象が転んだ

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売れっ子芸者が夢に出てきた〜真夜中の訪問者”その44”

2020年09月12日 04時02分09秒 | 真夜中の訪問者

 前回”その43”の訪問者である「ジョーズ2」の娘役が夢に出てくれたお陰で、夏バテも吹っ飛びそうな喜びでしたが、今回は分厚いお化粧をした芸者さんの登場です。

 芸者と言えば、田中角栄元総理が囲ってた東京•神楽坂の超売れっ子芸者であった辻和子が有名ですが。彼女が19歳の時、当時28の角栄に出会い、47年間に渡り、人生を共にし、2男1女をもうけ、人生を共にしました。
 あまりに美人過ぎて、ライバルの岸信介も手を出したが、アッサリと振られてしまう。
 因みに、辻和子は8歳の時に神楽坂の芸者置屋に僅か50円で売られ、そこの養女となり芸者修行中に田中角栄に気に入られた。
 角栄の出世を陰ながら見ていた彼女だが、角栄は金脈問題で失脚し、和子自身も田中家の娘•真紀子から門前払いされる。
 彼女が角栄の死を陰ながら見送るまでの一代記「熱情〜田中角栄をとりこにした芸者」は、必読の書でもある。


とある座敷にて

 夢の舞台は、とある座敷だった。仕事から帰った私は、広い豪華なお座敷に仰向けになり寝ていた。真夏だったから丸裸で寝ていた。
 するとそこに、芸者がひとり現れた。バスタオルを私の裸の上に優しく投げかけると、いきなりマッサージを始めた。
 ”裸のままだと風邪引くよ、アナタ一人の身体じゃないんだから、気をつけて頂戴”

 驚く事に、芸者の顔にはお面が被さっていた(笑)。
 ”仕事も終わったんだから、お面くらい外せよ。余所他所しいじゃないか”
 ”仕事が終わった後の芸者ってものは、鬼みたいな形相をしてるの。それだけ大変な仕事なの、少しは理解して頂戴”
 ”神楽坂の売れっ子芸者ともなると、言うことが違うね。俺も客になりて〜や”
 ”そんなお金ないくせに、愛人になってやっただけでも満足しなさいな”

 その時、義母が口を挟んだ。
 ”この娘はね、政界の大物と結婚する予定だったのよ。でも泥沼の世界に嫌気が差しちまって、結婚式直前に逃げちまったのさ。
 せっかく拾ってやって、一端の芸者に育ててあげたのに。これじゃ、大金をドブに捨てたようなもんさね”

 売れっ子の芸者も負けてはいない。
 ”妾になった所でさぁ〜、政治家も失脚したらただのゲスな犯罪者よ。捨てられるだけなら構わないけど、「日陰の女」で一生を犠牲にするのはまっぴらだわ”
 義母も黙ってはいない。今度は私を責め立てる。
 ”アンタだって悪いのよ。金もないくせに大切な商品に手を出しちゃってさ。少しは身分をわきまえなさいな”

 芸者は私を庇った。
 ”私が本気だったの。普通の家庭を築きたかったし、身体を許したのはそのせいよ。義母さんは何にも判ってないんだから”

 今度は私が口を挟んだ。
 ”お互いに言い分はあろうけど、疲れてるのも判るが、お面は戴けないな。スッピンでも鬼の形相でもいいから、お面を外せよ”

 夢の舞台は一変し、某野球場でプロ野球を観戦していた。私の横には、既に芸者を引退した彼女がいた。
 彼女はごく普通の中年女だった。
 ”だからヤクルトはダメなのよ、よそ行きの野球しすぎるの。もっと弱い自分を晒らけ出すべきだわ”
 芸者を引退した彼女の横顔は、不思議と魅惑的だった。体型も既に崩れてはいたが、十分魅力的ではあった。 
 ”売れっ子の芸者と同じよ。自分を少しでも大きく見せたいんだ。弱い人間とはそういうもんさ”

