象が転んだ

たかがブロク、されどブロク

東野幸治が夢に出てきた〜真夜中の訪問者”その137”

2024年01月28日 18時38分27秒 | 真夜中の訪問者

 週刊文春で報じられた”性加害疑惑”が波紋を広げている松本人志だが、所属する吉本興業は裁判に注力する為に、芸能活動を休止する旨を発表した。しかし、裁判の方向性によっては泥沼化し、最悪芸能生命を脅かす結果に終わる可能性もあるという(週刊現代)。

 こういう事が続くと、”煩いだけ”の吉本興行も終わった?かなと思ってしまう。
 吉本の若手芸人には(一部にはだが)優秀な人もいるが、昨今の吉本のお笑いのスタイルは好きになれなかった。というより、煩すぎてウンザリでもあった。”組織が腐れば芸人も腐る”とはこの事であろう。
 80年代に空前のブームを誇った漫才だが、TV娯楽の終焉と共に、このまま死滅してしまうのだろうか。

 松本人志が犯した事の是非は世論や裁判に任せるとして、なぜ夢の中に吉本の東野幸治が出てきたのかが、全く理解できない。
 はっきり言って、この芸人は私が一番苦手とするタイプである。
 そんな東野幸治だが、夢の中では親友である。全く笑える気にもなれない展開だが、そんな彼は明らかにお金に困っていた。 


某キャンバスにて

 ”幾らか工面してくれないか?”
 友人の表情は青ざめていた。
 ”嫌な奴に追われてるのか?”
 ”とにかくお金がいる。幾らでもいいから工面してくれ”

 友人は慌てていた。
 ”今は手持ちがない。だが、少し待っててくれ、近くのATMでお金を下ろしてくるから・・”
 私は某大学のキャンバスにあるATMに駆け込んだ。彼が百万単位のお金を必要としてるのは容易に察しできた。
 実は昔もヤ◯ザに追われ、カネをセビッた事があったからだ。しかし、今回はどうもその展開ではなさそうだ。
 多分彼は、私以外にも数人にカネをせびるだろう。そのリストもある程度は予想できた。
 最初は30万ほどを下ろそうとも思ったが、私はすでに彼に信頼を置いてはいなかった。
 ポケットを弄ると、パチンコで儲けた3万ほどの紙幣が見つかった。
 私はATMに行ったふりをして、3万円のうち2万円だけを彼に手渡した。
 ”今はこれしか渡せない。これで2度目だろう。もうアンタには信頼はない”

 東野の表情は引きつっていた。一番の親友に裏切られたのだ。
 友人はそれでも笑顔を作って、”有難う”とだけ言い残し、その場をそそくさと去っていく。
 彼は、裕福な出の知人にも声を掛けていた。噂によると30万ほどを借りたらしい。
 ”顔の広い奴だから、100万ほどはすぐにかき集めるだろう。2万で縁を切れるのなら安いもんだ”
 私はそう割り切って、この問題に顔を突っ込む事は止めにした。

 噂によると、東野を追ってたのはある大学の教授らしき人物で、彼は研究費をネコババしたらしいのだ。
 キャンバス内では、様々な噂や憶測が流れ始めた。大学の教授は実は殺し屋で、東野の命が狙われてるとか・・・  
 すでに縁は切れたが、流石に元友人の命が心配になっていた。
 そこで私は、密かにその教授を追った。
 だが、ネットで検索しても何も出てこない。某大学の物理家の准教授という事で、タダそれだけである。
 更に私は、東野がカネをセビッたであろう人物を一人一人洗い出した。皆ごく普通の学生で4、5人は特定できたが、100万円には遠く及ばない。
 

准教授と研究費

 ”あれは単なる演技だったのか?遊ぶカネが欲しくて誘っただけなのか?”
 夢の中の登場した東野幸治はTVで見るような薄っぺらでなく、几帳面で真面目な人物だった。少なくとも私に対してはそうだった。
 事実、交友関係も理系人間ばかりである。口八丁手八丁で世の中をスイスイと渡り歩くタイプの人種じゃない。
 だが、准教授と元友人の接点がどこにも見当たらないのだ。ひょっとして、”クロ”は東野ではなく准教授の方なのか?
 私は更に、非常勤として某大学に教えに来るその教授の住所を追ってみた。

 自宅はすぐに突き止める事が出来た。というのも、近くの職員専用住宅に住んでいたのだ。築30年は経つであろうか、かなり老朽化したアパートだ。
 私は勇気を持って、予め調べておいた一室のドアを叩いた。
 ”ハーイ〇〇ですが、どちら様でしょうか?”
 軽い乾燥した声が響いた。
 ドアが開けられると、そこにいたのは何と東野ではないか・・・
 ”お前!なんでここに・・”
 ”お前こそ、何でここに来たの?”

 お互いが不審な表情を浮かべていた。

 初老の准教授は軽く笑いながら、我ら2人に近づいてくる。
 ”いやぁ〜大笑いするかもしれないけど、核融合発電の実験を極秘で始めようと思って・・こうして研究費をかき集めてるんだけど、でも全然資金が集まらなくて、彼に相談してる所なのよ・・・”
 私は思わず吹きだそうになった。
 というのも、核融合と准教授の見てくれが一致しないのだ。それに、東野は出来のいい生徒ではなかった筈だ。
 ”そんな事なら秘密にせず、おおっぴらに言えよ。誤解するじゃないか”
 しかし彼は、只々下を向いていた。
 私が何か言おうとした時、夢から覚めた。


最後に〜もう1人の東野幸治

 夢の中に登場した東野幸治は、もう1人の彼だったのかもしれない。
 一時期、大学に通う友人に乗せられ大学受験を決意し芸人を休業するも受験に失敗したとか、一時は芸人を引退し植木屋への転職を考えていたという、お笑い芸人としては珍しい経歴の持ち主である。更に、小さい頃は家族が離散し、生活はかなり苦しかったという。
 まさに夢の中では、お金に苦しんでた頃の東野そのものであった。

 私は夢の中に登場する有名人や芸能人を見て、彼ら彼女らの本性を垣間見る時がある。
 そして、ウィキとかで略歴を調べると、見事なまでに合致する。
 お金をセビリにきた東野は子供の頃の生活苦の真っ只中にいた彼であり、准教授と同じ部屋にいた時の彼は大学受験を目指し、進学か芸人かで迷ってたてた頃の彼でもあった。

 夢は脳が勝手に作り出す幻想みたいなものとされるが、一方で、もう1人の自分を解き明かす魔法のツールなのかもしれない。
 そう思うと、「番外編」でも書いたが、有名人が登場する夢ってのも満更捨てたもんじゃないのかもしれない。



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