約一ヶ月強ぶりのサイコパスです。ガチ過ぎてあまり人気がないので心配ですが、アクセスよろしくです。
前回の”その6”まで簡単に纏めます。
”その1”では、サイコの脳(冷めた脳)の存在と複雑多岐に渡る脳領野の仕組みを。”その2”では、悪の遺伝子とサイコの脳と負の環境因子が悍ましい犯罪行為を決定付ける事と脳内物質の複雑な仕組みと。
”その3”では、サイコの脳と悪の遺伝子が絶妙にブレンドされ、犯罪が増殖して行く事を。”その4”では、サイコの99%は過酷な環境に起因し、脳とか遺伝子の影響はあまり受けないと。”その5”では、環境とストレスによる遺伝子の突然変異と著者の不可思議なDNAと”熱い認知”と”冷たい認知”の絶妙な互助作業と。
そして、”その6”では、神経化学物質が衝動スペクトル(否定的OR肯定的)を構成し、共感を支配する。この”共感の欠如”と”認知的共感”こそがサイコの特徴である。
通常は、ミラーシステムが熱い脳と結びつき、”情動的共感”を生み出すと。
著者のサイコの脳は共感を感じないが、共感を”認知”する事は出来るし、冷静沈着に人を救う事も出来る。そういう共感を計算して行えるのだ。
しかし、サイコの一部は環境が悪く、暴力が暴力を生み、無感覚に無慈悲に犯罪へ走る。脳の発達過程で、性と暴力の回路が繋り、犯罪に結びつく。
しかし、脳領野の研究が進んでないが為に、頭がおかしいとか精神が病んでるかで簡単に片付けられる。
そして冷酷無比な犯罪は繰り返され、サイコ系独裁者は蔓延る。
多くの場合、他人を操作する場合、冒険や楽しみを追い求める。著者の場合それが度を超すことがある。
著者には多少の共感はあるが、平坦である。家族であろうが友であろうが他人であろうが同じだ。彼の友情は純粋さに乏しく、トレードオフを前提にする。他者への善行と友情とは異なるものだ。
しかし、彼は故意に社会的に共感的に振る舞えるのだ。これこそまさに、”認知的共感”であり、”心の理論”なのだ。
一方、典型のサイコパシーは人の弱みに付け込み、人を支配したがる。著者も同じだが、勿論彼はそうする事を必要としない。彼はに全てが満たされてるからだ。つまり、ファロン氏は”社会適応型サイコパス”なのだ。
ファロンに言わせれば、ビル・クリントンもサイコパシーの特徴を持ってると言う。数多くの浮気を否定し、その欺瞞的性格や欺瞞的謙遜は、その典型な例でもあると。”ヒラリーはビルを愛してるが、ビルはビルを愛してる”のだ。
《サイコパスとリバタリアン》
サイコパスに間違えられやすいのが”リバタリアン”。この完全自由主義者の脳は、理知的で冷たいアプローチの頻度が高く、対人的共感性が低い。
背側皮質(冷たい脳)の機能が比較的高いが、彼らの犯罪率は低く、倫理性と関連が深い”熱い認知”の領野は平均以上で、高い自己抑制と低い動物的欲動と関係してるのか。
リバタリアンの特徴として、実証主義と無神論がある。”慈悲は必要だが、福祉は人を弱くする”と。一人の人間や集団より、”種”としての人類に共感する。一方サイコパスは、”族”としての身内に共感するのですかな。
確かに今の時代、こういった”リバタリアンもどき”が多いような気もする。私もどちらかと言えば、これに属するかもです。でも、リバタリアンっていい響きですな。
多くの偉大な博愛主義者は、隣人よりも比較的大きな大義名分に関心を寄せる。貧者や虐げられた人々にはとても深い共感を示すが、殆の一般人との共感を有してない様にも見える。
偉大な人物をいくら育てても、貧困や虐待はなくならないという事か。それに博愛とサイコパスは両極にあるというも面白い。
《躁うつ病は犯罪か?》
うつ病とは、ドーパミン(快楽ホルモン)の低下により、気分低下をもたらす膝下部帯状回をオフにする事でうつ病を防げるとう。
従来、うつ病とは”外界の悲劇”とされたんだが、”脳内の悲劇”でもある。ここら辺の仕組みは非常に複雑ですな。
双極性障害(躁うつ病)は、Ⅰ型かⅥ型まで様々だが。季節性感障害(SAD)、産後うつ病(PPD)、気分変調症(失快楽症=アンヘドニア)、メランコリー性うつ病(失感情症)、カタトニア(緊張病)、精神病性大うつ病(PMD)、などがある。全く複雑多岐に渡る精神総合病ですかな。
