お茶の間からテレビが消える？(更新)〜スマホがテレビに取って代わる日､そしてテレビは死滅する？〜

　WOWOWからボクシングが消えた。カネロvsジェイコブスを見ようと思ったら､番組表にない。慌てて､ストリーミングサービスである”DAZN”の一ヶ月無料体験に申し込んだ。

　子供の時からずっとTVっ子だった私にとって､この事は上皇陛下の退位よりもずっと衝撃的に映った。大袈裟だが1つの時代が終わったと思った(平成天皇という言い方はNGだそうで修正します)。WOWOWといえばエキサイトチャンネルで支えられてる様なもんだったから､深い喪失感すら漂ってくる。

　放送がデジタルになり､番組のコンテンツが平ぺったくなり､ここ数年のボクシングも貧弱に淡白になった。ネットが君臨し､世界がグローバル化し､TVチャンネルが多様化し充実するにつれ､かつての娯楽の王様であったボクシングは､野球と同様に衰洛していった様にも思う。

　時代が替わるのは当然の事で､当り前の様にお茶の間の娯楽を支配してたテレビが､新たな”娯楽の王”であるスマホに取って代わられるのも驚くべき事ではない。

神を味方に付けた？ジェイコブス

　さてと今日の12時から始まるサウル•”カネロ”•アルバレスVSダニエル•”ミラクルマン”•ジェイコブスの試合だが､さほど世界が注目してるという訳でもない。でも不思議と私には気になる一戦である。
　”PPVの消滅”ブログでも述べた様に､天国を夢見て天国を見たカネロに対し､天国を夢見て地獄を味わったジェイコブスには興味を覚える。

　特に､癌による脊椎の骨肉腫により､一度は歩く事もボクシングへの復帰も100％閉ざされた”奇跡の男”ジェイコブスの復活劇には､流石に心を打たれる。癌という神様の無情な贈り物のお陰で､彼は再び世界王者(IBF)になり､ベガスの新帝王カネロ(WBA､WBC)の肩に手を掛けるまでになった。しかし､ブルックリンガイのジェイコブスはカネロを下さない限り､王者としての甘い蜜は味わえない。

　最初の頃は圧倒的にカネロ有利だったが､ここに来て1：2.5程までに縮んできた。というのも判定になれば､どんな展開でもカネロの勝利は先ず動かないからだ。故に､実質の力関係は全くのイーブンだろう。
　ジェイコブスが勝つには､判定であろうがKOであろうが､カネロを袋叩きにしない限り勝てないとは､専門家の共通した見方である。

　記者会見を重ねる内に､ジェイコブスの飢えと渇きにも似た咆哮が､カネロ陣営を脅かす様になってきた。もう少し血生臭く毒づいてもいいとも思うが。腐敗したボクシングを浄化させる為にも､放蕩者で暴れん坊の”カネロ”アルバレスを､”奇跡の男”はフルボッコにする必要がある。

　そして､それが現実になりそうな気がする。ジェイコブスの背中に神が宿ってるように見えるのは､単なる気のせいか？それとも贔屓目か？
　

もしテレビがなくなったら？

　テレビは長らく”メディアの王様”として君臨してきた。そのメディアは第一権力として戦争をも引き起こし､支配してきた。
　私達はテレビで映し出される事が全てだった。テレビが映し出す全てを信じ､大人になった。ブラウン管上の正義こそが全てだった。
　その上テレビは虚構を世界中に撒き散らし､繁殖させてきた。我らサピエンスはテレビに洗脳され､テレビと共に成長し､進化してきた。

　テレビが消滅したら？ブラウン管上の正義が消滅したら？テレビが撒き散らした虚構が消滅したら？我々は何を信じたらいい？メディアという権力はテレビからネットへ移行し､無限の情報の網の中に包み込まれるのか。

　テレビという一党独裁のメディアの権力がなくなり､メディアはネットに支配され､今度はネットが世界の第一権力となり､猛威を振るうのか。

　ラジオからテレビ､そしてスマホへ。時代というものは異常なまでに気まぐれだ。　

　そしてこれから始まるカネロVSジェイコブス､神様は果たしてどちらに微笑むのか。