オミクロン株による死亡者数が4万人を超えた。殆どが高齢者の死亡で、重症としてカウントされず軽症中等症のコロナ病棟で亡くなられている。とはいえ、日本はワクチン接種率が高い国の1つであり、国際的にも人口あたりの死亡者数は少ない方だ。因みに、死因の殆どがコロナ特有の呼吸器症ではなく基礎疾患の悪化によるものだという。
”ワクチンを接種しても無意味”というのは短絡的で、ワクチンによって重症化や死亡を防いでる状況が今の日本である。
もしワクチンがなければ、助けられる人を選別する”トリアージ”が常態化していた最悪の可能性がある。新型コロナの最もタチが悪い所は、”ただの風邪”とか”ワクチンは無効”と思わせる事で人類を油断させ、最終的に死亡者数を増加させるという、社会的なクセの悪さなのかもしれない。
以上、「新型コロナ死亡者数が過去最多」から一部抜粋ですが、致死率が低い筈のオミクロン株で死者が過去最多となった。
勿論、年末年始の休業分が纏まって報告された可能性もあり、とは言っても油断は大敵である。因みに、オミクロン株は変異数が約50とかなり多く、感染力がかなり高い。変異数が多いと、免疫やワクチンに耐性がある可能性も捨てきれないとされる。
8日に累計死者が6万人を突破したが、ここ1カ月余で1万人増え、3万から4万になるのは3カ月かかったから“3倍速”である。感染者数は第7波より少ないのに、第8波の死者数が多いのは陽性者の全数把握ができてないからだとされる。
しかし、今の日本の医療現場を考えると(いや日本でなくとも)正確な陽性者の把握は無理であろう。
(過去にブログでも書いたが)新規陽性者のCt値をなぜ公表しないのか?Ct値の分布だけでも分かれば、コロナ渦の大まかな感染経路やその特性が判るはずだ。
因みにCt値とは、微量なウイルス遺伝子を増幅させ検出するサイクル値の事で、日本ではCt値<40を陽性とみなす。故に、このCt値が低いほどコロナの毒性(濃度)は高い。
つまり、総数だけでは何ら説得力も効力も持たない。データには属性があり、その属性に基づいて(加重するなど特殊な)処理しないと、有用なデータにはなり得えない。
それに、コロナ死とは言っても、その原因や状況や過程は千差万別である。故に、こんな状況下でも、未だにワクチン陰謀説が独り歩きする奇妙な状況にある。
人は学習する生き物である。しかし今の人類の多くは陰謀説に振り回されるだけの”情報の奴隷”に過ぎない。つまり、陰謀説もウイルスと同じく、変異を繰り返し、世界中に蔓延するのだろう。
そこで今日は、ワクチン陰謀説とムラ社会と高齢者の密な関係について述べたいと思います。
ムラ社会と陰謀説
”ワクチンはビル・ゲイツが策略した人口減少を目論んだものだ”
私の田舎で、こうした噂を聞けば(特に高齢者の)大半は”ワクチンは庶民の敵だ”と我が物顔で触れ回すだろう(多分)。
ムラ社会特有の無知といえばそれまでだが、人生を長年生き抜いた高齢者層にこういう陰謀説を信じる人が多いのには驚かされるし、ショックでもある。
なぜ彼らは彼女らは、多様的かつ多面的に物事を考える事ができないのだろうか。いや、陰謀説というものを距離をおいて眺める事ができないのだろうか。
陰謀であってもそれが本当なら真実そのものであるし、陰謀であってもそれがウソならば単なるデマである。
ムラ社会の民は全ての物事を、善か悪か、味方か敵か、正しいか間違いかなどの単純な二項選択で捉えてしまう。
つまり、濃度や深度などのスペクトルで物事を判断するではなく、中間の思考が空洞化し、脳みそはムラ社会の伝統と共に腐っていく。
一方で、ハロウィンやイベントで騒ぎたがる無邪気な若者らが陰謀説で世間をかき回す分は可愛いもんである。いや、若さが醸し出す幼稚な陰謀説には少なくとも夢と希望がある(多分)。
が、高齢者がこうしたアホ臭な陰謀説を鵜呑みにするという現象は、如何にムラ社会が慢性的に貧しい民の思考の自由を奪い続けてきたかを物語る。
あっさりと”ワクチン人口削減説”のウソ(フェイク)がファクトチェックにより暴かれた後は、今度は”何度もワクチンを打つと自己免疫力が低下する”という警告が一部の専門家や医師らから発せれ、再びワクチン陰謀説に火がついてしまった。
勿論、ワクチンを否定し自己満足に浸るのも理解出来なくはないが、自己満足ではコロナウイルスは防げない。
結局、ムラ社会の民は隣組と仏事と陰謀説が大好きで、それは今も昔も変わらない。
全く、専門家までもが陰謀説に便乗する時代。CO2削減や核軍縮よりも陰謀説削減というテーマで世界会議を開いたらどうだろうか。
ウイルスの謎
一方で、精神薬を慢性的に服用すれば(量にもよるが)、脳は空洞化し腐っていく。故に(素人目で考えても)、ワクチンを慢性的に多用すれば、何らかの悪影響が起きるのは否定は出来ないだろう。
