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あの日どんな日 日記風時間旅行で misako

「独楽吟」 橘曙覧 グラフ社

2015-02-03 | 読書


今日は節分で、毎年の習慣で巻き寿司を作る。「恵方巻き」などと言う言葉が出来てから、ちょっとした行事になった。面倒なので海苔を残さないように10本作る。具を切って煮ながら、ふとこれも楽しみかなと思った。

巻き寿司を作ると祖母と母の懐かしい手料理を思い出す。


そして三好達治の「乳母車」と山奥の祖母の家の風景を思い出して、立原道造の「のちのおもひに」を口ずさむ。

今日は少し風邪気味なので気分転換に「楽しみは」の短歌を思い出して覗いてみた。
そうだったそうだった、清貧の中ででささやかな楽しみを歌った「独楽吟」の52首
今でも読むたびにその時々に合った、昨日と違う歌が見つかる。☆今日の気分にぴったりな歌(^^)



 たのしみは草のいほりの筵(むしろ)敷(しき)ひとりこゝろを靜めをるとき

☆たのしみはすびつのもとにうち倒れゆすり起(おこ)すも知らで寝し時

☆たのしみは珍しき書(ふみ)人にかり始め一ひらひろげたる時

☆たのしみは紙をひろげてとる筆の思ひの外に能くかけし時

☆たのしみは百日(ももか)ひねれど成らぬ歌のふとおもしろく出(いで)きぬる時

 たのしみは妻子(めこ)むつまじくうちつどひ頭(かしら)ならべて物をくふ時

 たのしみは物をかゝせて善き價惜(をし)みげもなく人のくれし時

 たのしみは空暖(あたた)かにうち(はれ)し春秋の日に出でありく時

☆たのしみは朝おきいでゝ昨日まで無(なか)りし花の咲ける見る時

 たのしみは心にうかぶはかなごと思ひつゞけて煙草(たばこ)すふとき

 たのしみは意(こころ)にかなふ山水のあたりしづかに見てありくとき

☆たのしみは尋常(よのつね)ならぬ書(ふみ)に畫(ゑ)にうちひろげつゝ見もてゆく時

 たのしみは常に見なれぬ鳥の來て軒遠からぬ樹に鳴(なき)しとき

 たのしみはあき米櫃に米いでき今一月はよしといふとき

☆たのしみは物識人(ものしりびと)に稀にあひて古(いに)しへ今を語りあふとき

 たのしみは門(かど)賣りありく魚買(かひ)て煮(に)る鐺(なべ)の香を鼻に嗅ぐ時

 たのしみはまれに魚煮て兒等(こら)皆がうましうましといひて食ふ時

☆たのしみはそゞろ讀(よみ)ゆく書(ふみ)の中に我とひとしき人をみし時

 たのしみは雪ふるよさり酒の糟あぶりて食(くひ)て火にあたる時

 たのしみは書よみ倦(うめ)るをりしもあれ聲知る人の門たゝく時

☆たのしみは世に解(とき)がたくする書の心をひとりさとり得し時

 たのしみは錢なくなりてわびをるに人の來(きた)りて錢くれし時

 たのしみは炭さしすてゝおきし火の紅(あか)くなりきて湯の煮(にゆ)る時

☆たのしみは心をおかぬ友どちと笑ひかたりて腹をよるとき

 たのしみは晝寝せしまに庭ぬらしふりたる雨をさめてしる時

 たのしみは晝寝目ざむる枕べにことことと湯の煮(にえ)てある時

 たのしみは湯わかしわかし埋火(うづみび)を中にさし置(おき)て人とかたる時

 たのしみはとぼしきまゝに人集め酒飲め物を食へといふ時

 たのしみは客人(まらうど)えたる折しもあれ瓢(ひさご)に酒のありあへる時

☆たのしみは家内(やうち)五人(いつたり)五たりが風だにひかでありあへる時

 たのしみは機(はた)おりたてゝ新しきころもを縫(ぬひ)て妻が着する時

 たのしみは三人の兒どもすくすくと大きくなれる姿みる時

☆たのしみは人も訪ひこず事もなく心をいれて書(ふみ)を見る時

 たのしみは明日物くるといふ占(うら)を咲くともし火の花にみる時

 たのしみはたのむをよびて門(かど)あけて物もて來つる使(つかひ)えし時

 たのしみは木芽(きのめ)煮(にや)して大きなる饅頭(まんぢゆう)を一つほゝばりしとき

☆たのしみはつねに好める燒豆腐うまく煮(に)たてゝ食(くは)せけるとき

 たのしみは小豆の飯の冷(ひえ)たるを茶漬(ちやづけ)てふ物になしてくふ時

☆たのしみはいやなる人の來たりしが長くもをらでかへりけるとき

 たのしみは田づらに行(ゆき)しわらは等が耒(すき)鍬(くは)とりて歸りくる時

 たのしみは衾(ふすま)かづきて物がたりいひをるうちに寝入(ねいり)たるとき

 たのしみはわらは墨するかたはらに筆の運びを思ひをる時

 たのしみは好き筆をえて先(まづ)水にひたしねぶりて試(こころみ)るとき

☆たのしみは庭にうゑたる春秋の花のさかりにあへる時々

 たのしみはほしかりし物錢ぶくろうちかたぶけてかひえたるとき

 たのしみは神の御國の民として神の(をしへ)をふかくおもふとき

 たのしみは戎夷(えみし)よろこぶ世の中に皇國(みくに)忘れぬ人を見るとき

 たのしみは鈴屋大人(すすのやうし)の後(のち)に生れその御諭(みさとし)をうくる思ふ時

☆たのしみは數ある書(ふみ)を辛くしてうつし竟(をへ)つゝとぢて見るとき

 たのしみは野寺山里日をくらしやどれといはれやどりけるとき

 たのしみは野山のさとに人遇(あひ)て我を見しりてあるじするとき

 たのしみはふと見てほしくおもふ物辛くはかりて手にいれしとき





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