Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

ヘトヘトでカウントダウン

2020-12-06 00:10:00 | コラム
毎度「遅い、遅すぎる」と、やんややんやいわれることに逆ギレしたのか発奮したのか、、、は分からないが、榊原CEOをはじめとする運営が頑張ったのはたしかでしょう、
大晦日の格闘技興行『RIZIN.26』のカードが次々に発表され、ファンを歓喜させている。

不安の種だった「限定数」しか売り出されない観戦チケットもなんとかゲット、あとはコロナに感染せぬよう毎日を慎重に過ごし、大晦日当日を待つだけじゃ。


去年度は2日間に分けて開催されたが、いろいろあった今年は大晦日の1日のみ。
大晦日に出たいファイターは沢山居るし、大晦日に見たいファイターも沢山居る。

「枠」はどの程度になるのかと思ったら、受け手の想像をはるかに超える「17カード」になるときたもんだ。

34名のファイターが出場、
14時からスタートし、生中継もするだろうから時間調整もあるだろうし、23時までに17試合が展開され、高田さんとともにカウントダウンをする―まではいいが、例年であればそのまま電車移動し、明治神宮で初詣をしたあとに居酒屋で呑んで自宅に帰還するのは元旦の正月・・・だったけど、今年はそうもいかないのでしょうな。

運営もファイターも大変だけど、受け手もヘトヘト。

しかしそれは苦行ではないんだよね、いや苦行だとしても、甘んじて受け入れるべきものっていうかね。

いまから、ワクワクして眠れない日々がつづく。。。




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明日のコラムは・・・

『外国女優別キャリア10傑(51)マデリーン・ストウ』
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「外」からの変革 ~2020映画回顧4~

2020-12-05 00:45:49 | コラム
たとえばこれから制作される「現代を舞台にした」青春映画があったとして、登場人物たちが「マスクを着用していない」という設定だけで、

あぁ2020年より前の話なんだな、、、

あるいは、

ワクチンが開発されコロナショックが終焉を迎えた直後なのかもしれない、、、

とか、

いやいやそうではなく、コロナ禍のつづく「いま、ここ。」ではあるけれど、彼ら彼女らはそれに反旗を翻し、敢えてマスクをつけないことを選んだ反逆の若者たちなんだ! みたいに想像することだって出来る。


描きたいことのために「邪魔なものは省く」ことは映画表現にとって大事なことで、先人たちはそれらを「ノイズ」と呼んでいた。

では、新型コロナウィルスとはノイズなのか。

そうであってほしいが、そうじゃないよね。

ここまで日常に侵食し始めたら、もうノイズじゃない。
むしろ主役で、ここを避けて通るわけにはいかなくなってしまった。

現代を舞台にしたものだけじゃない、
未来を描いたSFにしたって、人類はコロナをどう克服したのかの説明が必要になるかもしれないし、
主人公たちに襲いかかる危機にしてみても、その程度のならコロナのほうが厳しかったよね、、、なんていわれるかもしれない。

はっきりと、有事なんだよなと。


サイレントからトーキーへ。
モンタージュの発明。
モノクロームからカラーへ。
フィルムからデジタルへ。

百数十年の歴史のなかで映画は「中」からの変革を何度か経験してきたが、じつは「外」からの変革はあまりない。

まったくないことはないが、人間関係の描きかたが「まるで変ってしまう」ような変革期はなかった。


満員になるはずだった『AKIRA IMAX』を観て、そんな風に思った。

ホアキンのオスカー受賞を「ほぼすべての映画ファン」が祝福したあの晩から、まるで何年も経過したような錯覚を覚えた。


その錯覚に輪をかけたのが、新作映画公開中止による「シネコンの名画座化」だった。

10スクリーンすべてが、過去の作品―それはそれでうれしいことだけれども、強烈な違和感があった。


年末になって『鬼滅の刃』が日本中を席捲、
これが映画館デビューとなる子どもたちも多かったことだろう、


ガキのころの映画体験は鮮烈なものだし、これで映画ファンになってくれればいいなぁ、、、と思う。


映画を取り巻く環境について、これほど一喜一憂した年は記憶にない。

得難い経験だとは思うが、正直にいえば、もう2度と味わいたくないけどね。。。





~2020発表映画、個人的13選~

第01位『異端の鳥』
第02位『はちどり』
第03位『スパイの妻』
第04位『37セカンズ』
第05位『のぼる小寺さん』
第06位『パラサイト 半地下の家族』
第07位『音楽』
第08位『ジョジョ・ラビット』
第09位『ミッドナイトスワン』
第10位『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』
第11位『アルプススタンドのはしの方』
第12位『AKIRA IMAX』
第13位『マリッジ・ストーリー』

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明日のコラムは・・・

『ヘトヘトでカウントダウン』
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「外」からの変革 ~2020映画回顧3~

2020-12-04 00:10:00 | コラム
2020年の映画回顧、本日はその第三夜。

13選のうち、04位~01位の発表です!!


