masumiノート

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モラルハザード

2016年02月06日 | ガソリンスタンド2

モラルハザード
倫理の欠如。倫理観や道徳的節度がなくなり、社会的な責任を果たさないこと(「バレなければよい」という考えが醸成されるなど)。
wikipedia.
weblio.
企業などが節度のない利益追求に走るような、責任感や倫理性の欠けた状態。倫理の欠如。



格安の裏に潜むリスク 顧客との信頼関係に影響も
し烈な過当競争が生む コンプライアンス無視

2月5日燃料油脂新聞より


◎・・多数の死亡者を出した長野県のバス転落事故は格安ツアーの裏側にある、し烈な過当競争が背景にある。
合理化や効率化といったローコスト経営による競争によってコンプライアンス(法令順守)が無視され、安全より利益を優先した結果起こった事故だった。

石油業界も過酷な過当競争を常に繰り広げている。
「どうしてあんな安値で販売できるのだろうか」と思わず首を傾げてしまう価格が・・・・(略)

◎・・民族系のある社長は灯油の販売時期を迎えると石油販売日報を丹念に確認して、灯油配送担当者が不正を働いていないかをチェックするという。

(略)

安値を追い求める消費者は逆にリスクを負った高額の灯油を買っているのかもしれない。


*****

【東京シェルパック】灯油の巡回販売で故意に灯油を少なく入れて、差額分を着服!
TBSテレビNスタスクープで18リットルの灯油を17リットルしか入れずその差額分を着服していたことが分かった。会社は黙認していたというコメントも飛び出しネットでは怒りのツイートが拡散。
更新日: 2015年01月29日
http://matome.naver.jp/odai/2142253144270979201



***(以下masumi)***


自由化、価格競争のしわ寄せは、社会的弱者へ

そして、

モラルハザードの、本当の被害者は消費者です

※ガソリンスタンド業界では、灯油・軽油・携行缶 “難民を生みました。



このブログでも何度か書いていますが、
横並びの売り値だった規制緩和以前は、サービスや接客力の競争でした。

セルフ解禁前までは、全ての消費者は業界全体のお客様でした。

残念ながら今は違います。
安値店で給油するために高値店の前を素通りしていく消費者。

2者店等は早々と「セルフ化+小口配達の切り捨て」へと舵を切りました。
3者店は給油客へのサービスはそのままに、マージンだけが低下した状態で営業を続けるしかありませんでした。

そうして高値の地場業者は疲弊していき、ガソリンスタンドの数はピーク時の約半数にまで減少しました。

フルサービス形態のガソリンスタンドは今現在も減少を続けています。


「消費者が店を選ぶように、こちらも消費者を選ぶ」

・・・そうしなければ倒れてしまう。



***
(※念の為に書いておきますが、masumiさんとこうちゃんの考えは違います)

私は“セルフでは買えないから”と携行缶への給油の時だけ当店を利用する消費者に対して快く接客することができません。
「こんなんだけ買いに来て御免やで」みたいな方は別として、

「セルフで買えたら良いのに」とか、レシートの単価を確認しての、あの言動や表情。

思い出すだけで震えがきます。


シーズンが過ぎた灯油の廃棄を全てフル店に押し付ける行政・組合にも腹が立ちます。
巡回業者やホームセンターなど、廃棄を請け負わない業者の安売りが地場業者を廃業へと追い込む要因の一つでもあるのに!



「携行缶だけでも、売れれば利益になるじゃないか」「携行缶だけでもれっきとした客じゃないか」
そのように思われる方もあるでしょう。

「発券店値付けカードは給油のみ」に対しても、他府県の一見さんから「それでも手数料は入るんだろう?!だったら俺は客だろうが!」と怒鳴られたこともあります。



買ってくれたらお客様?

では何故、東日本大震災のとき、店頭にロープを張って常連優良顧客だけに給油をしたガソリンスタンドがあるのでしょうか。

発券店値付けカードは給油拒否とした店もあったそうです。



どれだけ経営が苦しくても、
消費者から暴利・悪徳と誤解されても、
(特約店に対して)腸が煮えくり返るような思いをしても、

“継続的に供給することを保証されているから”、系列玉を仕入れて営業を続けているのです。

自己資産を食い潰してまでも。



発券店値付けカードでは採算割れなのです。
真綿で首を締められながら(それを知りながら)、笑顔で無料サービスを行える人間がいるでしょうか。




回収不能と分かっていながら地下タンク消防法改正対応工事を行ったのは、
「窓を拭いてほしいときだけ」「タイヤの空気圧をみてほしいときだけ」「セルフでは買えないから」といった消費者のためではありません。

そういう消費者はお客様なんかじゃあない。
地場業者の体力を奪うだけの存在です。


地場業者は地域密着とよく言われますが、余程の田舎でない限りそんなことはもう夢物語だと思います。
世代が変わったこともあり、地域の中で当店を利用して下さっている家庭は数えるほどしかありません。

「地域密着」「地域のため」なんてことは、私には言えません。

自店の顧客のために営業を続けています。

値段は高い、そしてサービスも十分に行えなくなった当店・・・

申し訳なく。
有難く。

・・・

話が逸れました。

「消費者がモラルハザードの被害者」の話に戻りますが、
311で、給油の為に並んだ車の中で亡くなられた方があります。

規制緩和以前の、全ての消費者が業界のお客様だった(地域住民がその地域の店のお客様だった)
あの時代なら、そのような不幸は起きてはいなかったはずです。


※規制緩和以前でも、3者店は2者店より高い仕入れ値でした。
のほほんとしていたわけでもありません。




(311で)ロープを張って自店の顧客だけに給油した販売店のことを知ったとき、私はその販売店のことをとても羨ましく思いました。


最後の砦を守ってきたのは誰か。
※コメント欄も




2月6日PM6:50追記

2013年01月08日 業転玉 より一部転載

潰れるわけにはイカンのです。社員のことを思えばそう簡単に廃業なんて考えられない。浮気と言われようが詐欺と言われようが(粗悪品を売っているわけでは無い)利益を出して会社を守る。」
st31掲示板、No.16655より抜粋

この零細SSさんの言葉にこそ説得力があります。
仕入れ努力とか仕入れの工夫なんて、そんなもの全然心に響かない。

他社買いをしている系列販売店をズルイと思うし癪に障ることも事実です。

系列100%仕入れのうちの店は、だけど、零細SSさんの言われるような猛者ではありません。
元売(特約店)との交渉力もないし、油外は捨てているし、資金力は数キロの玉をCODできる程度しかないし、・・・零細SSさんと殆ど変わりません。
だから、そうせざるを得ないだろうというのも実感として理解できます。

もし私が一消費者の立場で他社買いのことを知ったとして、「それでは産地偽装と同じだ」と憤慨したとしても、業界の中の事情を知って、そしてこの零細SSさんの本音を聞いたなら多分許せると思います。


私は、こんなふうに同業者同士をいがみ合わせるような仕組みを許容し続けるのは嫌なのです。

(本当かどうか知りませんが)st31さんは、元売は他社買いを許すと言われる。
しかし業界紙や特約店担当者の話によると、品確法の軽減措置停止やマーク剥奪を示唆されている系列販売店がある。

そんな中で、店を存続させるために皆頑張っているのです。