仁、そして、皆へ

そこから 聞こえる声
そして 今

それがライブというものさⅥ

2009年07月30日 11時55分21秒 | Weblog
 ヒデオの車に機材を積んだ。機材といっても、ギターとベース、キーボードだけだった。アンプ類は店のを借りることにした。ベンベーとハイエースに分譲してハウスに向かった。
 四バンドのライブで十八時スタートだった。入りの時間は十三時と言われていた。十二時くらいに駅前について車を駐車場に入れた。喫茶店のような洋食店に入り、昼食をとった。マサルは軽くビールを飲んだ。ヒデオも飲んだ。
 約束の十三時にハウスの前に行ってみるとドアには鍵がかかっていた。楽器を壁に立て掛け、歩道に集結すると、道行く人の邪魔になりそうだったので、一列に腰を下ろした。他のバンドのメンツも来なかった。早紀も美幸もいなかった。八人が歩道の端に並んでいるのは可笑しな風景だった。坊主頭の体格のいい男がジロッという感じで見た。
「ここ座ってたらだめだよ。オマワリうるさいから。」
皆はいっせいに立った。
「開演まで時間あるけど、ここには座らないでね。」
客と間違えられた。
「ビーエスエイトですけど。」
マーがいくぶんすごんで言った。
「えっ。」
「今日、お世話になるビーエスエイトです。」
「あッ、お待たせ。時間正確だね。はははは。」
そういうとハウスの鍵を開け、そそくさと地下に消えた。
「楽器見えなかったのかしら・・・」
マサミがボソッと言った。皆で後を追うように、地下に降りた。鉄ドアを開け、マーに習って、いっせいに挨拶をした。
「オハヨーゴザイマス。」
当然、先ほどの彼しかいないのだが。