大方の予想通り、東京五輪は観客上限1万人という条件の元で行われそうだ。
勿論、初めから決まってた事だが、国民の大半が納得しない形での、中身のない”悲し過ぎる”オリンピックになるのは明らかだろう。
IOCのボッタクリ金銭間隔に加え、”独り呑みならOK”だとか、金色の便器とか、”VIPには宅配サービスを用意しろ”とか。バブル対策って、この程度のものかと呆れてしまう。
しかし、どう考えても五輪を中止する事にデメリットがあるとは思えない。
テレビ世代や祭り好きの人種から見れば、4年に1度の祭典が失われる事による、精神的ダメージの大きさは理解出来なくもない。
しかし、今の日本の置かれた状況を見れば、3兆円にまで膨れ上がった東京五輪というバブルが崩壊寸前である事は、新型コロナ渦がなかったとしても明白だろう。
それに今のこのタイミングで中止すれば、変異株の感染対策も有効な政策が打てるし、始まったばかりのワクチン接種も焦らずスムーズに進む。
オリンピックがなければ、9月中には大半の国民がワクチン接種を完了し、変異株を封じ込む集団免疫の獲得も可能になる筈だ。
飲食店は営業を再開し、日本経済も普段のルーティンに戻るだろう。3兆円なんて高く付いた授業料?だと思えばいい。
それに、五輪中止でIOCの腐った組織が死滅すると思えば、安い買い物だろう。
IOCを巡る巨額な金の流れが判明した今、そんな金権オリンピックに誰が感動するのだろうか?
しかし、殆どのアスリートはそういう所には全く触れない。バカの1つ覚えみたいに、”感動と勇気を与えたい”と言い張るだけだ。
”こういう時こそ日本人の不屈の精神を世界中に見せ付けろ”って、戦時中の帝国陸軍の腐った精神論が蘇ってくるみたいで、嫌気が刺す。
オリンピックは、IOCの”独占所有物”
医療関係者も世論も、大多数は予定通りの開催に反対しているのだが、中止については政府からの発言は全くない。
5/10の衆議院予算委員会で菅首相は、”私はオリンピックファーストでやってきた事はない。国民の命と暮しを最優先に取り組んでいる”と野党の質問に答えた。この日の答弁では、世論の圧力に初めて姿勢を曲げたかのようにも見えた。
しかし14日の記者会見では、”IOCは7月開催を既に決定してる”と、従来の主張を繰り返した。
では、五輪中止を決める権限は一体誰にあるのか?そして、中止はあり得るのだろうか?
以下、「なぜ日本政府は東京五輪を中止しないのか」から一部抜粋です。
IOCと開催都市東京都との契約は明確だ。
開催契約を解除し、開催を中止する権利はIOCのみにある。開催都市側にその規定はない。何故かと言えば、オリンピックはIOCの”独占的財産”だからだ。
スポーツ法専門のアレクサンドル・メストレ弁護士はBBCに、オリンピックの”所有者”として、開催契約を解除できるのはIOCだけだと語る。
IOCと東京都の契約では、開催契約を解除し、開催を中止する権利はIOCのみにあり、開催都市側にその規定はない。
つまり、オリンピック大会はIOCの「独占的財産」で、オリンピックの”所有者”として、開催契約を解除できるのはIOCだけなのだ。
契約解除、つまり開催中止の正当な事由としては戦争や内乱などの他、”IOCがその単独の裁量で本大会参加者の安全が理由の如何を問わず、深刻に脅かされると信じるに足る合理的な根拠がある場合”との項目がある。
故にパンデミックは、この”深刻な脅威に相当する”という主張もある。
オリンピック憲章にも”選手の為の医療と健康対策を促進し支援する”とか”安全なスポーツを奨励”という規定があると、メストレ氏は指摘する。
しかし、こうした諸々の規定にも拘らず、IOCは何としても大会を実施するつもりだ。
以上、BBC.comからでした。
結局は、カネ!カネ!金!
