Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

シネマしりとり「薀蓄篇」(484)

2023-12-21 00:10:00 | コラム
しーおぶら「ぶ」→「ぶ」るーべるべっと

きのうにひきつづき、「映画と既製曲」のお話。

デヴィッド・リンチの娘ジェニファーが映画監督デビューしたとき、ある識者の評が手厳しかったものの、まったくそのとおりだと思ってしまった。

「流れるのはマドンナやレニー・クラヴィッツ、それで猟奇的な世界を描こうとするのだから手腕としては並以下か。同じテーマをオールディーズを用いて描く父親の才能は受け継いでいないのかもしれない」

比較対象が、ねぇ。。。涙


ボビー・ヴィントンは主に60年代に人気を博した歌手で、その代表曲が「ブルー・ベルベット」。


とかエラソーにいってみたものの、そんな自分もリンチの映画から曲を知ったという流れ。


映画『ブルー・ベルベット』(86)のあらすじを記すのは難しい。

ためしに紙芝居風に展開してみよう!!

オールディーズに乗せて美しい映像ではじまり・・・


主人公ジェフリーが「切り落とされたヒトの耳」を発見、


その耳を入り口として、
歌姫ドロシーに出会ったり(トップ画像)、

狂人フランクなどに出会う。


・・・って、なんだそれは!?

性倒錯と暴力。
サドマゾ人間が大集合するこの物語は一部で強い拒否反応が出たものの、いっぽうで異様な高評価を受けリンチはカルト王者となった。

それまでのリンチのキャリアは順風満帆だったわけではなく。
長編デビュー作『イレイザーヘッド』(76)で注目を受け『エレファント・マン』(80)が大ヒットを記録したものの、
つづく『デューン/砂の惑星』(84)は、自身のコントロールが効かぬほど大がかりな企画であったため創作活動に集中することが出来ず、結果的に大失敗。

傷ついたリンチは再び小規模な制作に打ち込む―なんだか塚本晋也みたいだが、そうして創られたのが『ブルーベルベット』。

ニューシネマ以降では早過ぎる、インディーズ革命が起こった90年代では遅過ぎる。
もちろん私見だが、『ブルーベルベット』の異常ともいえる支持の高さは80年代後半という絶妙な時代性に出現したから、、、だったのではないか。


好きは大好き。嫌いは大嫌い。
その「大好き」派が、ビザールなものを歓迎する向きが「一時的に」多くなったのが、あの時代であったと。


90年―視聴率不振に喘ぐABCテレビは映画界の異端児を大抜擢、『ツイン・ピークス』の放送が開始される。

「暗黒の昼メロ」と評されるこのシリーズは33%の高視聴率を叩き出し、全世界(とくに日本)で一大ブームを巻き起こす。
自分も「ピーカー」のひとりを自称するものだが、リンチの作品ってすべてつながっているんですよ。
短編処女作から『ツイン・ピークス』の「最新」最終章までが、一本の作品といっていい。
だから、これから『ブルーベルベット』を観るひとは、覚悟を決めて(笑)リンチの作品すべてに触れることを宿題といたします!!


あすのしりとりは・・・
ぶるーべるべっ「と」→「と」っとちゃんねる。

…………………………………………

明日のコラムは・・・

『シネマしりとり「薀蓄篇」(485)』
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする