”その1”では”原爆の父”オッペンハイマーと彼が発案した原爆開発がどの様にして大きく膨らんだのかがテーマでした。
”その2”ではこの原爆開発を大規模なプロジェクトにした、2人目の主役である”科学界のドン”バネバー•ブッシュ(イラスト)がテーマでした。バニバーとも呼ぶみたいで、ウイキで調べると相当な経歴の持ち主です。
そして今回の3回目では、とうとうトルーマンとブッシュが結びつき、原爆投下へ一直線となる訳ですが。無知と無能が結び付き、悲しいかな人類史上最大で最悪の大失態へと繋がっていきます。
このバネバー•ブッシュも見てくれと経歴は、非常にいい男ですが、実際には”異常なまでに危険な男”だったんです。
20億ドルを注いだ原爆計画
ルーズベルト急死の1か月前、政権の内部では未だに原爆が完成しないのを問題視する声が上がってた。
途方もない金と人材を使っている計画が、もし失敗すれば容赦のない調査と批判にさらされる。
後ろ盾のルーズベルトを失ったブッシュは、国民の糾弾の矢面に立つのを恐れた。彼もまた追い詰められていたのだ。
”私の負担は増え続ける一方で、支えてくれる人間は減っている。本当に危うい状況だ。私は重大な問題に巻き込まれる”
新しい大統領に就任したのは、ハリー・トルーマン。
かつて使途不明の巨額の軍事支出金を原爆開発費だとは知らずに追求してたマヌケ?な男だ。この純朴で無能な男も昔は、”正義の議員”だったんです。
急遽、陸軍とのミーティングが設定され、原爆開発に20億ドルをも注ぎ込んでた事実を知った。トルーマンは驚き、状況の深刻さを思い知る。この時の大統領の動揺と無能は、”トルーマンの真相”ブログを参照です。
”原爆は、アメリカの科学と戦争で努力し、成功した事を誇る根拠となる。
完成した原爆で実験の成功を見せても、アメリカの大衆がその意義を十分に理解する事はない。原爆を投下してこそ、人々の意識に十分な理解と影響を与えるのだ”と、ブッシュはその時の苦境を語る。
全く、悪ガキの言い訳にしか聞こえませんな。苦悩というより強欲、原爆投下を自らの地位誇示に利用しただけですか。
トルーマンの頭の中は”原爆投下”の4文字しかない。獲物を呑み込む事しか脳がないアナコンダと同じ脳みそなんです。
超の付くエリートと無能な大統領が、原爆開発の暴走で強欲と支配欲に火が付き、ある種の大量殺戮的認知症状態になってたのだろうか。
待ちに待った原爆の完成
ここで、決意を固めたブッシュの元に、待ち望んでいた情報が届く。
”原爆は8月1日に手に入る”
原爆は遂に、完成の目途がついたのだ。
1945年5月ドイツが降伏。
原爆開発のきっかけとなった、ヒトラーの脅威は完全になくなった。
残りの対戦国は日本だけだ。
アメリカは、東京大空襲をはじめとする日本本土への徹底した焼夷弾空爆を行った。降伏は時間の問題とみられた。
新大統領トルーマンの元で、ブッシュの要請をきっかけに、一つの組織が立ち上がる。
それは原爆の使用法などを具体的に検討し、大統領に勧告する”暫定委員会”だ。
出席者はグローブスら軍人や政治家と、ブッシュやオッペンハイマーら科学者たちで占められた。
議論は、ブッシュの持論である”原爆の投下”を前提に進められていく。
暫定委員会は、”原爆は使用すべき”という立場の人間だけで固められた”とジラード。彼に関しては”その1”参照です。
ブッシュは、20億ドルもの超多額の国家予算を費やした責任から成果を示そうとした。
一方で、軍は原爆投下を決意し、関係者もみな、自分たちが成功させたと見せつけたがった。今の安倍政権や東京五輪を控える都知事と全く同じですかね。
”税金がその本来の目的で使われる事は、まずありえない”と、バルザックは言ってませんでしたっけ。
どこに原爆を落とすべきか?