ピーク時の今年1月初旬、一日に7万6000人もの感染者を出してたイギリスは、同月中旬からワクチン接種を急加速し、5月末現在は新規感染者を1日2000人程度まで抑える事に成功している。これは日本の約半分だ。
コロナの抑え込みに成功しつつある欧米諸国から見て、今や日本はコロナ対策後進国。
彼らからすれば、東京に自国の選手団を送り込むのは不安で仕方がないだろう。しかし、日本政府やIOCは決して”中止”を口にしようとはしない。
理由は単純だ。それは”大損をするから”だ。
以下、「なぜ日本人は東京五輪を中止できないのか」から一部抜粋です。
5月11日、NYタイムズに”五輪を中止せよ”と題する論考が掲載され、世界中で話題となった。
”この危険な茶番を止める時が来た。東京五輪は中止すべきだ”
”だがそれでも、五輪という暴走機関車は止まらない。3つの大きな理由はカネ、カネ、そしてカネだ”
この論考の筆者の政治学者のジュールズ・ボイコフ氏は語る。
”日本人の大多数は五輪開催に反対している。賢明な事だが、いくら世論が反対しても五輪の<黒幕>たちは意に介さない。IOCのバッハ会長やコーツ副会長らは「緊急事態宣言下であってもなくても開催できる」と公言している。
彼らは五輪というショーを開き、カネ儲けをする為なら、日本の人々を危険に晒しても構わないと考えている。信じられないほど傲慢で、五輪にはマトモな政治のルールや科学的思考は通用しない”
独占的財産という歪な不平等条約
ボイコフ氏をはじめ、複数の識者が指摘したのが、東京都がIOCと結んでいる「開催都市契約」の異常さである。
この契約こそが日本人がIOCに楯突く事を許さない「首輪」なのだ。全87ヵ条にも及ぶ契約書を読むと、重要事項は軒並み”開催都市や開催国の組織委員会がIOCに対して義務を果たす”という形式になってる。
例えば、第1条には”IOCは本契約にて開催都市および組織委に、本大会の計画・組織・資金調達・運営を委任し、開催都市および組織委は、オリンピック憲章および本契約の規定を遵守し、その義務を履行する事を約束する”とある。
その一方で、第41条には”(五輪に関する)あらゆる種類および性質の権利・権原・利権が全世界を通じ、永久にIOCの独占的な財産である事”も定められてる。
要するに、これはIOCが絶対的な権限を振るい、開催国や開催都市に過大な負担を強いる「不平等条約」なのだ。
中でも注目されるのが医療に関する第24条で、”開催都市は大会中、関係者に発生したあらゆる症状にて、無料で医療サービスを提供する義務がある”という旨が記されてる。
コロナ禍の中で、この要求を満たそうとすれば、日本は莫大な数の医療従事者を動員する必要がある。
唯でさえ日本の病床は逼迫してるのに、IOCのこの無茶苦茶な要求を受け入れるキャパが残ってるのだろうか?
これほど一方的な契約は見た事がない。
もし日本側がこれらの契約を破り、五輪を中止すれば、IOCは開催都市の東京都に”違約金を支払え”と迫るのではないか。
未だ疫病で五輪が取りやめになった前例はない為、確かな事は言えないが、一つだけ言えるのは、今の日本は”進むも地獄、退くも地獄”という最悪の状況に追い込まれつつあるという事だ。
前出のガブリエル氏は、”日本が五輪中止を言わざるを得なくなった場合、IOCからの訴訟の嵐に見舞われるのではないか?”と懸念する。
「開催都市契約」の第9条”IOCに対する請求の補償と権利放棄”では、”五輪に関するあらゆる損害賠償や損失の補填は開催都市が負う”事が定められてる。
五輪が中止となれば、東京都と日本がカネの埋め合わせをさせられる訳だ。
どっちに転んでも大損する
ここで問題になるのが、五輪の莫大なテレビ放映権料で、4年間で6000億円を超えるIOCの収入の内、約1/3がNBCが支払う放映権料で賄われてる。
詳細は非公開だが、全世界からの放映権料を合わせれば、IOCは収入の7割超の約4500億円をテレビ業界から得ていると推定される。
IOCにとって、この<金ヅル>を失う事は破滅を意味する。
ドイツ最大手「南ドイツ新聞」のトーマス・ハーン東京特派員は言う。
”IOCの幹部や日本政府の首脳が、日本国民や世界の一般市民からみて常識外れとしか思えない言動を続けてるのは、この放映権料を失うと大変な事態になるからだ”