 彼女は俯いて苦笑いした。そこで夢が覚めた。


夢が覚めて

 夢に現れた芸者は、美人でも可愛くもなかった。勿論、厚塗りの化粧で誤魔化せば、一端の芸者らしくはなるだろうが。
 どんな美人女優も売れっ子芸者も、所詮はお面を被った化け物なのかもしれない。そしてそのお面の裏には、誰にも曝け出したくはない弱く醜い自分がいる。
 しかし、いつかはそのお面を脱ぎ捨て、醜い自分と立ち向かう時が来る。
 人生とはそういうもんだ。いや、そういうのであって欲しいもんだ。 



8 コメント

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Unknown (kaminaribiko2)
2020-09-12 09:46:04
こんにちは

夢にしては、やけにセリフが細かいですね。リアルなドラマを見せてもらったような読後感です。

私も一度でいいから、そういう都合のいい夢をみたいものです。何か秘訣のようなものはありますか?
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一種の病気かも? (象が転んだ)
2020-09-12 10:02:55
辻和子の自伝本は強烈な印象でした。それがそのまま夢に出たって感じです。

勿論ブログですから、多少の着色はあるんですが、夢のイメージがそのまま文章に直結する。それだけ寝てる時は、脳がリラックスしてんでしょうか。

でも、夢を見すぎるのは身体にはよくないんです・・・
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角栄の愛人たち (paulkuroneko)
2020-09-12 16:42:01
角栄は3人の愛人と3つの家庭を持っていました。
情けを大切にした角栄の最大の強みは、その動物的な“絶倫“にあったとされます。
”夜の営み”こそが、愛人との関係を上手く保つ方法でした。しかし3人以外にも愛人がいたらしく、女性関係のトラブルは愛人の1人の佐藤昭に処理してもらってました。

角栄は芸者が相手となると湯水のように金をバラ撒きます。モテない訳がありません。ユーモアのセンスも政治家にしては抜群です。
結局、金と情けで出世し、金と情けでダメになったんでしょうか。
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象が転んだ様へ。 (りくすけ)
2020-09-12 21:41:34
お面の裏には、誰にも曝け出したくはない弱く醜い自分がいる。--- か。まるで「ビリー・ジョエル」の「ストレンジャー」ですね。
「角栄」氏はオンナとカネのエピソードに事欠かない人ですね。まだ政治家として目が出る前、府中競馬場の特観席で札束山積みにして扇子片手に「ヨッシャヨッシャ」と博打に興じていた。--- という話を聞いたことがあります。
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paulさん (象が転んだ)
2020-09-13 01:36:33
いつもコメント勉強になります。

角栄も所詮、権力に躍らされてたんですかね。
叩き上げ伝説も汚職に塗れたら、単なる無学の哀れみしか残りませんもの。
芸者も無学で、お互い様って所でしょうか。
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りくすけサンへ (象が転んだ)
2020-09-13 01:39:19
コメント有難うございます。
ビリージョエルのストレンジャーは初耳でした。同じ様な事を歌ってたんですね。こちらこそ光栄です。
角栄も下積みの時代からカネに塗れてたって事ですか。全く哀しい生き物ですよね。
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売れない芸者 (hitman)
2020-09-13 09:59:04
売れっ子芸者も喉元すぎれば
ただの厚塗りのオバ様
小さい頃から芸者というお面を被せられてすぐに脱げと言われてもな

政治家が化け物なら芸者も化け物。手っ取り早く出世するにはこれほど美味しい仕事もない。
情けと金があれば、頭脳はなくても大体の悪事は隠滅出来るんだぁ
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hitmanさん (象が転んだ)
2020-09-13 15:32:42
政治家も芸者も同じナントカですかね。
お互いにカネが目当てですから。

角栄の場合、当てになるカネと権力にすでに恵まれてたんでしょうか。いくら叩き上げといっても、政治の世界でトップに立つには不可能でしょうから。
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