空耳 soramimi

あの日どんな日 日記風時間旅行で misako

「その鏡は嘘をつく」 薬丸岳 講談社

2014-10-05 | 読書




 「天使のナイフ」を読んで違う作品も読んでみたいと思っていた。いろいろ雑事に紛れて一気に読み通すことが出来なかったが、やっと終わった。
二冊とも同じ傾向を感じる。人間が持つ善意や、良心に触れる部分が、いい読後感に繋がっている。


エリート医師が殺害された。犯人に近いと思われる予備校生が姿を消した。検事の志藤と刑事の夏目が、真相を追って捜査を始める。
二人の人柄の違いや、異なった立場から、輪郭のはっきりしない事件に向かっていく姿が興味深い。

志藤は直感と鋭い分析力で、犯人を割り出す。理詰めで行くと犯人は逃れられない立場になる。

殺された医師は、今の地位を手に入れるために何をしたか。志藤の挙げた被疑者は間違いがないのか。

殺害された医師の発見のために騒ぎを起こした予備校生の真意は。


病院経営者の両親を持って、恵まれた富裕族の子弟は、病院を継ぐ運命のために、医師を目指して予備校で教育を受ける。全ての子どもが医師に向いているとは限らない。運命と自己の間の葛藤を利用して、殺された医師は何をしたのか。

事件をはさんで志藤と夏目の人格の違いや、事件の背後の人たちの苦しみが、暗いながらも読みきる力になる。

哀切な話もあって解決するが。真実や人生の深みは余り望みすぎてはいけない。

上質のエンターテインメントとして十分書ききれている。素直に感動的なシーンを受け入れて読み通した。

他の作品も読んでみたい。




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