仁、そして、皆へ

そこから 聞こえる声
そして 今

空の色が悲しくてⅡ

2009年06月10日 17時14分40秒 | Weblog
 清美さんは抵抗することはなかった。ただ、肩をポンポンと叩き、マサルの耳もとで囁いた。
「いいですよ。いいですよ。でも、少し待ってください。待ってください。」
マサルの動きが止まった。清美さんのその日の格好はいつも、部屋に来る時とはぜんぜん違っていた。スラックスにティーシャツ、カーデガンがお決まりだった。その日は太陽の光に当ると腰から足が透けて見えてしまいそうな薄い生地のフレアースカートと首元でリボンが結べるブラウスを着ていた。マサルは叱られた子供のように清美さんの身体を離れ、正座した。顔をゆっくり上げると清美さんのお笑顔があった。いつもと違う清美さんがいた。綺麗だった。マサルははじめて清美さんに女性を感じた。姉のように、いや、身体のつくりは違うが同胞のようにマサルは清美さんのことを思っていた。
 なぜか、緊張した。清美さんはゆっくり起き上がるとマサルの手を取った。フッと唇が近づき、口づけた。愛おしさがこもったキッスだった。唇に軽く触れ、離れ、また、触れ、軽く吸い、離れ、強く吸い、マサルがそれに答えると舌を入れた。長いキッスをした。
 顔が離れると清美さんは高揚していた。マサルの腰に手を当てるとマサルを立ち膝にした。ベルトをはずし、ジッパーを下げて、自身をあらわにした。優しくくわえるとそのまま座らせた。二人とも正座をして、清美さんがお辞儀をするような格好でマサル自身を含んだ。その行為は清美さんの思いが詰まっていた。マサルの一番感じる部分に舌先が届いた。マサルの一番感じる瞬間に吸い込んだ。激しい動きは一つもなかった。マサル自身から伝わる快感の波はけして性的なものだけでなく魂の部分が揺さぶられるほど優しく、愛に満ちていた。マサルはこの快感と愛を長く感じていたかった。
 それでも自身は反応しそうになった。清美さんは直ぐにそれを察して唇を離した。発射前の一線の微妙な状態でマサルは開放された。
 清美さんはマサルの足を取り、伸ばした。マサルの上体に身体を重ね、マサルを寝かせた。ジーンズとトランクスを引き下げ、マサル自身を露わにした。スッと立ち上がると、パンティーを降ろした。清美さんは素足にサンダルだった。何も言わずにマサルに手を引かれたのだが、川原に下りるのは大変だっただろうと、そのとき、マサルは思った。パンティーを立ったまま足から抜くと、クルッと丸めてマサルのジーンズのポケットにねじ込んだ。マサルをまたぐようにして一度立つと、フッとフレアスカートが拡がって、そのままマサル自身を取り込みに来た。顔のほうを向いているマサル自身を右手で捕らえて、清美さんのなかに招き入れた。
 ゆっくり、ゆっくり、そして、一番深いところまで。唇と同様に包み込むように。
 膝をつき、位置が決まると、清美さんはブラウスのボタンをはずし、ブラジャーのフロントホックをはずした。マサルの手を乳房に導いた。両腕をマサルの腕に絡めた。ゆっくりと腰を動かした。マサル自身は直ぐにでもいきそうだった。長く感じていたかった。必死でこらえた。やがて、リズムが生まれ、上に下に、左右に、ぐるりと回転した。マサルはこらえることができなくなった。発射する瞬間、それを知っていたかのように清美さんの腰はさらに激しく振動し、マサルの分身を受け入れた。
 動きが止まった。マサルの腕を放すと、腹の上に手をついた。マサルの手がスッと動いてマサルの顔を覆った。不規則な痙攣がググッとマサル自身を締め付けた。そのたびにピクンと自身は反応した。マサルは清美さんの行為が戯れでないことを感じた。涙がこぼれた。萎えることのない自身を入れたまま、清美さんがマサルに重なってきた。
「どうしたの。」
優しく聞いた。イヤイヤをするようにマサルは首を振った。
「ねえ、どうしたの。」
「清美さん、結婚しても会えるよね。結婚しても・・・・」
「あらあら。」
清美さんはマサルの顔を隠している手を取った。優しく口づけた。
「いつでも会えるわ。マサルさんが会いたければ、いつでも、会いに行くわ。」
マサルは子供のように泣いた。それでも、清美さんの中の心地良さが、今、果てたマサル自身を再び勃起させた。
「あら。」