演奏はダンサーの体力、その日の調子によって長さが変わった。ヒデオとアキコがトランス状態に入ると、延々と続いた。誰かが抜けてもかまわなかった。音が全てなくなっても、二人は舞い続けることもあった。それは稀で、最低一つの音か、声が舞いとシンクロしていたのだが。
その日はマサルが抜けた。食堂に戻り、ビールを煽った。喉がヒリヒリするほど乾いていた。次にハルがドアを開け、マサルの飛びついた。
「ライブやろうよ。」
「はは、いいねえ。」
マサルはグラスを渡し、ジャンボボトルからなみなみ注いだ。乾杯した。二重ガラスの窓の中を見た。
「今日は後、五分かな。」
「ああ、アキコさん、少し疲れてるかな。」
マーが抜けた。
「暑い、暑い。」
今度はハルがグラスを渡した。
「ハルがライブよろうよって。」
「ライブー。」
「おまえ、ライブやってたんだろ。ライブハウスとか、知り合いとかいるだろ。」
「そう簡単じゃないよ。ライブハウス出るの。」
「そうなの。」
「うー、この感じって、お客がわかるかなあ。」
「解るって。」
「演奏してるほうはいいけど、聞くほうが理解できるかって言うか。」
「そんなこともあるのか。」
「まっ、とりあえず、デモテープ作んないとね。」
「デモテープ。」
ハルとマサルは声をそろえた。マサミが出てきた。マーがグラスを渡した。
「喉、渇いたー。」
ビールを飲み干した。
「あれ、けっこう続いてるじゃん。」
四人が窓に張り付いた。ミサキのヴォイスとヒカルのベース。シンプルなリフレインがヒデオとアキコの動きをつつんでいた。一音の長いフレーズがゆったりとした世界を作っていた。
「いい感じじゃないですか。」
マーが戻った。
「マミちゃん、ライブやったことある。」
「ライブ。」
「うん。」
「スナックで弾いたことはあるけど・・・・・」
「デモテープってどうやってつくるの。」
「マーに聞かないと解らないよ。」
「そうよねー。」
「あっ、終わりそうだ。」
なぜかは解らないが、ヒデオとアキコは全裸になった。全裸にならなければ、舞えないようなところがあった。ヒデオが正座して、アキコがそこに重なった。皆が戻り、音を繋げ、静寂の中に至った。その日の最後の余韻はミサキのヴォイスだった。
ウー イー イェー
その日から、ライブの話が真剣に始まった。
その日はマサルが抜けた。食堂に戻り、ビールを煽った。喉がヒリヒリするほど乾いていた。次にハルがドアを開け、マサルの飛びついた。
「ライブやろうよ。」
「はは、いいねえ。」
マサルはグラスを渡し、ジャンボボトルからなみなみ注いだ。乾杯した。二重ガラスの窓の中を見た。
「今日は後、五分かな。」
「ああ、アキコさん、少し疲れてるかな。」
マーが抜けた。
「暑い、暑い。」
今度はハルがグラスを渡した。
「ハルがライブよろうよって。」
「ライブー。」
「おまえ、ライブやってたんだろ。ライブハウスとか、知り合いとかいるだろ。」
「そう簡単じゃないよ。ライブハウス出るの。」
「そうなの。」
「うー、この感じって、お客がわかるかなあ。」
「解るって。」
「演奏してるほうはいいけど、聞くほうが理解できるかって言うか。」
「そんなこともあるのか。」
「まっ、とりあえず、デモテープ作んないとね。」
「デモテープ。」
ハルとマサルは声をそろえた。マサミが出てきた。マーがグラスを渡した。
「喉、渇いたー。」
ビールを飲み干した。
「あれ、けっこう続いてるじゃん。」
四人が窓に張り付いた。ミサキのヴォイスとヒカルのベース。シンプルなリフレインがヒデオとアキコの動きをつつんでいた。一音の長いフレーズがゆったりとした世界を作っていた。
「いい感じじゃないですか。」
マーが戻った。
「マミちゃん、ライブやったことある。」
「ライブ。」
「うん。」
「スナックで弾いたことはあるけど・・・・・」
「デモテープってどうやってつくるの。」
「マーに聞かないと解らないよ。」
「そうよねー。」
「あっ、終わりそうだ。」
なぜかは解らないが、ヒデオとアキコは全裸になった。全裸にならなければ、舞えないようなところがあった。ヒデオが正座して、アキコがそこに重なった。皆が戻り、音を繋げ、静寂の中に至った。その日の最後の余韻はミサキのヴォイスだった。
ウー イー イェー
その日から、ライブの話が真剣に始まった。