お母さんとさきちゃんは二人暮らし。おかあさんはお話を作る人なんだけど、悪戯が大好き。そんなお母さんをさきちゃんは大好き。
というほのぼのとした日常のお話が12編ある。
「くまの名前」
小学校三年生のさきちゃんはお母さんのお話しを聞くのが大好き、寝る前にお母さんがお話を見つけた話をしてくれた。
でもお話は、先に三毛猫さんに拾われ、そこで引っ張り合いになってお母さんは「お話!おはなし!」と叫んだのよ。
でもこのお話には熊さんがでてくるの、乱暴者でね、新井さんのおじさんが任せないさいって、くまさんを連れて行ったの。
それでくまさんの名前が変わって「アライグマ」さんになったわけ。
はしょった、かいつまんだ話ながら、こういうことをさきちゃんに話して聞かせるお母さんなのです。
母子家庭の日常の影もうっすらと漂う話なのです、おかあさんは上手にそんなお話にしてしまいます。
賢いお母さんの愉快なお話を聞きながらさきちゃんはすくすくと育ちます。
お母さんは、さきちゃんの連絡帳の書き込みに返事を書いてお友達になったりします。
お母さんはよくCDを聞いていて、自分でも歌を歌います、でたらめの。
「月の 砂漠を さばさばと さばの味噌煮が ゆーきーました」
さきちゃんはさばの味噌煮が砂漠を歩いていくのは可愛いといいました。お母さんは「……なるほど」といいました。
簡単に言えばこういう話が、又言いますが、12編あります。みんないいお話です。
どれも温かく時にはジンと来ます。
お母さんとさきちゃんの、言葉にしない賢さと優しさがたまりません。
この味はお読みいただければたっぷりと楽しめます。