日頃、空気のように意識しないが、本当は幸せなのに気づかないことは多い。出版もそうだ。毎週、毎月さまざまな雑誌が発売される。翻訳も多く、新刊も次々発表される。識字率が高い1億の人口があるからだ。これが人口が5分の1だったらどうか。人口2000万人。オーストラリアなど英語圏ならば、海外需要を当てにできるからまだいい。それでも映画はマッドマックス(メル・ギブソンかっこよかった)、クロコダイル・ダンディくらいしか思いつかない。書籍といえるか、南極が上の地図しか知らない。
日本語圏は、ほぼ日本だけだ。活字離れが言われて久しいが、このまま書籍文化が衰退すると不自由なことになる。新しいことを始めるに当たって、周りに聞く人がいなくても、書籍を探せばどんなジャンルにもちゃんとハウツーや専門書がある。自分たちの言語で本が読める。これがどんなに幸せなことか。人口1億の幸せなのだ。翻訳もなく、外国の書籍を読まなくてはならない不自由をわれわれは知らないで来た。我々は日本語でしか考えることが出来ないのだ。識者が語る活字文化の大切さは、本当だ。あまり売れない本も出版できる日本の活字文化を大切にしよう。1に国語、2に国語、3、4が無くて5に数学。愛人を囲うつもりの数学者・藤原正彦を喜ばせるのは不本意だが、彼の本を読んで子供たちと本を読む楽しさを共有しよう。