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ガロアを巡る旅”その17”(更新)〜ガロア定理の証明とガロア群

2024年01月30日 14時42分57秒 | エヴァリスト・ガロア

 正規部分群の右剰余類が巡回群(つまり可換群)になる事をガロアは発見し、こうした正規部分群を”方程式のガロア群”の中に見つける事で代数的に解ける厳密に言えば、方程式の解が係数の四則演算と有限個の√の組合せで表せるを証明しました。
 一方で、アーベルとルフィニは”5次方程式では、係数体にべき根を含めた拡大体の中から方程式の解が1つでもはみだせば、代数的に解けない”事を証明しました。
 つまり”方程式を四則演算とルート計算で解けるなら、(べき根)を有理数体に加えた拡大体の中に方程式の解が存在する”事がガロア拡大体の理論ですが、これは「アーベル=ルフィニの定理」とほぼ同じです。

 例えば、x²+ax+b=0の2次方程式の係数a,bを含む有理数体Qを考え、解の判別式:a²−4b=(α−β)²と自己同型(共役写像)の定義から、(α−β)²=”有理数”を得て、解と係数の関係(α+β=−a)を合わせると、2α=−a±√(有理数)となり、有理数体Qに解αを含む拡大体Kは”K=Q(α)=Q√(有理数)”が判る。
 故に、2次方程式の解を係数のルート計算と四則演算で得る事が可能になる。
 こうして、自己同型の考察から簡単に解の公式が導けるが、これは2次方程式の解で作った体Kが共役写像の自己同型に関して、単純な(線)対称性を持つ事に他ならない。
 一方で3次方程式では、有理数体Qではなく、1の3乗根ω(x³=1の複素数解)を有理数体に加えた体F=Q(ω)を基礎体とし、Fの拡大体Kを考えました。
 Kの自己同型は6つあるが、これは3次方程式のガロア群Gが3つの元(解)を入れ換える置換となり、3つ解の置換の順列組合せが6(=3!)事から来る。
 この6つの自己同型の作る群Gは、三角形の自身に被さる対称群と同類で、3つの元からなる部分群Hで巡回群なるものが存在する。
 そこで、前回「その16」では、G(Kの自己同型の群)←H(3個の元からなるGの部分群=巡回群)←{e}(自明な部分群)が、F(基礎体)=Q(ω)→M(中間体)→K(拡大体)に対応する事に注視しました。
 一応、前回までのおさらいでした。


3次方程式のガロア群

 以上より、体KのF上の自己同型6個は群Gの構造を持つが、それらを中間の体Mの自己同型だと見ると、3つずつが一致し、恒等写像{e}とg₁だけが残る。つまり、3次方程式の解が作る体の自己同型は{e}とg₁の2つのみとなる。
 故に、解の公式を求めるには(先に述べた様に)2次方程式では1つで済んだ手順が、3次方程式では2つになる。
 今、体Mの自己同型の成す群が2個の元eとg₁からなるので、体Mの数を体Fの数から記述できる。そこで、体Mの数で基礎体Fに入ってない任意の数を1つ固定しζと記す。そして、体MのF上の自己同型g₁によるζの像g₁(ζ)=ξとする。すると、g₁○g₁=eよりg₁(ξ)=g₁(g₁(ζ))=ζが判る。つまり、体Mの2数ζ,ξはg₁により入れ替わる。
 ζ+ξはg₁(ζ+ξ)=g₁(ζ)+g₁(ξ)=ξ+ζとなり、自己同型g₁で不変となる。また、g₁で不変な数は体Fに属するので、ζ+ξ=”Fの数”が言える。
 2次方程式の時と同様に、体Mの数(ζ−ξ)²を考える。体Mの定義より、g₁((ζ−ξ)²)=g₁((ζ−ξ)(ζ−ξ))=g₁(ζ−ξ)g₁(ζ−ξ)=(ξ−ζ)(ξ−ζ)=(ξ−ζ)²となり、(ξ−ζ)²=”Fの数”が判る。
 故に、ξ−ζ=√(Fの数)となり、体Mに属する数は体Fの数の四則演算とルート計算で表せる事が出来るとなる。

