に重なった。マサルの胸に柔らかいブラの中の乳房の感触が伝わった。マサルの顔の横に明菜の顔があった。明菜は上半身を起し、マサルの顔を見た。
「どうして走ったの。」
「早く、二人きりになりたくて。」
「うそ。」
そういいながら明菜は嬉しそうな顔をしてマサルにキッスをした。マサルの開いた股の間に明菜の足があった。自身の上に自身があった。明菜の唇が、マサルの下唇を噛み、唇を開かせた。舌が唇の周りを一周した。薄く開いた唇から明菜の舌が入ってきた。ツンツンとマサルの舌を突き、上から下へ、下から上へと絡みつき、マサルの舌を誘い出した。マサルの舌が明菜の唇を通過した瞬間、明菜はマサルの舌を思い切り吸った。根本から引きちぎられそうな痛みをマサルは感じた、と同時に、わずかな快感も。痛みが快感を上回った。マサルは明菜の背中を叩いた。明菜は唇を離した。
「うそをついたからよ。」
そう言うとマサルの上から降りた。マサルの横に座ると、部屋を見渡した。マサルは口をガクガクさせながら、身体を起こし、ドアを閉めた。明菜はリビングに上がり込んでいた。
「凄い部屋ね。」
明菜はリビングを歩き回りながら言った。
「バンドやっているの?」
「やってないよ。」
「凄い機材じゃない。」
「ああ。」
マサルは明菜の行動を横目で見ながら、寝室へ入り、窓を開けた。道路を見下ろした。ミサキはいなかった。フーと溜息をついて、リビングに戻ると明菜がソファーに座っていた。
「スタジオみたいね。」
「うん」
「全部できるの。」
「全部じゃないけど。」
「何をやるの。」
「ギターかな。」
「これってビデオ。」
明菜はビデオシステムを指差していった。
「そうだよ。」
「何か見せて。」
マサルはセットされていた「ウッドストック」のビデオを再生した。ジミヘンが終わりそうだったので、ジミヘンの頭まで戻した。
「これね。」
「そう。」
明菜の視線はビデオに奪われた。
「何か飲む?」
「何があるの?」
「うーん。」
「何でもいいけど、昨日みたいのは止めてね。あの後、お店で大変だったんだから。」
「解った。」
マサルがキッチンに行こうとすると電話が鳴った。
「マサルさん、清美ですけど、今日はいらっしゃるんですか。」
「ああ、清美さん、今日は友だちがきてるから、いいよ。」
「でも、今週はまだ一度もいってませんし。」
「じゃあ、明日きて。」
「解りました。」
マサルが受話器を置くと、明菜が聞いた。
「誰?」
「誰って・・・。家政婦の清美さん、週に二回くらい掃除しにきてくれるんだ。」
「家政婦?」
あたりを見回した。
「散らかっているけど綺麗よね。この部屋・・・、ベンベーも、白金のお家も凄いけど・・・・お金もちなんだねえ。」
明菜は溜息をついた。マサルはキッチンに行ってコーラとウォッカを持ってきた。
「昨日、何か入れたでしょ?」
「エッ。」
「あの後もなんかムラムラして・・・・。」
「ウォッカ?」
サイドボードから、グラスを出した。
「あっ、氷いる?」
「ええ。」
マサルがキッチンから氷を持ってくると明菜はグラスにコーラとウォッカを入れていた。マサルからアイスペールを受け取り、キューブアイスを二、三個落とした。
「下北、よく来るの。」
「住んでいるの。」
「エッ。」
「北口のほうだけど。」
「そうなんだ。」
マサルは何か嬉しかった。マサルの部屋に人が来ることはほとんどなかった。明菜の顔を見た。かなり濃い目の化粧だった。でも綺麗だった。
「この部屋、涼しいね。」
「寒い?」
「いいえ。クーラー?」
「うん。」
明菜はまた部屋を見回した。
「違うんだねえ。」
「何が?」
「生活が。」
明菜はウォッカ入りコーラを口にした。マサルも気付いたようにコーラを手にした。
「どうして、原宿にいたの。」
「うーん、買い物ってのは嘘でえ。」
「今日、同伴してくれる人、探していたの。」
「それで、僕が引っ掛かったわけか。」
「違うわ。あんなことしたの、はじめてよ。私、同伴できなくて、先輩がナンパするんだよって言うから・・・・」
「そうなの。」
「あなたこそ。原宿でナンパしてるんでしょう?」
「うーん、ナンパはしようとするけど、成功はしたことないよ。」
「嘘、」
「嘘じゃないよ。」
「そんなに綺麗なのに。」
「綺麗?」
「あなたの顔って、魅力的よ。あなたじゃなければ、車に乗らなかったわ。」
「ほんと?」
「あなた、自分のこと、いい男だと思っているでしょ。?」
「なに言ってるんだよ。そんなこと思ったことないよ。」
明菜は髪留めを外した。髪をほどいた。
「ねえ。」
明菜はグラスを置いた。マサルを見つめた。
「ここがあなたの部屋なの。」
「そうだよ。」
「凄いわね。」
「そんなことないよ。」
「どうして走ったの。」
「いいから、中に入りなよ。」
