父が死んだ日 庭の紫苑が満開だった。
たくさん集めた花束のように光に向かって開いていた。
今年の花は少ない
父の言葉のように少ない
父の言葉は生涯で人の一生の半分にも満たなかっただろう
部屋の中では碁石や将棋を握って手招きをした
夏は河原で一日釣りをして
冬は広場に出て北風の中で凧を上げていた
遊び慣れた言葉のいらない世界で・・・
父は今年も紫苑のように黙ったまま
風に揺れて私のもとに還ってくる。
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