 そこで、3次方程式の解α,β,γを使い、p=(α+ωβ+ω²γ)³―①、q=(α+ω²β+ωγ)³―②という体Kに属する数を考える。p,qが体Mに属するには部分群Hの3つの自己同型e,f₁,f₂の全てで不変である事を言えばいい。
 まず体Mの定義から、f₁(p)=f₁((α+ωβ+ω²γ)³)={f₁(α+ωβ+ω²γ)}³={f₁(α)+f₁(ω)f₁(β)+f₁(ω²)f₁(γ)}³
 ここで、自己同型の定義より、f₁がαをβに、βをγに、γをαに対応させ、体Fの要素ω,ω²を不変にするから、f₁(p)=(β+ωγ+ω²α)³となり、ω³=1で括れば、f₁(p)=ω³(β+ωγ+ω²α)³=(α+ωβ+ω²γ)³=pと変形できる。同様にしてf₁(q)=qが言え、f₂(p)=p,f₂(q)=qも言える。故に、p,qが体Mに属する事が示せた。
 先に、体Mに属する数が体Fの数の四則と√で表せる事が出来る事が示せたので、p,qも有理数とωの四則演算とルートとで表せる数だと判る。
 ①と②より、³√p=α+ωβ+ω²γ、³√q=α+ω²β+ωγが得られ、3次方程式の解と係数の関係式:α+β+γ=0を加えると、連立方程式の係数は1,ω,ω²という体Fの数で、右辺はFの数の四則と√によって作られる数p,qに³√の記号をつけたものとなる。
 以上より、α,β,γも有理数と1の3乗根ωを使い、それらの四則演算と√計算と³√計算だけで表される事がわかる。


ガロア定理の証明、その1

 以上より、与えられた方程式に四則演算とルート計算で書ける(代数的な)解の公式が存在するかどうかは、方程式の係数を含む有理数体Qから出発し、べき乗根を加え体の拡大を繰り返し、全ての解を含む体Kに到達すれば、四則演算とべき乗で解ける事が可能になる事が判る。
 ここで、有理数体Qから拡大体Kへ到達する体の列を”体K上のガロア系列”と呼ぶ事にする。つまり、”ガロア系列”が存在すれば四則演算と√で解ける。このガロア系列こそが”正規部分群の列”になる事を注意です。

 そこで、方程式の全ての解を含む拡大体Kの自己同型の成す群をGとして、ガロア定理の証明を行います。
 ガロア理論では、拡大体から自己同型の群に移行する訳ですが、2次方程式の解で作った群は2等辺3角形の、3次方程式の解で作った群は正3角形の対称性(3!=6通りの自己同型)からなる群でした。が、5次方程式が解から作った自己同型の群は5つの解が順列を生み、5本のあみだクジと同じで、5!=120通りの自己同型を持つ”複雑”な構造の群です。
 次数の高い方程式の解から作った体の自己同型の群が”複雑”だという事は”どの解も代数的に見分けがつかない”という”解の置換”、つまり解の対称性に依存する。故に、解の対称性を崩せば、四則演算とルート計算で解ける。

 「その16」では、群Gの部分群をすべて列挙し、ハッセ図を構成し、また各部分群によって不変な体Kの数の集合である固定体Mを作った。これら固定体もハッセ図を構成する。
 そこで、群Gから出発し部分群{e}で終わる1本線で結ばれた系列の中に、”すぐ上の群に対し、すぐ下の群が正規部分群になり、その群が巡回群になる”様な系列があるかどうかを考察します。
 もし、この様な系列(正規部分群の列)が見つかれば、”群Gは簡単”であり、それこそが”拡大体Kのガロア系列”(正規部分群の列)となる。つまり、四則演算とルート計算で解ける。狭く言えば、ガロア群Gは正規部分群の列を持つ。
 事実、「その16」では3次方程式で”ガロア系列”の存在を証明できましたが、2次方程式や4次方程式でも同じ事が言えます。

 一方で、5次以上の方程式では解の自己同型の群Gを作っても、上記の性質を持つ様な部分群の系列がハッセ図の中に存在しないものがある。故に、ガロア系列は存在せず、四則演算とルート計算では解けないとなる。
 もっと言えば、四則とルートで解が求まるかは、解を入れ替える自己同型の作る群の複雑さと対応し、解の対称性のあり方に依存する。
 更に言えば、代数的に解ける場合、方程式のガロア群に可換性を保持した正規部分群の系列、つまり”簡単な群”の系列が存在する必要がある。
 こうしたガロアの理論は20世紀以降の数学の方向性を劇的に変え、物事を構造別に複座的に眺め比較するという強力なアプローチとなった。  