第04位『37セカンズ』

「―もう、わたしのこと、こわくないですか」

身体障害者を扱った映画の、ネクストステージへの到達を告げる傑作。

出生時に「37秒間」呼吸が止まったことにより脳性麻痺になってしまった漫画家の夢馬が、成人誌編集者がいった「作家は経験したことしか描けない」に発奮、車椅子に乗って歌舞伎町を彷徨い、どうにかしてセックスを経験しようとする。

米国で映画術を学んだHIKARIの監督デビュー作であり、夢馬を演じた佳山明は実際に脳性麻痺を患っている。

この映画の白眉は「障害者の性」を描きつつ、果たして「作家は経験したことしか描けない」のか…という、創り手たちが抱える永遠のテーマをも描いているところだと思う。




第03位『スパイの妻』

ベネチア映画祭、銀獅子賞(監督賞)受賞作にして、黒沢清の新たな代表作となった力作。

NHK「BS8K」用に制作されたテレビドラマに若干の調整を加え映画版として公開、
正直いって8Kテレビなんか持っている一般人なんか居ないに等しいので、劇場公開されてほんとうによかった。

満州で国家機密を目にした貿易会社社長の優作と、その妻・聡子、そして、聡子の幼なじみの憲兵隊・津森。
この、緊張感に満ちた3人の関係性を見ているだけで飽きない。

とくに津森を演じる東出昌大の憎々しさは絶品で、あぁ黒沢さんもこのひとの「正しい使いかた」を心得ているのだなぁと苦笑してしまった。



第02位『はちどり』

「誰かに殴られたりしたら、黙っていては絶対にダメ」

女子中学生ウニの平穏なようでいて「じつはそうでもない」日常を切り取った、韓国の新鋭キム・ボラ監督のデビュー作。


舞台は94年のソウル。
日本人でも知っている聖水大橋崩落事故を巧みに絡めたストーリーテリングは、ほとんどベテラン作家のようで韓国映画のレベルの高さを思い知らされた。

白眉はキスシーン「の、あと」の描写。
こういう感覚、分かるけど、映像で観るのは初めてかもしれない。

『パラサイト』は結局のところ鬼才ポン・ジュノ「個人」が生み出した快作だと評価すべきものと思う、だから、韓国映画全体のレベルを知りたいひとにはこの映画を推すことにしている。


第01位『異端の鳥』

ホロコースト下で、ひとりの少年が徹底的に容赦なくこれでもかと虐められるさまを描いた異形の物語。
観ているものにとってもほとんど拷問のような物語で、実際にギブアップするひとも居ると思う、
しかし一部の傑作がそうであるように、救済の微光を用意する結末に創り手たちの思いを見て深い感動を覚えた。

そう、これぞ自分が映画に求める魂ってやつだ。

イェジー・コシンスキ原作の同名小説を、170分の美しきモノクロームで映画化。

コロナショックにより多くの米映画が公開延期する背景も手伝い、この手の映画では特例と思えるほどメディアが取り上げ、興行も健闘しているらしい。

みなに薦めることはないが、映画とはなにか? みたいなことを考察したいひとには強く薦めたい2020年のベストワン。



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『「外」からの変革 ~2020映画回顧4~』
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「外」からの変革 ~2020映画回顧2~

2020-12-03 00:10:00 | コラム
2020年の映画回顧、本日はその第二夜。

13選のうち、09位~05位の発表です!!


第09位『ミッドナイトスワン』

予備知識ゼロ、ゆえに期待値ゼロの状態で観た本年収穫の一本。
こういう出会いがあるから、映画好きはやめられない。

身体は男だが性自認は女、というキャラクターを草彅剛が熱演。
性転換手術用の貯金を、居候をつづける少女のために使おうと決意するくだりに胸が打たれた。

チュチュ、煙草、金魚、ネオン・・・小道具や背景がきちんとしたディティールとして働き、多くを語らずとも登場人物たちの悲哀が浮かび上がる。

だからこそ、925秒もの予告編を公開する意義はあったのかな? と思ったり。


第08位『ジョジョ・ラビット』

ノリのいい音楽、ダンスとともに繰り広げられる変化球の反戦映画。



(どういうわけか)ナチズムを信奉する少年と、(どういうわけか)彼の家に隠れて住んでいたユダヤ人少女との出会い。

映画史上で最も悪役にされている実在の人物、ヒトラーを茶化しに茶化し、最後は「愛だよ、愛。」と謳ってみせたのは俊英監督のタイカ・ワイティティ。

主人公の、イマジナリーフレンドとしてのヒトラーをワイティティ自身が演じているというのは、彼が目指したところはチャップリンの『独裁者』だったのかもしれない。


第07位『音楽』

カルト的な人気を誇る大橋裕之の漫画『音楽と漫画』『音楽 完全版』をベースにしたアニメーション。

大雑把にいえば、ヤンキーたちが音楽の世界を目指す物語。

デジタルが主流になった業界に反旗を翻すかのような4万枚超の作画は、迫力というより「あたたかみ」を感じさせ、アナログなはずなのに新鮮な驚きを与えてくれる。

このインディーズに共鳴したのが、ゆらゆら帝国で知られる坂本慎太郎と、岡村靖幸。
ふたりのほかにも沢山の音楽関係者が集結、ライブシーンのリアリティはこうして生まれたものだろう。




