導入が難しかった。誰から始めるという感じになれなかった。そう、自然と演奏に入れない何かがあった。週末のパーティーがずいぶんと静かなものになった。マサルは唸った。ビールを飲んだ。ハルが立ち上がった。涙目だった。
「ごめんなさい。私がライブやろうなんていったから。」
しばらくうつむいたままだった。
「でもね、でもね。私、他の人にも聞いて欲しかったの。自分でやってて、すごく感じて。違うところにいけるような、ここにいながら別の場所にいけるような、フーって浮き上がるような、だから、だから、ライブやったら、他の人・・・・。」
マサルがルームのドアを開けた。苛立っていた。ディストーションを踏み込み、荒々しく弾き始めた。マサルのギターはほんとにそのときのマサルの内面が音になった。
「おー、マサルちゃん、ちょっときてるね。」
マサミが面白がって、ルームに入った。マサルとマサミのバトルが始まった。
「ハルちゃん、すごいよ。」
ミサキがハルを促し、二重ガラスの窓に誘った。マサルのフレーズを追いかけ、ぶつかり、ひっくり返すようにマサミのキーボードが唸った。
「はは、これは面白そうだ。」
マーも飛び込んだ。
「こうなると大変なんだよ。」
ヒカルも後を追った。音も声も出さない二人はへんに緊張していた。音の応酬。苛立っていたマサルが、マー、ヒカルが参加して、音のバトルに快感を感じてきた。
ドドドドド グシャーン ブホー ディディディ キーンキーン
ドッド ドッド ビーン ビビッビーン
涙目のハルが笑い出した。
「いい感じになってきたね。」
「行こう。」
ハルとミサキもドアを開けた。ヒデオとアキコは目が点になっていた。その二重ガラスの窓からもれる音が映像になった。二人は抱き合い、窓に近づいた。トラが吠え、ライオンが笑い、シマウマが走り、ペリカンが飛翔した。音の渦が、右に左に流れ、中央に集中すると弾け跳んだ。
ヒデオが口づけ、アキコを脱がした。全裸になるとヒデオを脱がした。二人もドアを開けた。今度はその流れが二人に憑依した。
「ごめんなさい。私がライブやろうなんていったから。」
しばらくうつむいたままだった。
「でもね、でもね。私、他の人にも聞いて欲しかったの。自分でやってて、すごく感じて。違うところにいけるような、ここにいながら別の場所にいけるような、フーって浮き上がるような、だから、だから、ライブやったら、他の人・・・・。」
マサルがルームのドアを開けた。苛立っていた。ディストーションを踏み込み、荒々しく弾き始めた。マサルのギターはほんとにそのときのマサルの内面が音になった。
「おー、マサルちゃん、ちょっときてるね。」
マサミが面白がって、ルームに入った。マサルとマサミのバトルが始まった。
「ハルちゃん、すごいよ。」
ミサキがハルを促し、二重ガラスの窓に誘った。マサルのフレーズを追いかけ、ぶつかり、ひっくり返すようにマサミのキーボードが唸った。
「はは、これは面白そうだ。」
マーも飛び込んだ。
「こうなると大変なんだよ。」
ヒカルも後を追った。音も声も出さない二人はへんに緊張していた。音の応酬。苛立っていたマサルが、マー、ヒカルが参加して、音のバトルに快感を感じてきた。
ドドドドド グシャーン ブホー ディディディ キーンキーン
ドッド ドッド ビーン ビビッビーン
涙目のハルが笑い出した。
「いい感じになってきたね。」
「行こう。」
ハルとミサキもドアを開けた。ヒデオとアキコは目が点になっていた。その二重ガラスの窓からもれる音が映像になった。二人は抱き合い、窓に近づいた。トラが吠え、ライオンが笑い、シマウマが走り、ペリカンが飛翔した。音の渦が、右に左に流れ、中央に集中すると弾け跳んだ。
ヒデオが口づけ、アキコを脱がした。全裸になるとヒデオを脱がした。二人もドアを開けた。今度はその流れが二人に憑依した。