ガロア定理の証明、その2

 ここで、x⁵−10x+5=0を例に取ると、この5次方程式の解から作った自己同型群は5本のアミダくじの作る(120個の元からなる)群と同型である。
 そこで、この群は複雑な構造である為、”右剰余類が巡回群となる”様な正規部分群の系列が存在しない事を示す事が可能となり、”代数的に解けない”事が証明できる。
 言い換えれば、方程式が四則演算とルート計算で解ける場合、つまり、体Kのべき拡大体の列が存在する場合には、可換性を保持した部分群の系列が存在する必要がある。

 因みに、「その16」で述べた様に、体Kのべき拡大体の列とは基礎体Fからスタートし、体Fのべき根拡大体K₁、体K₁のべき根拡大体K₂,…,Kₘと続き、最後は体Kとなる様なガロア系列:FK₁⊂K₂⊂・・・⊂KₘKの事でした。
 一方で、中間体:F,K₁,K₂,…,Kₘ,Kの固定群をG,G₁,G₂,…,Gₘ,{e}とすると、この中間体の列に(ハッせ図で)対応するのが、(以下でも述べますが)部分群の系列:GG₁⊃G₂⊃・・・⊃Gₘ{e}となる。

 但し、中間体のFーMーKとそれに対応する固定群のGーHー{e}の系図は完全に一致するが、包含関係は逆になる。これは、部分群H₁,Hと中間体M₁,Mの対応により、H⊃H⇒M⊂Mとなるからで、更に体Fと体Kの間に中間体Mが存在すれば、部分群Gの列に固定群Hが存在し、ハッセ図の体と群が1対1で対応する。この証明は非常に複雑なのでここでは省略します。

 一方で、体Kは体Kₘのべき根拡大より、Kₘ上の自己同型のなす群Gₘは巡回群となる。故に、部分群Gₘは{e}を正規部分群として持ち、Gₘの{e}による右剰余類のなす群は巡回群となる。
 因みに(以下でも述べるが)、この系列で注視すべきは、右剰余類のなす群が巡回群であり、可換群であるという事です。また、群Gが可換群であれば、右も左も同じで単に剰余類となる。

 少し脱線しましたが、下準備が整った所で、証明に取り掛かります。 
 証明は、以下の5つの段階を踏みます。
 ①x⁵−10x+5=0が3つの実数解と2つの虚数解を持つ。
 ②方程式が既約なら上の5つの解を持ち、全ての解を有理数体Qに加えてできる体KのQ上の自己同型の群(ガロア群)は、120個の元からなる5次対称群S₅である。
 ③5次対称群S₅には群のガロア系列(正規部分群の列)が存在しない。
 ④群のガロア系列が存在しないので、体Kの正規部分群の列も存在しない。
 ⑤方程式が四則演算とルート計算で解けるなら、全ての解で作った体Kには正規部分群の列が存在する必要があるが、矛盾するが故に、5次方程式は四則演算と√の計算では解けない。

 以上の5つを順次証明していきますが、この方法が画期的なのは、拡大体の中間体を見つけるのが非常に難しく、べき根拡大を特定するのは困難を極める。それに対し、群に対する構造を調べるのは頑張れば出来るレベルです。
 つまり、ガロアの天才性はアーベルやルフィにがやったべき根拡大体列の持つ複雑多岐な代数的分析を群のガロア系列に置き換え、実行した所にある。


ガロア定理の証明、その3

 まず①ですが、(適当に数値を代入し)大雑把にグラフを描けば、x軸の交点が3つで実数解が3つなのは明らかですが、y=x⁵−10x+5をxで微分し、y’=5x⁴−10=5(x²−√2)(x²+√2)より、y’=0なる極はx=±⁴√2の2個しかない。つまり、3点以外にはx軸との交点(実数解)はない事が判る(証明終)。

