第33代大統領ハリー•S•トルーマンは明確な決断を避けた。”多くの命を救う為”の決断の筈が、”無知と無能さと勇気のなさ”が故に、莫大な数の犠牲者を生んだ。
全くやってる事と次元は、昨日書いた「インパールの悲劇」の牟田口中将と同じで、バカが上に立つとロクな事はないの典型だろう。
無知と無能が生んだ最大の悲劇
トルーマンは明確な決断から背を向けた。民間人を戦争に巻き込まないという”戦時国際法”から背を向けた。勿論、ドイツも日本も1930年代には民間人を爆撃した。しかし、規模が違いすぎた。
トルーマンは迷っていた。
”原爆投下に踏み切れば、人類史上最悪の大量殺戮者として名を残すであろうし、拒絶すれば、無能で無知な”弱腰”の大統領として一生汚点を残すであろう”
ルーズベルトが1945年4月12日に急死し、トルーマンは大統領に昇格した。スターリンは、ルーズベルトと全く対極的な、”威厳も貫禄もない粗雑な小物”が、突如として大統領の地位を獲得した事に愕然とした。
トルーマンのキャリアとしては、副大統領のわずか82日間の任期だけで、就任初日の気持ちを、”私は戦争の詳細について何も聞かされていないし、外交にも自信がない”と弱音を漏らしたいう。
そして、その不安は現実となり、トルーマンを死ぬまで苦しめた。
1945年7月にはポツダム会談に参加した。7月26日にはアメリカ、イギリス、中華民国の3国による”ポツダム宣言”が発表されたが、3カ国代表のサインは何とトルーマンの筆跡だった。
トルーマンには、”ソ連抜きで戦争に勝利したい”意図があった。この時点で、既にトルーマンが弱腰になってるのが理解できる。
一方、戦争に勝てないと判断した日本政府は7月12日、ソ連に和平の意向を伝えるよう打電した。その暗号電報は即座に解読され、すぐにトルーマンに知らされた。
つまり、トルーマンは日本が降伏に出た事を、原爆投下以前に知っていた事になる。
ポツダム入りした米軍参謀本部は、26日のポツダム会談の前に合同会議を持ち、”①ソ連が参戦する予定である。②天皇制存続を認めれば日本の降伏は今日にでもありうる。③日本はすでに壊滅状態で、原爆を使う必要はない”との結論を出した。
しかしトルーマンは、その結論を明細に分析する事も、信用する事もなかった。つまり、トルーマンは高卒のそれも単なるバカだったのだ。
J・F・バーンズの愚策
国務長官J・F・バーンズ(写真右)は、”天皇制の護持が容れられれば、日本には終戦交渉の余地がある”とする委員会の提言を黙殺し、東ヨーロッパで覇権を強めるソ連を牽制する為、大統領に日本への原爆投下を強く進言した。
トルーマンは、7/14に事前会談で、スターリンの対日宣戦布告(8/15)を聞かされた。しかし、トルーマンは、トリニティ実験(アメリカ初の核実験、7/16)の報告を聞き、強気になっていた。
故に以降、ソ連に対し、強硬路線をとる様になる。
一方、陸軍長官H・スティムソンは、”京都を原子爆弾投下の目標から外す”ように進言する。というのも、マンハッタン計画のレスリー・グローブスらが、一般市民が数多くいる京都を目標としていたからだ。
スティムソンは京都を訪れた事があり、原爆を投下すれば数多くの市民が犠牲になるのを知っていた。こうして、トルーマンは”原爆の投下場所は軍事基地のみに限る”と決断した。
軍から送られてきた目標選定書に最初に書かれていたのが広島で、そこには広島は軍事基地だとあった。
トルーマンは、広島について調べる暇がなかった?為、広島に多くの市民はいないと勘違いを起こしてしまったのだ。全く無知とバカ程怖いものはない。
原爆投下正当化の明らかな矛盾
結局、トルーマンが広島を外す事はなかった。そして7月25日に、軍が起草した原爆投下指令書が発令された。
しかし、この原爆投下司令書をトルーマンが承認した記録は見つかっていない。つまり、”トルーマンが決断を避けた”とは、この事である。