原爆を投下する目的が、委員会で決められた。”可能な限り、多数の住民に深刻な心理的影響を与えるべきだ”とブッシュは叫ぶ。
どこに原爆を落とすべきか?具体的な提案をしたのは、ブッシュの側近の科学者ジェイムス・コナントだ。
”最も望ましい目標は、多数の労働者を雇用し、雇用住宅が密集する軍需工場だ”と。
結局、”一般市民の住宅が立ち並ぶ場所に原爆を投下する”との委員会の結論が、トルーマンに勧告された。
投下予定地は複数の候補から広島と長崎に決まっていく。
科学者が提案し開発した原爆は、同じ科学者たちの意見により、多くの一般市民の上に落とされようとしていたのだ。
つまり、軍人や政治家の無知や無能を利用し、科学者達は好き放題に勝手を進めてたんですね。
その時、完成した原爆は本当に日本に投下すべきなのか?一通の意見書が暫定委員会に出された。
”アメリカがもしこの無差別破壊の新兵器を人類の頭上に最初に投下するならば、全世界の人々の支持と信用を失うだろう”
提出したのは、シラードらシカゴ大学で研究していた科学者たちだ。
”日本に対して原爆を直接使用するのではなく、デモンストレーションを行い、日本人に原爆の破壊力を見せた上で、降伏を迫るべきだ”と、彼等は提案した。
オッペンハイマーの独断と決断
暫定委員会は、この意見書を諮問機関である科学顧問団に検討させた。
科学顧問団の代表であったオッペンハイマーは、当然シラードらの提案を却下する。
”原爆のデモンストレーションでは戦争を終結させる見込みがない。直接投下以外に賛同できる案は考えられない”
しかし、アメリカの科学誌の研究者は、シラードら投下反対の意見書を出した科学者たちにも厳しい視線を向ける。
つまりメディアも原爆投下に完全に傾いた訳で。戦時中には、メディアがプロパガンダ化に染まってしまう典型ですね。
戦時中は民主主義というものは存在しない。あくまで大量殺戮が王道で合法なんですかね。
”科学者たちは、誰一人として守秘義務を破らなかった。当時は、エドワード・スノーデンの様な人間はいなかった。原爆を使うのは間違ってると知りながら、外に向けて話す事はなかった。彼らにそれほどの強い気持ちはなかった。これは重要なポイントだ”とある専門家は語る。
彼等のうち一人でも日本に亡命してくれたら、60万の命が救われたかもだ。20億ドルか、60万の命か?エドワード、アンタは偉い。
原爆が”悪魔の兵器”に変わった瞬間
こうして科学者らは全て、”原爆投下”の道を選んだのです。原爆が”悪魔の兵器”に変わった瞬間です。
原爆投下の時の思いを、オッペンハイマーの弟フランクは、以下の様に語る。
”広島への原爆投下が発表された時、私は兄のオフィスにいた。原爆が投下され、広島が壊滅したとのニュースは、スピーカーから伝わった。最初の反応は、不発ではなくて良かったという位のものだった。
突然多くの人が殺されたという恐怖が沸き上がってきた。その時までは、被害にあう人々の事を考えてなかった。実際の写真を見るまでもなく、本当にむごたらしい気持ちになった。
それでも、最初に頭によぎったのは、上手くいって良かっただった。
最初の反応は満足感だった。今それが成されたのだ。長年私たちが携わってきた仕事が戦争に貢献したのだと。2つ目の反応は言うまでもなく、ある種のショックと恐怖だった。
兄さんは何て事してしまったんだ”
悲劇はそれだけで終わらなかった。
3日後、2発目の原爆が長崎に落とされた。広島型とは異なる、量産しやすいプルトニウム型だった。
お陰で、再び7万人もの命が犠牲となった。
続けて、”その4”(要Click)に行きます。
戦時下であっても、一般の人々を殺すのは犯罪です。
日本は今からでもアメリカに怒るべきです。
実に重い残酷なブログなんだけど。こういうのは誰かが書かなきゃならない。避けて通ることの出来ない悪夢。
アメリカがどうの日本がどうのって問題じゃない。一見、日本の日本人の被害者の立場で書かれてる様で、実は科学者の無能と強欲を指摘してる。知識人の盲点と死角を突いてるように思う。
科学者が見た戦争と、軍幹部が見た戦争と現場の兵士が見た戦争、それに大衆が眺めた戦争。それぞれに捉え方が全く異なる筈だね。
ブッシュも彼なりに原爆投下の正当性を模索した筈なんだろうけど、はっきりとした答えが出るはずがないだろう。折角、世界初の地球の歴史上初の最終破壊兵器を作ったんだから、実験ではなく、脅しではなく、日本列島ごと消し去れって、勢いだったんじゃないのかね。
科学の前では、小さな島国などとるに足らないものである事を証明したかったんじゃ。
少し生意気な言い方だけど、こういうのが戦争なのかな。
うで、
広島長崎に関しては、情報が曖昧で大きな軍需工場があるという理由だけで落とされたと。
アメリカ国民も薄々とは勘づいてたんですね。原爆投下が世界へのデモンストレーションだという事を、アメリカファーストの。
でもアメリカの陸軍と空軍の異常なまでの確執が、原爆投下や無差別空襲の真相を暴露してくれたんですから。情報公開に踏み切ったアメリカ軍関係者も勇気ある行動だったんでしょうか。
ブッシュの明らかな二枚舌も、物凄く悲しく虚しく映りますね。当時も今もですが。その4でも述べますが、ブッシュの最後の言葉が全てを物語ってます。
つまり、アメリカが仕掛けた核はアメリカそのものを壊滅させると。これも自業自得という訳で、アメリカもおめでたい国ですね。