 次に、5つの解をα₁,α₂,α₃,α₄,α₅とし、最初の2つを虚数解、残りの3つを実数解とする。この5つの解を有理数体Kに加え、この体Kの自己同型の作る群Gが5次対称群S₅を証明する。
 群Gを5個の解の入れ替えをする5次対称群(置換群)としてみれば、5個の数字の並べ替え(5!=120通り)を与える自己同型(5本のあみだクジの群と同類)となる筈です。が、n次方程式のガロア群は必ずn次対称群の部分群になる事に注視です。
 そこで、上の5次方程式は”既約”で3個の実根を持つ(2個の虚根をもつ)ので、5次対称群S₅と同型となる。これは、この対称群の部分群は(1,2,3,4,5)に”推移的”に作用し、1つ互換(2個の虚数根)を含むと、対称群と同型になり、S₅と同じく5!=120個の元を持つ。故に、群Gは5次対称群となる(証明終)。

 一方で、体Kは有理数体Qに全ての解を順次加える事で拡大して作られるが、1個目の解αを加えて作られるベクトル空間は{1,α,α²,α³,α⁴}を基底とする5次元になる(∵,α⁵が元の5次方程式により4次以下の式になる)ので、体Kは有理数体Q上の拡大次数を[K:Q]とすると、[K:Q]=[Q():Q]×…=5×4×…となるが故に、5の倍数となる。
 更に、”素数pが有限群Gの位数を割り切る時、群Gには素数pの要素を含む”「コーシーの定理」から、群Gには位数5の要素(自己同型)が存在する事が判る。
 この定理は、g∈Gとすればg⁵=e(単位元)を意味する。例えば、(1,2,3,4,5)の並べ替えで5回操作すると元に戻るのは、5個の点を円形に繋ぐ順列で、(1,2,3,4,5)→(2,3,4,5,1)の様な自己同型です。

 一方で、虚数解をα₁,α₂とすると複素共役(x±yi)は必ず解となり、α₁=x+yiならα₂=x−yiとなる。故に、体Kの数を複素共役に対応させる写像fは虚数解α₁,α₂を互いに入れ替え、α₃,α₄,α₅を不変にする自己同型となり、fを体K上に制限した写像とすると、(1,2,3,4,5)→(2,1,3,4,5)という並べ替えを得る。
 厳密には、この様な写像f,g∈Gを使い、群Gはg○f○g⁻¹を要素に持つ事から、自己同型の解の作用を調べ上げ、群Gの要素がS₅と同じく120個ある事を示すべきです。が、(上述した様に)対称群の部分群の中でも、既約な5次方程式のガロア群は位数120の対称群に分類されるので、ここでは省略します。

 ③ですが、Gの部分群Gₘは部分群{e}を正規部分群として持ち、Gₘの{e}による右剰余類のなす群は巡回群である事から、群のガロア系列はGG₁⊃・・・Gₘ₋₂⊃Gₘ₋₁⊃Gₘ{e}を満たす。
 故に、上の”ガロア系列を満たす巡回群が存在しない”事を言えば、③の証明が可能となる。つまり、5次対称群S₅の{e}以外の正規部分群で巡回群は存在しない事を言えばいい。
 事実、S₅の{e}以外の任意の正規部分群には非可換なる2つの元f,g:f○g≠g○fが存在するので、可換群とはならない。
 これは、1→2→1→2→・・・の巡回を(12)、3→4→5→3→4→5→・・・の巡回を(345)とした時、(12345)を(12)(345)とし、(45)(123)と(12)(345)とに分類する。この時、f=(45)(123),g=(12)(345)とすれば、f○gでは1→2→3に、g○fでは1→2→1に変換される。故に、f○g≠g○fが言える。
 これも厳密には、5つの元の巡回はS₅の単位元を除く、6種類に分れ、1つ1つ非可換な要素を探す必要があるが、ここでは1つの例を挙げて終わりにします。

 更に、”巡回群は交換法則を満たす”事から巡回群は可換群となる。これは巡回群が1つの元aだけから成り立ち、”任意の元はaⁿの形で表される”から、aⁿaᵐ=aᵐaⁿとなる事から明らかですね。故に、可換群でないなら巡回群とはならない。従って、群のガロア系列は存在しない。
 ③ならば④は自明ですね。
 以上より、5次方程式のガロア群である5次対称群S₅には、上を満たす様なガロア系列は存在せず、x⁵−10x+5=0が四則演算と√の計算では解けない事が証明できた(証明終)。


