空耳 soramimi

あの日どんな日 日記風時間旅行で misako

「鳩笛草」 宮部みゆき 光文社文庫

2015-02-22 | 読書

本屋さんにふらっと寄ってみると、ミステリーフェアの棚にこの本が並んでいた。宮部さんだと間違いないだろうと思った。
中篇が三作収まっていて読みやすく面白かった。どれも特殊能力のある女性が主人公で、それによって助けられるというより、その能力があるために、会わなければならなかった悲しみがにじみ出ていた。
あとがきによると’95年から’96年に発表されて、ドラマにもなったという。一篇が100ページ以上あるので、読み甲斐もあって面白かった。

朽ちてゆくまで
今はその能力はなくなったが、予知夢を見ていた時期が幼い頃にあったらしい。それに気づいた両親が…。
祖母は知っていて隠していた、でも知ってしまった智子は、亡くなった両親が隠していたビデオを見つける。

燔祭
河川敷で見つかった4人の焼死体。彼は予知できた。暫く一緒に住んだ青木淳子を思い出す。彼女に妹の事件のことを話した。そして彼女は自分には発火能力があると告げた。その彼女がふっと消えて、この事件を新聞で知った。

鳩笛草
心が読める貴子はその能力を役立てるために刑事になった。確かに事件の解決率は上がったが、刑事としての実力について彼女は悩み始める。



「燔祭」は後の「クロスファイア」に繋がっているという。S・キングの「キャリー」ほどの迫力はないが、非凡な力を持つ重みと、それをつきぬけた後の彼女の生き方が興味深い。

迷いもしないで選んで、読んでみたが、やはり宮部みゆきは面白い。それぞれが何か物悲しさを感じさせて、読みやすさとともに忘れられない面白い作品に満足した。

旅の供に、少し時間があるときにはこの中篇をお勧めしたい


コメント
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