マサルは手を差し出した。明菜は、苦しげに身体を起こして手を握った。クッと引いたかと思うとマサルの上にダイブした。明菜の身体がマサルの上に重なった。マサルの胸に柔らかいブラの中の乳房の感触が伝わった。マサルの顔の横に明菜の顔があった。明菜は上半身を起し、マサルの顔を見た。
「どうして走ったの。」
「早く、二人きりになりたくて。」
「うそ。」
そういいながら明菜は嬉しそうな顔をしてマサルにキッスをした。マサルの開いた股の間に明菜の足があった。自身の上に自身があった。明菜の唇が、マサルの下唇を噛み、唇を開かせた。舌が唇の周りを一周した。薄く開いた唇から明菜の舌が入ってきた。ツンツンとマサルの舌を突き、上から下へ、下から上へと絡みつき、マサルの舌を誘い出した。マサルの舌が明菜の唇を通過した瞬間、明菜はマサルの舌を思い切り吸った。根本から引きちぎられそうな痛みをマサルは感じた、と同時に、わずかな快感も。痛みが快感を上回った。マサルは明菜の背中を叩いた。明菜は唇を離した。
「うそをついたからよ。」
そう言うとマサルの上から降りた。マサルの横に座ると、部屋を見渡した。マサルは口をガクガクさせながら、身体を起こし、ドアを閉めた。明菜はリビングに上がり込んでいた。
「凄い部屋ね。」
明菜はリビングを歩き回りながら言った。
「バンドやっているの?」
「やってないよ。」
「凄い機材じゃない。」
「ああ。」
マサルは明菜の行動を横目で見ながら、寝室へ入り、窓を開けた。道路を見下ろした。ミサキはいなかった。フーと溜息をついて、リビングに戻ると明菜がソファーに座っていた。
「スタジオみたいね。」
「うん」
「全部できるの。」
「全部じゃないけど。」
「何をやるの。」
「ギターかな。」
「これってビデオ。」
明菜はビデオシステムを指差していった。
「そうだよ。」
「何か見せて。」
マサルはセットされていた「ウッドストック」のビデオを再生した。ジミヘンが終わりそうだったので、ジミヘンの頭まで戻した。
「これね。」
「そう。」
明菜の視線はビデオに奪われた。
「何か飲む?」
「何があるの?」
「うーん。」
「何でもいいけど、昨日みたいのは止めてね。あの後、お店で大変だったんだから。」
「解った。」
マサルがキッチンに行こうとすると電話が鳴った。
「マサルさん、清美ですけど、今日はいらっしゃるんですか。」
「ああ、清美さん、今日は友だちがきてるから、いいよ。」
「でも、今週はまだ一度もいってませんし。」
「じゃあ、明日きて。」
「解りました。」
マサルが受話器を置くと、明菜が聞いた。
「誰?」
「誰って・・・。家政婦の清美さん、週に二回くらい掃除しにきてくれるんだ。」
「家政婦?」
あたりを見回した。
「散らかっているけど綺麗よね。この部屋・・・、ベンベーも、白金のお家も凄いけど・・・・お金もちなんだねえ。」
明菜は溜息をついた。マサルはキッチンに行ってコーラとウォッカを持ってきた。
「昨日、何か入れたでしょ?」
「エッ。」
「あの後もなんかムラムラして・・・・。」
「ウォッカ?」
サイドボードから、グラスを出した。
「あっ、氷いる?」
「ええ。」
マサルがキッチンから氷を持ってくると明菜はグラスにコーラとウォッカを入れていた。マサルからアイスペールを受け取り、キューブアイスを二、三個落とした。
「下北、よく来るの。」
「住んでいるの。」
「エッ。」
「北口のほうだけど。」
「そうなんだ。」
マサルは何か嬉しかった。マサルの部屋に人が来ることはほとんどなかった。明菜の顔を見た。かなり濃い目の化粧だった。でも綺麗だった。
「この部屋、涼しいね。」
「寒い?」
「いいえ。クーラー?」
「うん。」
明菜はまた部屋を見回した。
「違うんだねえ。」
「何が?」
「生活が。」
明菜はウォッカ入りコーラを口にした。マサルも気付いたようにコーラを手にした。
「どうして、原宿にいたの。」
「うーん、買い物ってのは嘘でえ。」
「今日、同伴してくれる人、探していたの。」
「それで、僕が引っ掛かったわけか。」
「違うわ。あんなことしたの、はじめてよ。私、同伴できなくて、先輩がナンパするんだよって言うから・・・・」
「そうなの。」
「あなたこそ。原宿でナンパしてるんでしょう?」
「うーん、ナンパはしようとするけど、成功はしたことないよ。」
「嘘、」
「嘘じゃないよ。」
「そんなに綺麗なのに。」
「綺麗?」
「あなたの顔って、魅力的よ。あなたじゃなければ、車に乗らなかったわ。」
「ほんと?」
「あなた、自分のこと、いい男だと思っているでしょ。?」
「なに言ってるんだよ。そんなこと思ったことないよ。」
明菜は髪留めを外した。髪をほどいた。
「ねえ。」
明菜はグラスを置いた。マサルを見つめた。