マサルの回復を待って楽器や機材がマサルの部屋から「ベース」に運び込まれた。ヒデオの仕事道具を「ベース」に新設した倉庫に入れ、空っぽのハイエースがマンションの脇の道に横ずけされた。積み込みの天才、そうヒデオが呼んだマーが大活躍だった。マサルの機材は小さなライブハウスなら充分にオープンできそうなくらいあった。それを少しも無駄なスペースを作らず一回で運べるようにマーは積み込んだ。
この日は男が四人で作業をした。助手席までギチギチに格納され、三人はマサルのベンベーに乗った。ベンベーにもギター、スネア、ベースその他もろもろが積まれ、マーが後部座席で同席した。病み上がりのマサルにとって、この移動は少しきつかった。それでも江戸川を渡ったくらいから興奮がひしひしと身体に満ちてきた。その変化の過程で参加をしていたもののその場所に近づくにつれて、はじめてその場所にたどり着くような気分になっていった。
草ボウボウの雑木林は綺麗に整備され、「ベース」の建物がはっきり見えた。丸太の柵を遠めで見ると変形したひょうたん型の土地だということにも、はじめて気付いた。
車が「ベース」に近づくと音を聞いたアキコ、マサミ、ミサキ、ハルが出迎えた。
「電車で来るとすごく遠いよ。」
ハルの一声だった。全員で機材を降ろし、昔で言う奥座敷の位置にセットした。マーとマサルが機材の配置、配線を担当し、残りの全員でパーティーの準備をした。マサルの部屋も広かったが、セッティングを終えてみるとその奥座敷はさらに広かった。音出しをする前にヒデオが一番近い隣家までハイエースを走らせた。マサルのギターとマーのドラムではじめた音出し。かなりの音量だった。ヒデオは隣家から少しづつ、「ベース」のほうに近づいた。音の輪郭がわかったのは「ベース」の柵に近づいてからだった。「ベース」に着くとヒデオは奥座敷に走り、丸のマークをマサルとマーに示した。マサルはニッと仁のように笑った。
パーティーは夕暮れの始まる少し前に始まった。
この日は男が四人で作業をした。助手席までギチギチに格納され、三人はマサルのベンベーに乗った。ベンベーにもギター、スネア、ベースその他もろもろが積まれ、マーが後部座席で同席した。病み上がりのマサルにとって、この移動は少しきつかった。それでも江戸川を渡ったくらいから興奮がひしひしと身体に満ちてきた。その変化の過程で参加をしていたもののその場所に近づくにつれて、はじめてその場所にたどり着くような気分になっていった。
草ボウボウの雑木林は綺麗に整備され、「ベース」の建物がはっきり見えた。丸太の柵を遠めで見ると変形したひょうたん型の土地だということにも、はじめて気付いた。
車が「ベース」に近づくと音を聞いたアキコ、マサミ、ミサキ、ハルが出迎えた。
「電車で来るとすごく遠いよ。」
ハルの一声だった。全員で機材を降ろし、昔で言う奥座敷の位置にセットした。マーとマサルが機材の配置、配線を担当し、残りの全員でパーティーの準備をした。マサルの部屋も広かったが、セッティングを終えてみるとその奥座敷はさらに広かった。音出しをする前にヒデオが一番近い隣家までハイエースを走らせた。マサルのギターとマーのドラムではじめた音出し。かなりの音量だった。ヒデオは隣家から少しづつ、「ベース」のほうに近づいた。音の輪郭がわかったのは「ベース」の柵に近づいてからだった。「ベース」に着くとヒデオは奥座敷に走り、丸のマークをマサルとマーに示した。マサルはニッと仁のように笑った。
パーティーは夕暮れの始まる少し前に始まった。