最後に〜空を飛ぶガロア理論

 途中、少し飛ばした部分や省略した部分も多々ありますが、以上でガロア理論(方程式のガロア群)の大まかな証明を終わりにします。
 因みに(誤解のない様に)、”四則と√”との表現を”四則演算とルート計算”と改めました。

 小島寛之氏著の「完全版:天才ガロアの発想力」をずっと参考にしてますが、判った様で判らない様で、1つ1つコツコツと読み進めるしかないですかね。
 一方で、ガロア理論は現代数学では中心的な方法論に育っていきます。この成長の1つは群論の発達で、群という概念が数学の本質を見抜くに有効な事が明白となった。
 もう1つはガロア理論の手法の進化で、方程式の解の構造を代数体で表現し、他方で、体の自己同型に群の構造がある事を発見し、体の拡大と部分群の完全対応を利用して、解の構造を群の考察にすり替えました。
 こうした方程式と群という2つの世界を行き来して、難解で複雑な性質を明らかにする。こうした斬新な手法は「フェルマーの最終定理」の証明でも、ガロア理論の拡張版である”ガロア表現”が使われた。
 まさに、”空を飛ぶ”が如く数学の難題に挑んだガロアの天才には頭が下がります。

 長くなりすぎたので、今日はここまでです。次回は、ガロア群と解の対称性について述べたいと思います(多分)。



14 コメント

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互換と可換 (paulkuroneko)
2024-01-30 21:16:16
置換とか可換とか巡回とか
非常に抽象的な言葉ですよね。
ガロア理論の小難しい所は、ここらの理解の仕方にあると思うのです。

5次方程式の5つの解のうち、任意の2つは共役の虚数解ですから互換となり、その他の3つの実数解は置換となります。
互換とは2つの元の巡回置換ですから、結局は5つの元の置換、つまり5つの順列組み合わせとなり、5!=120個の元を持つ5次対称群と同型となるとの理解の仕方でいいのでしょうか。 
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paulさん (象が転んだ)
2024-01-31 04:08:23
貴重なコメントとても助かります。

「天才ガロアの発想力」では、2個(互換の元)の入れ替え全てが群Gの要素になるので、この2つの入れ替えは全ての5つ元の順列組み合わせ(120通り)を含むとあります。
厳密には1つ1つ調べて証明すべきですが、そういう事でいいと思いますよ。

アーベルがやった様に、5つの解が全て有理数や文字なら、順列組合せで120通りは明らかなんですが、共役の虚数解2つを含む5つの解となると、複雑にはなります。
正直、私も全てを十全に理解してる訳でもないの言われる通り、ここら辺は抽象的ですよね。
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ガロア群と対称群 (UNICORN)
2024-01-31 13:23:01
一般の5次多項式の場合、最小分解体(多項式が因数分解ができる最小の拡大体)に対応するガロア群は5次対称群S5となります。
n個の解を互いに置換しあって入れ換えた時、この最小分解体が変化しないような置換だけを集めた集合をn次方程式のガロア群といいます。
つまり、一般の(可約な)n次方程式の場合、その方程式の群はn次対称群Snであり、その位数はn!となる。
但し、x⁵−10x+5=0の様な5次方程式は既約で3個実根を持つ、即ち2個の虚数根をもつので、このガロア群は5次対称群と同型であるでいいと思いますね。 
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UNICORNさん (象が転んだ)
2024-01-31 16:39:14
確かに、言われる通りです。
一般の(x−a)(x−b)(x−c)(x−d)(x−e)の様に因数分解できる可約な5次方程式のガロア群は5次対称群と同型です。
実際、5次方程式のガロア群は、対称群S₅や位数60の交代群A₅や位数5の巡回群C₅の他に位数20のフロベニウス群F₅や位数10の2面体群D₅の5種類ある事が知られてます。
故に、例で示した(可約でない)既約な5次方程式のガロア群は位数120の対称群S₅に分類されるという事でしょうか。