既に、1兆6400億円を費やしてるのに、更に数千億円の賠償金まで背負わされれば、日本国民の怒りは爆発するだろう。
”ぼったくり男爵”とあだ名(ワシントンポスト紙)されたバッハ会長が、選手ファーストでも開催国ファーストでもなく、おカネファーストでものを考えてるのは明らかだ。
巨大なリスクを負って開催すれば、日本は感染拡大に怯えねばならず、国際的な批判にも晒される。中止したいと申し出れば、巨額の賠償金を払わされる。
”どう転んでも得をするのはIOC、損をするのは日本です”(クルーグマン氏)。
日本人は今、究極の選択を迫られてる。
東京五輪を強行して、もし大規模なクラスターが発生し、<東京株>とでも言うべき変異株が生まれたら、東京五輪は日本の汚点になる。
”こうなる事は判ってたのに、なぜやったのだ”と、全世界から批判が殺到するのは避けられない。
一方で中止に踏み切れば、日本は唯でさえコロナ対策で身の丈に合わない支出を垂れ流してるのに、更に大きな金銭的負担を背負わされるかもしれない。
どちらを選んでも、待ち受けるのは茨の道だ。 だが、カネは人命には代えられない。
ジョンズ・ホプキンス大学の疫学者デイヴィッド・ダウディー氏が言う。
”失われた命は取り返せないが、五輪はまた開催する事ができる。まだ日本の皆さんがワクチン接種を済ませてもないのに、どうしても五輪を開催する必要があるとは、私には思えません”
以上、現代ビジネスからでした。
最後に
変異株感染の危機がなくても、3兆円にも膨れ上がった開催費用の問題がなくとも、IOCを死滅させる事ができれば、オリンピックを中止する意義はとても大きいと思う。
奴隷に近い開催国契約なんて、白紙に戻すべきだ。
しかし今まで、何故こんな不平等契約に我々国民も開催国も政府も気付かなかったんだろうか?
今や、東京都誘致に奮闘した張本人たちは、石原前東京都知事や”オモテナシ”の滝クリを始め、皆口を塞いでいる。彼らは解ってたのだ。五輪誘致が明らかなミステイクだった事を。
彼らは喜び勇んだ後で、開催国契約を読んだ筈だ。しかし、そこに書かれてあったのは奴隷条項である。
つまり、コロナ渦がなくともこの悲惨な状況は予想された。
オリンピックがIOCとNBCの独占所有物である事に気付いた時は、既に遅かったのだ。
「1964の東京オリンピック」(河出書房)で、"オリンピックは一度はやってみるべきだろう。但し、二度やるのはバカだ"と菊村到氏が語っていた。
”全く同感だ。2020年は日本の無力さと無能さを世界中に知らしめる大会にならなければいいが”と、2016年に私はレビューで書いた。
そして、それがそのまま現実のものになった。
これから、各国選手団やその関係者らがこぞって入国してきます。でも今の日本の水際対策では防げる筈がない。
国内で再燃しつつある変異株と外国から持ち込む変異株とで、新たな変異株が爆発感染しそうです。
どっち転んでも最悪のケースは避けられない?!
一時は4人にまで激減したけど、今は200人ほどに急浮上。でも15000人超えのイギリスに比べたら”さざ波”の様なもんだけど。
同じくマスク全面解禁のアメリカも15000前後の横ばいが続き、微妙になってきました。それでも全盛期の1/20です。
それに比べ日本は、ダラダラと増えてます。特に東京都は変異株復活ですね。
多分、7月に入る頃には全世界で変異株のパンデミックが再燃してるでしょうか。
国内のコロナ対策も万全じゃないのに、一団となって来日するVIPや関係者や選手団の管理を行うなんて100%不可能。
既に水際では漏れが生じてるから、東京も再び感染拡大傾向にある。
政府も分科会や専門家とともにリスクは共有してると思うけど、全てはカネなんだよな。
結局・IOCも日本政府も組織委もそして選手も、目先のカネに飢えてんですよ。
これこそが米英が危惧してた第5波ですね。
G7の主催地コーンウォールでもいつもの3倍以上の感染者が報告されました。
やはりワクチンにも限界があり少しでも油断するとあっという間に広がるんですよ。特に人が密集する所は特にリスクが高い。
東京オリンピックのリスクに関しては転んだサンの予想が当たりそうだ。