明らかに、このバカは核の惨劇から目を背けた。このバカは勇気も知恵も度胸も、最初から持ち合わせてはいなかったのだ。
原爆の日本への使用については、当然の如く、アイゼンハワーなど共和党支持の米陸海軍の将軍たち全員が反対した。
アイゼンハワーに至ってはスティムソンに対し、”アメリカが世界で最初にそんなにも恐ろしく破壊的な新兵器を使用する国になるのを、私は見たくない”と何度も激しく抗議していた。
結局、原爆開発は陸軍の完全な機密保持下に行われた。
全く、何で陸軍はアホしかいないのか。バカを仕出かすのは、何時の時代も何処の国も陸軍の上層部だ。
因みに1953年にトルーマンは、水素爆弾の開発を発表した。トルーマンは生涯、原爆投下を正当化した。故に、アメリカでは未だに”戦争を早期終結に導き、アメリカ将兵の命を救った大統領”という不可解で奇妙な評価が定着している。
しかし、その評価の基盤も崩れつつあるのもまた事実だ。アメリカの若者は気付き始めてる。”原爆投下は明らかに間違いだった”
トルーマンの嘘と黙認と
このNHKの特集番組では、定説を根本から揺るがす資料や証言が明らかにされてる。
22億ドルもの予算をつぎ込んだ軍は、開発の成果を知らしめる為、なるべく多くの犠牲者を生み出して原爆の破壊効果を最大限アピールしようとした。
事実、急死したルーズベルトから十分な引継ぎを受けていないトルーマンは、投下計画を軍が秘密裏に進める中、その綿密な計画を知らされる事もなく、それに異議を唱える余裕も知識も勇気もなく、只々黙認するしかなかった。
一方で無能な米陸軍は、最大の破壊効果をアピールする為、爆風が広がりやすい地形から広島と京都、特に執拗に京都をターゲットに定め、京都を軍事施設と偽りの報告を行ったのだ。
結局、広島と長崎に原爆を投下し、その報告を受けたトルーマンは、破壊力が想定とは大きく違う事を知り愕然とし、最大17発を用意してた原爆投下計画を中止する。
勿論、”より多くの命を救うために原爆投下を決断した”というトルーマンの迷フレーズは、世論対策として後から書き加えられたものだ。
トルーマンは1963年に日本の被爆者に会った時、”50万人の日本人の命を救う為”という嘘っぱちのストーリーを新たに加えた。このスピーチに被爆者は怒りと失望を覚えた。
17発もの原爆を投下する可能性があった事自体、”犠牲者を少なくする為に原爆を使った”という説明は、明らかに矛盾する。
2016年5月の広島でオバマ大統領は、”死が空から降ってきた”と語ったが、まさに茶番だった。”死はアメリカから降ってきた”と言うべきだった。
トルーマンの真実
生々しいトリビアを一つ。エノラゲイの乗組員が原爆を投下する前に、投下点の最終確認を行った。
ファインダー越しに、小さな黒い点が9個ほど確認された。よく見ると、子供達が野球をして遊んでるのだ。広島は軍事施設で女子供はいないと、事前に報告されてたのにだ。
早速、乗組員は軍司令部に報告した。トルーマンの返事は”原爆投下せよ”だった。
乗組員全てが沈黙した。数分後、原爆は予定通り投下された。
つまり、これが戦争なのだ。これこそがトルーマンの真実なのだ。
明らかにされた事実が不都合なものであった時、正面から向き合い、自らの立ち位置を変える勇気を持つ事は難しい。
トルーマンにその勇気があったら、地球史上最大の悲劇は避けられた。 広島での愚策はそのまま長崎へと飛び火した。そして再び、最悪の悲劇は繰り返されたのだ。
綺麗事はバカでも誰でも言える。しかし、真実を伝え、自らを戒めるのは誰にも出来る事じゃない。勿論、私だって出来やしない。
つまりトルーマンの真実は、アメリカ歴史上最大のいや人類史上最悪の恥でもある。
トルーマンは超一級の戦争犯罪者ですかね。アメリカ国民も薄々と感じてるとは思うのですが。こういったドキュメンタリーに関する意見やコラムやブログは当然、ネットを通じ世界中に出回る訳ですし、アメリカもこういった機密文書を公開すること自体、ある意味非を認めてる事で。