第06位『パラサイト 半地下の家族』

「―計画を立てると必ず、人生そのとおりにいかない」


貧乏で悪知恵ばかり働く一家が「就職先」に決めた金持ちの豪邸に「住みつこう」とする、韓国の鬼才ポン・ジュノによるブラックコメディの快作。

後半の展開に首を傾げる向きもあるが、映像の力、そして「これがこの映画の理屈」という開き直りで押し切ってしまうところが気持ちよかった。

カンヌでパルムドール、オスカーで作品賞&国際長編賞を受賞。
日本でも「年にいちどしか劇場に行かない」ひとたちが本作を選び、爆発的なスタートを記録したがコロナで失速、本来であればもう少しロングランしていたことだろう。


第05位『のぼる小寺さん』

卓球部の隣りで黙々と壁を登りつづけるクライミング部の小寺さん。
そんな彼女に興味を抱く、卓球部の近藤や不登校気味の梨乃、彼女を密かに写真におさめるまりかたちの「平熱から微熱程度の青春の揺れ」を切り取った佳作。

原作は、珈琲による人気漫画。
地味だがハズレの少ない青春映画を撮ることで知られる古厩智之が監督、主にアニメーションの世界で結果を残してきた吉田玲子が脚本を担当している。

河原で小寺さんがネイルを塗ってもらうところなど、繊細な描写が冴えていて、やっぱりディティールって大事なんだなぁと感心。

ちなみに、「こでら」ではなく「こてら」さんです。


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「外」からの変革 ~2020映画回顧1~

2020-12-02 00:10:10 | コラム
本年度の回顧、締めくくりはもちろん「映画」です。

本日から3日間は「2020映画13選」を、最終日の5日は「まとめ」を展開。

というわけで、きょうは13位~10位をお届け。

ではいくぜ!!

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第13位『マリッジ・ストーリー』

夫婦が直面する離婚という最大の危機を、繊細な描写で見つめた21世紀の『クレイマー、クレイマー』。

夫は「息子と本気で遊ぶ母親、僕の無理難題に答えてくれる」と、妻は「几帳面、節約家」と、お互いのよいところを挙げていく。
それなのになぜ、ふたりは別れねばならないのか。

ヨハンソンとドライバーはキャリア最高の演技を披露、
とくにヨハンソンが弁護士ローラ・ダーンに告白する場面の迫真性は、演技者の凄みを見せつけられてゾクゾクした。




第12位『AKIRA IMAX』

合言葉は、♪ラッセーラー♪


大友克洋を一躍「ときのひと」とした伝説的アニメーションが、IMAX4K版として再降臨。

しかし公開直後にコロナショックが襲い、満席であったであろうIMAXシアターも客数に制限を入れることに。

皮肉なことをいえば。
ディストピアのSFを浴びるには「最高」ともいえる環境が「奇しくも」2020年に整ってしまった、、、のかもしれない。


第11位『アルプススタンドのはしの方』

高校演劇の世界で高評価を得ていた戯曲を映画用に脚色、「アルプススタンドのはしで展開される会話劇」という骨格を残しつつ、映画的な広がりをも加味してみせた青春映画の快作。

主なる舞台は一箇所―いわゆるシチュエーションドラマだが、主人公と思われていたキャラクターが入れ替わっていく構成が見事。
ベンチ入りの補欠・矢野が最後の最後に目立ってくるのもうれしかった。

若手俳優はみな好演、なかでも小野莉奈のフレッシュさは特筆すべきで、数年以内にきっとブレイクすることでしょう。




第10位『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』

悲運の象徴となってしまった京都アニメーションが、亡くなった同志たちに向けて放った弔いの力作。


戦争により両腕を失い自在に動く義手を得て「自動手記人形」、つまり「代筆屋」となった少女ヴァイオレットを中心に展開される物語。

コロナや「鬼」の陰に隠れた感はあるが、もはや「信頼と安心の」京アニブランド、作家としての有名どころは吉田玲子くらいかもしれない、
けれどもアニメーションの未来を託すに足る野心と情熱が、この集団にはある。

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明日のコラムは・・・

『「外」からの変革 ~2020映画回顧2~』
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