仁、そして、皆へ

そこから 聞こえる声
そして 今

純ケツを捧げよとは言わないがⅥ

2009年07月21日 14時44分19秒 | Weblog
 窓の外の景色が変わり始めた頃マーがぽつんと言った。
「マサル、今はそう呼べるけど・・・。」
「何でしょうか。」
「何も考えないほうだけど・・・・。」
「解っているよ。」
「何か・・・・・。」
「はは、マー、どうしたんだよ。」
「ハルとマサルとなったときが初めてだったんだ。男とそうなるの。」
「おいおい、急にどうした。」
「金子さんとの感じが全然、ちがってて。」
「世界も、空気も、かな。」
「何か・・・・。」
「何か解らないけど、そうなっていた。そうだろ。何ならその辺で休憩でもして、確かめて見るかい。」
「何、バカのこといってんだよ。」
「はは、僕らがああなれたのは、男でも女でもなかったからさ。」
「うん。」
「僕らは存在そのものとして交わった。いま、そこに、いや、ここにいることを知る。いや、確かめるために。」
「マサル。」
「マーは肉体を手段として使ったみたいで、心が痛いんだろ。」
「え。」
「仁さんといると、肉体の奥が見えるだ。」
「なに。」
「魂の部分で共有していることを感じるんだ。肉体はその共有を知るための媒体さ。」
「マサルさん。」
「マーが、感じていること。それなら、もうしなければいい。それか、手段として使うことを自覚して、征服すればいい。」
「難しすぎます。」
「アン。」
「どうしたの。」
「マー、二人きりで確かめてもいいよ。」
「ええ。」
「はは、嘘。もう「ベース」に着くよ。」
「なんだよー。」
「今、そんなふうならなくても、音で交わっている感じするじゃん。」
「そうか。わたらないけど、ちょっと元気出てきた。」
「オーケー。」
車は「ベース」の近くの江戸川沿いを走っていた。マーはハンドルを握るマサルの手の甲に口づけた。
「マサル、アリガト。」
マサルの優しく、全てを受け入れるような微笑がマーの視線に入ってきた。マーは嬉しかった。