本人は死んでいないのだから、時効と言えば時効とも言えなくもないが。戦争の早期終結の為にという有名な偽台詞は世界中でも笑いの種になってるようで。
歴史の教科書は第二次大戦の項目を大きく更新&修正すべき時に来てる。つまり、この第二次大戦の最大の戦犯はアメリカで、そういう真実の定義の元で大戦以降の歴史を考える必要があると思います。
転んださんの好きな言葉を使えば、アメリカの罪は自明であると。全てはアメリカが責任を負うべきが自明な解であるとですね。
勿論、日本もイギリスもフランスもドイツもロシアも、民間人を巻き込んだ殺りく行為には手を染めてきたが。その規模となると、アメリカの比じゃない。大義とか道徳とか良心とかいうレヴェルを超え、狂気という名の凶器。
戦後の朝鮮戦争やベトナム戦争や中東戦争を見れば明らかでしょう。第一次大戦まではまともだったアメリカも第二次大戦から、特に太平洋戦争から大きく横道にそれ、変質したように思う。
転んださんには、このブログを連載してほしいです。戦争は一体アメリカに何をもたらしたのでしょうか。
トルーマンや牟田口中将やルメイに共通するのは、無能や無知による臆病さです。結果に拘り過ぎるが故に、自分をより大きく強く見せようとするが故に、自分の非や否と向き合う勇気がないんです。
ホント、hitmanさん言う通り、第一次大戦以降の歴史の教科書を根こそぎ変えないと、アメリカの暴走や中国の勘違いを引き起こしかねません。今では、東京大空襲はテロ行為だというのが常識ですし、原爆こそが大量破壊&殺戮行為というのも、世間の常識となりつつあります。
勿論、日本の徹底抗戦や一億総玉砕というのも、イカれた精神論ではありますが。日米を問わず、陸軍てのはイカれた連中が多いんですね。糞尿垂れ流し状態で何ヶ月も前線にいれば、死体が浮いた汚水で炊いた米を食えば、頭は完全におかしくなりますね。
そういった極限を生き延びた連中が陸軍幹部になるんですから、彼らが追い詰められたらどんな事仕出かすかは容易に想像できますが。
でもこうしたテーマは、どうしても極論や感情論に走りがちなので、右翼的になったり左翼的になったりと、非常にバランスを取るのが難しいです。
そういう自分も表面的には左翼を装ってますが、本性は右翼にあるかなと思う時があります。いつかはアメリカをギャフンと言わせてやろうと思ってる日本の知識人も結構多いと思いますが。
中々こういうのは、誰もが振り返りたくないテーマですね。
でも、肱雲さんの世代なら、結構こういう話題は盛り上がりますね。
私の兄もこういうテーマには非常に詳しかったです。勉強なんて全くなのに(笑)。
肱雲さんのコメントを読んでると、若くして死んだ兄の事をよく思い出します。
これからも宜しくです。
パール博士の日本無罪論とダブる所があるんですが。戦時下においては様々な狂気や策謀が蠢くんですね。戦時法とはそういった”不都合な”戦争にもルールがあるという基準を作った訳ですが、それを一番最初に破ったのがアメリカなんです。
しかしアメリカに言わせれば、日本もドイツも民間人を爆撃してるではないかと。ただし規模が小さいという点ではナポレオン戦争時でも日本の農耕一揆でも民間人を巻き添えにしてます。
しかし原爆投下による民間人の犠牲は規模のケタが違いすぎるし、人類史上最悪の戦争犯罪である事は明らかです。
今はまだアメリカが世界一の権力を有してるから誰も何も言いませんが、アメリカが世界一の大国ではなくなる時、自ら造り上げた核の傘が自国に降り注ぐ事も想定する必要があるでしょうね。
全て100%トルーマンのせいにする訳にもいかないんですが、最終判断を下したのはトルーマン本人ですから。
結局、大量殺戮に背中を向けたトルーマンの失策と失態ですよね。
スターリンはトルーマンがヘボを犯すのを見抜いてました。内心”ラッキー”と思ってたでしょうね。ソ連がアメリカと並ぶ超大国に成り上がったのもトルーマンのお陰です。
見た目はいい人のように見えるんですが。