この双極性障害のⅠ型は、より深刻で周りを困らせる。騒々しい躁病は攻撃的、精神病的妄想や幻覚やパラノイア(不安性と偏執病)を呈し、対人関係や仕事や乱費により、かなりの打撃をもたらす。
因みにⅡ型は、軽装病で著者のそれに近い。それでも乱痴気騒ぎで、友人を失う羽目に。しかし、著者が魅力的に映るのは、軽躁病のお陰で、ハツラツとして軽口を叩き、冗談を言えるからである。
双極性障害はパニック障害や強迫性障害、物質乱用の危険性が高く。彼らの1/3は反社会性、境界性、演技性または、自己愛性パーソナリティ障害を呈するが。彼らはまた、自殺の危険性が高く、肥満&糖尿病&喫煙常習者が多い。
著者の双極性障害の大半は、セロトニン系により強く影響され。軽躁的で素晴らしい彼の人生は、実はセロトニンの破滅状態にあり、側頭葉下部のうめき声でもあったのだ。
しかし、多くの双極性障害は芸術や音楽、劇や科学にて、大きな創造性の急速な出現を促すのだが。
つまり、軽躁段階ではモノアミン伝達が増大し、これら伝達物質は陽気的気分をもたらし、何かを創造したくなる。また、皮質の様々な領野間の結合も高め、新たな連合を可能にするのだ。”狂気の再定義”と”創造性への衝動”は繋ってるのです。
ただ、高リスク対立遺伝子は異常な混在を示す。例えば、成長因子であるBDNF(神経栄養因子)の遺伝子コードを持つ対立遺伝子は、優れた記憶と共に、高い不安とも関連する。また、別の対立遺伝子は低い記憶と低い不安のコードを持つのだが、どちらがいいのか難しい所だ。
つまり、双極性障害も度を越せば、立派な犯罪であると。
《カルト犯罪とサイコパス》
下側頭葉(複雑な3次元形状を写し出す脳領野)は情動記憶や恐怖、怒りや不安以外に、洞察や超自然的な感得、超感覚的知覚(ESP=超能力、予知、透視、念力)に関する大切な役割を担う。
これら超自然的な感得や時空を超えた体験報告は、統合失調症や薬物使用者によく見られ、ある障害の主観的症状として扱われる。
この様な神秘的体験の確信は、精神医学では”魔術思考”と呼ばれ、統合失調症や強迫性障害の様な疾患の一つとされる。これら妄想に突き動かされた殺人は、原発性サイコパスには見られず、サイコパスの捕食行動はこの様な幻覚に関与なく実行される。
一部のサイコパス殺人は、暴力起因となる幻覚を体験するが、この種の行動は精神病を有するサイコによる可能性が高い。つまり、カルト系犯罪は、精神異常者の幻覚を見るサイコ系犯罪なのか。
著者も側頭葉(情動や欲情を抑制する領野=その1参照)を基とするセロトニン誘発性で、殆ど霊的とも言える知覚の明確な記憶があると言う。これは彼の脳の化学物質が作り出した、素晴らしい陽性感情の原因でもあると。
この側頭葉の下外側にある下側頭回(脳回とは脳のシワの突起部)は、視覚対象(色や形)を認識する部分で、iPhoneの顔認識の様なもんで、このが異常に発達してる人は、ユリゲラーみたいな超能力者なんですかな。因みに、上側頭回は音を認識する聴覚の連合野である。地獄耳の人はここが発達してるんです。
この本の惜しい所は、後半にいく程、無機質で学術的な展開になる事ですが。私めもそれに吊られ、長々とした硬いブログになってしまいました。
サイコパスに認知的共感があった事は、意外ですし、驚きでもあります。
それに、超能力者と精神異常者との結び付きもです。狂気と創造性の繋がりの関係も芸術家の特性の典型ですね。
ある意味、多少の精神異常も実生活でプラスに働く事は、面白いです。全く答えになってませんが(笑)。
昨日はタイトルがダブってすみません。消しちゃって下さいな。
コメントも多少ダブりますが、共感の欠如と認知的共感が結びつくとは意外です。確かにそういった業とらしい同情というか、人気取りの為に計算し尽くされた”共感”を買って出る人っていますね。
それに、博愛とサイコパスが両極にある事も驚きです。狂気と創造性も紙一重という事ですね。以上、コメントの更新です。