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「あしながおじさん」 ジーンウエブスター 新潮社

2021-06-22 | 読書

裏表紙から 「最高に素敵なハッピーエンドが待ち受ける、エバーグリーンな名作。」
このエバーグリーンがとても気に入った、この話によく似合う言葉。
谷崎や三島には使いづらいけど。
その通り。みんな知っているエバーグリーンな話。
ただ拾った幸せでなく、一つの稀に恵まれたチャンス、それをきっかけにして掴んだ幸せな生活が快い。

苦労はしたけど、知らなかっただけで彼女の父は大富豪でした・・・小公女
男の子が欲しかった老夫婦は、間違って来たおしゃべりな女の子が気に入り深く愛するようになるのです。その子「アン」は夢見がちなおとめ時代を過ぎ愛する人を見つけ、家庭を築き、人生の苦楽を乗り越えていくのです・・・赤毛のアン
孝行娘は野獣の元に嫁ぎ、彼の悲しい過去を知って愛するようになるのですが、屈折した彼も実は心の美しい王子だったのです・・・美女と野獣
優しいお母さんの下で四人姉妹は大人になり巣立っていった。読者贔屓のジョーはニューヨークで独り立ちの苦労の末作家になった・・・若草物語


少女時代の夢をはぐくんでくれたお話はもっともっとたくさんある。
でも「あしながおじさん」の話は特に素敵だ。
こんなお話を読みながら、ありえないけれど、万に一つ身近にいないものだろうか「あしながおじさん」。
とチラッと思ったことはないだろうか。

それで読んでみた。


子供ながら相当気に入っていたらしいあまり間違って覚えてなかった。孤児院で育ったジェルーシャは成績がよく特別に高校に行かせて貰っている。
卒業の時期が来て進路を決めなくてはいけなくなる。そこに孤児院の後援をしている篤志家が大学の学費をだしてくれることになる。
「独創性」が気に入ったという。孤児院の憂鬱を遠慮会釈なく書いた作文が気に入ったのだ。

将来作家になる勉強をすること。一か月に一通秘書宛てに報告がてら手紙を書く、そんな願ってもない条件だが。
ジョン・スミス氏はいただけない「あしながおじさん」にするわ。
あなたの後姿は背が高く壁に写った影は細く長かった。あなたはおじいさん?デブ?髪薄い?ハゲ?
尋ねても答えは来ないけれど。・

前向きなジェルーシャは大学生活を楽しみ、苦手な科目に苦しみ、休暇では旧家のお嬢さんの館に招かれ、縁のなかった外の文化にも馴染んでいく。

秘書宛てに書く手紙は時には長く長く、宛名のジョン・スミスさんあなたはいったい誰?としきりに訊いてみる。もちろん返事はない。

友達の兄と仲良くなるあたりで、ジョン・スミス氏、、ついに顔を出さないではいられない。

彼女は賢く美しく育っていく。休暇を過ごす牧場の持ち主として「おじさん」は少しずつジェルーシャの暮らしに加わり、変わり者の汚名を返上する。

ここからはさすがにエバーグリーン、紫の上式の育てる楽しみを持つ坊ちゃんの常套恋愛であっても爽やかに鮮やかに読むのが楽しい。

ジェルーシャの自立した生き方や、大学生活の生き生きとした描写で作者がしのばれ彩を添えていた。自然描写も生きていて深呼吸をしたくなるやはり面白かった。
 

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