”抗体依存性感染増強(ADE)”というワクチンに依存し続けると免疫力が減退するという報告(英サーベイランス)がある。
が、よく読んでみると、”テング熱やエイズら一部のウイルスでは、ワクチンにより抗体がウイルスに蓋をすると(ウイルスが抗体を目印に集まったリンパ球を食い潰し)却って人間の細胞に入り込み易くなり、重症し易くなる”というもので、ワクチンの慢性的な使用とは直接には関係がない気もする。
事実、これに関しては明確な医学的論証はない。更に、(ワクチンの度重なる使用による)余分な抗体は自己免疫により排除される事でワクチンが重症化を防ぐという説もある。
つまり、ADEを巧みにワクチン無効説に結び付けた例とも言えなくもない。
元々、mRNAワクチンは効果は高いものの持続期間が短く、定期的に追加接種する必要があるとされる。勿論、抗体価が下がれば感染予防効果は一時的には低下するが、重症化を防ぐ効果は維持される。
世界中で、多くの医療機関がワクチンを推奨するのは、予防より重症化リスクの低下を重視し、医療現場の混乱を防ぐ為にある。更に、クラスター感染を(手っ取り早く)防ぐにはワクチンしか他に方法がないのも事実である。
自己免疫だが、普通の風邪ならワクチンや薬よりも自己免疫を高めた方が有効だが、その免疫が暴走するからコロナ感染はややこしい。つまり、陰謀説みたいに単純で短絡ではないのだ。
故に、ワクチンを4ヶ月毎に接種するというのは、副反応などの医学的リスクもなくはないが、特に途上国への供給や在庫に支障が出る。薬剤会が反対してるのもそのせいだろうか。当然、ワクチンが富裕国に集中すれば、途上国での接種は蔑ろになる。
貧しい民にとって、ワクチンは現存する唯一の救世主であり、陰謀説なんかはどうでもいいのだ。”生物兵器でも何でもいいから、とにかく接種してくれ”というのが本音であろう。
1回だけで済む万能ワクチンがあれば理想だが、世界の医学はそこまで進んではいないし、ワクチンに全てを求めるのは明らかに無理がある。同じ様に、薬に全てを求めるのも危険すぎる。
コロナ渦も3年目に入るが、未だに報道されるのは総陽性者数と死者数だけだ。
(何度も言う様に)サイクル数(Ct値)を公表する事で、2つのデータ間に繋がりが生まれる。つまり、コロナ渦の濃度(強度)を可視化する事で、ウイルスの本質を考察する方がワクチンの過剰接種よりもずっと有効で安全でかつ、合理的で金も掛からないと思わなくもない。
医学や薬学や免疫学や遺伝子学だけでウイルスを語るのは既に時代遅れである。数学でウイルスを語るべき時代が直ぐそこまで来てるのだろうか・・・それでもムラ社会の住民は”数学は難し過ぎる”と敬遠するし、簡単で幼稚な陰謀説に傾斜する。
コロナ騒動が我々に与えてくれたもの・・・それはゼロコロナでもウイズコロナでもなく、ワクチンの複雑な仕組みでもない。更に、露呈した政治家の無知や専門家の言葉のお遊びでもない。ましてやワクチン陰謀説でもない。
我々が知るべきは、ウイルスという半生命体の神秘と謎である。言い換えれば、知的生命体という言葉は彼らの為にあるのかもしれない。
我々は、ウイルスの無垢な生存戦略に何かを学ぶべきかもしれない。少なくとも、短絡な陰謀説を拡散し、自己満足に浸ってる場合ではない。
最後に、奥田英朗さん風に締めくくってみる。
陰謀説に群がるのは、弱さでも愚かさでもない。現実や権力に挫けそうな気持ちを奮い立たせようとする、かつてはムラ社会で生き延びてきた大衆の無垢で自己満足的な抗いなのである。
現実は、実は退屈で平凡だから極論の陰謀論に走るんですよね。
たとえば安倍元首相の死は「宗教に家族と人生を狂わされた男の怨恨」よりは「屋上にスナイパーがいて狙撃した某国の仕業」の方が面白い。
人々は「大きな物語」を求めているんですよね。
ウイルス。
彼らは生きのびることに必死。
だから変異を繰り返す。
あまりに致死率の高い種に変異すると、強力なワクチンを作られるなど、対抗策をとられてしまうので、風邪のような弱毒性の種に変異する。
人類は今後、どのように変化していくんでしょうね?
陰謀論やデマに右往左往してしまっているのが現状ですが……。
これこそが若者の夢のある陰謀説ですよ。
笑っちゃうけど、本当かもしれない。いや、本当であってほしいと願う自分がいる。
こういう陰謀説なら、真に盛り上がるし、コロナ渦で鬱になった気分も一掃する。
昔、アメリカで起きた火星人襲来の大騒ぎも、当時のアメリカは退屈で仕方なかったんですよね。
陰謀説にも創造と夢が必要なんですが
今年も凡庸な陰謀説や凶暴なプーチンに振り回される1年になりそうですね。