コメントいつも勉強になります。
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天使の翼 (HooRoo)
2024-02-01 15:27:00
をもった天才数学者
潔く決闘に散る
ってところかな

でも
命を賭けたオンナって
そんなに魅力ある乙女だったのかしら(*_*;
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Hooさん (象が転んだ)
2024-02-01 20:47:25
ガロアについてよく調べましたね。
歓心・感心です。

自伝では”卑しい身分のコケット”とされてますから、一応は魅惑的な女性ではあったんでしょう。
それに自称”叔父の愛人”とされてるから、出自は怪しいものだったかもです。

ただ、その5日前に、刑務所に収獄されてた時、所長の娘に激しく恋をし、そして失恋し、自暴自棄になり、死を覚悟してたのかもです。
ここら辺は色んな噂がありますからはっきりとはしないんですが・・
少なくとも、惜しい天才を亡くしたもんです。
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既約と可約 (UNICORN)
2024-02-03 14:23:33
前のコメントで
”既約”という言い方しましたが
ポアソンの手紙やガロアの遺書には、既約とか可約の言葉が出てきます。
視点を替えれば、アーベルの言う”一般”の5次方程式は”既約”の事で、その様に表現してれば、ガウスの逆鱗に触れる事もなかった筈です。実際にガウスは、xⁿ−1=0という円等分のn次の既約方程式がべき根で解ける事を発見してました。

アーベルの証明は、係数体にべき根を添加し拡大していけば可約にならない方程式が存在すると同じです。
ガロアは、既約や可約を含めた全ての5次方程式に共通する代数的な公式が存在しない事を証明し、アーベルの証明を完全なものにします。
以上、少し補足しました。 
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第一論文 (腹打て)
2024-02-03 17:24:08
ガロアの第一論文のタイトルは
「べき根で方程式が解ける条件について」だが
ガロアの遺書通りに、ガウスやヤコビら当時の著名な数学者に送られたが、これといった反応はなかった。
彼らがガロア理論を理解できなかった筈はない。勿論、証明は簡潔すぎて議論を追うだけでも苦労する。
ラグランジュは解の置換が解の公式(有理式)を判別するのに重要な意味を持つ事までは見抜いていた。ガウスも方程式が可約であれば解ける事を見抜いてはいた。
アーベルとルフィニはその先を進み、係数体にべき根を含めた拡大体を調べる事で解の公式を判別できる所までは辿り着いていた。

他方でガロアは、解の置換を群として捉え、その要素を取り出し、部分群の系列を調べた。
つまり、部分群が簡単な構造の系列(正規部分群)であれば、べき根で解ける事を発見した。
ガウスは円周等分方程式が√で解ける事を証明したが、これはラグランジュの解法を発展させたものだ。
よって、ガウスの延長上にはガロア理論は存在しない。
こういう所からもガロア理論が如何に飛躍したものだったかが伺えるのではないだろうか。 
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難しい話は抜きにして (tomas)
2024-02-03 21:01:05
私も調べました。
ガロアの死因は色々と陰謀説が噂されてます。
①警察当局の陰謀
②ガロア自身の自作自演
③ハニートラップ説
④頭が狂ったが故の自殺

大まかにこの4つが考えられますが
転んだサンはどう予想します?
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UNICORNさん (象が転んだ)
2024-02-03 22:13:14
補足、勉強になります。

ポアソンは、手紙の中で”方程式が既約かどうかを確かめる必要がある”と書いてますね。
この時点でガロアは、現存の数学に限界を感じたと思うんです。

ガロアは、体の拡大により、既約が可約に変わる例として、(xⁿ−1)/(x−1)=xⁿ⁻¹+…+1=0を挙げてました。
一方でガウスが証明したのは、既約方程式のxⁿ⁻¹+…+1=0がべき根で解ける事でした。
つまり、体を拡大すると既約であった方程式も可約になる。一方ガウスの「代数学の定理」では、複素係数の全ての方程式は複素数体上で可約になる。
そこでガロアは、四則と√の演算で方程式が解けるには、係数体にべき根を添加し、方程式を可約にする。つまり、べき根を加えた拡大体の系列の構造を考察する事に着目しました。

若干17歳のガロアですが、ガウスの整数論を完璧にマスターし、その上を言っていたという事になりますね。
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