Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

喋りだしたら止まらない ~スコセッシ新作まもなく公開記念2~

2019-09-08 00:10:00 | コラム
スコセッシの特徴から、それに類する映画の10傑を展開するシリーズの第2弾。

今宵は、ナレーション。

ナレーションや(登場人物の思いを語らせる)モノローグなどは、多用すべきではない―映画学校や教本では、映画術を学ぶものにそう教える。

映画の物語は、映像で物語るもの。そういうわけでしょう。

ふん! 知ったことか。
と思っているかどうかは知らないが、スコセッシはナレーションを多用する。

訂正、とことん多用する。

台詞にかぶさって流れるナレーションの嵐。
情報量の問題もあるだろうが、それを突きつめた結果、スコセッシ独自のスタイルになった。

自分は字幕スーパー派だが、スコセッシやQTの映画はおそらく、表示される文字数に限界がある。

だからほんとうは英語を勉強し、字幕に頼ることなく作品に向かわなければいけないのだよなぁ。。。


(1)『生きる』(52)

胃癌を患う主人公、渡辺勘治(志村喬)を突き放すかのようなナレーション。



(2)『グッドフェローズ』(90)

スコセッシのスタイルが完成し、円熟期を迎えたことを高らかに宣言。




(3)『イングロリアス・バスターズ』(2009)

当時のフィルムが可燃性であったことを、劇中の登場人物ではないサミュエル・L・ジャクソンが解説。

技あり! だと思った。

(4)『ショーシャンクの空に』(94)

主人公の相棒、モーガン・フリーマンのとぼけた感じのナレーション。

味わい深かった。

(5)『天国の日々』(78)

詩情豊かな、テレンス・マリックの代表作。

台詞が少ないぶん、語り手であるリンダ・マンズのナレーションが活きてくる。

(6)『アメリカン・ビューティー』(99)

「―きょう、ボクは死ぬ」で始まる、ひじょうにクールなモノローグ。



(7)『東京裁判』(83)

淡々と事実を伝える、俳優・佐藤慶のナレーション。

(8)『ユージュアル・サスペクツ』(95)

狂言回しっぽいヴァーバル・キント(ケビン・スペイシー)によるナレーション。

ナンダカンダがあったスペイシーだが、名優にはちがいないよね。



(9)『タクシードライバー』(76)

トラビスが記す日記を、トラビス自身が読むタイプの王道モノローグ。

(10)『ボウリング・フォー・コロンバイン』(2002)

撮るツールであるカメラは、このひと(マイケル・ムーア)にとっては拡声器の役割も担っているので、ナレーションを用いないほうが「むしろ」不自然なのだった。

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明日のコラムは・・・

『バックレる、夏。』
コメント (1)
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