NEST OF BLUESMANIA

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音盤日誌「一日一枚」#24 フレディ・キング「THE BEST OF FREDDIE KING:THE SHELTER RECORD YEARS」(東芝EMI)

2021-12-05 05:01:00 | Weblog

2001年3月17日(土)



フレディ・キング「THE BEST OF FREDDIE KING:THE SHELTER RECORD YEARS」(東芝EMI)

フレディ・キング、1934年テキサス生まれのこのブルースマンは、俗に「三大キング」のひとりと称せられているが、あとのふたりより約10才若く、プレイヤーとしてのセンスも、よりロックに近いものがある。

エリック・クラプトンが最もお手本にしていたブルース・ギタリストだというのもうなずける。

実際、ふたりの共演曲がおさめられた編集ものアルバム「1934‐1976」もリリースされている。

彼は76年、42才の若さでこの世を去るまで、キング/フェデラル、コテリオン/アトランティックなどいくつかのレーベルを渡り歩いており、発表したアルバムも膨大な数になるが、今回はあえてシェルターでのベスト盤を選んでみた。

通称「アルマジロ」盤。

シェルターといえば、銀の長髪にヒゲ、ギョロ目のシンガー・ソングライター、レオン・ラッセルの設立したレーベルとして知られているが、フレディはここに70年から72年まで在籍し、3枚のアルバムを残した。

このアルバムはその中および未発表曲から、18曲をセレクトしたもの。

アルバムは、サザン・ロックの名シンガー・ソングライター、ドン・ニックスによる「ゴーイング・ダウン」から、いきなりのフル・テンションでスタートする。

ちなみにこの曲はBB&Aもライブ盤で取り上げている。

続く「ファイブ・ロング・イヤーズ」も、エディ・ボイドのドロドロの恨み節とは一味ちがったモダンな味わい。

tRICK bAGもレパートリーとしており、ライブでもしばしば演奏されるバラード「セイム・オールド・ブルース」も素晴らしい。

ディープな歌い込み、そして痙攣し、泣きまくるギター。これもドン・ニックスの作品である。

ローウェル・フルスン作の「リコンシダー・ベイビー」も、クラプトンに多大な影響を与えたという、彼のギター・プレイの真骨頂が堪能できる。

ブルース・ファンのみならず、ロック・ファンにもすんなり入っていける出来ばえである。

イスラエル・トルバードが歌った「ビッグ・レッグド・ウーマン」のカバーも、ひたすらノリのいいファンク・ブルースに仕上げている。

tRICK bAGもファースト・ライブ・アルバムで取り上げている、あの曲だ。作曲はレオン・ラッセル。

同じく、レオン・ラッセルによるスロー・ナンバー「ヘルプ・ミー・スルー・ザ・デイ」に漂う、深い哀感もいい。

シェルターに移籍してから、フレディはこういうバラードを積極的に歌うようになったという。

パーシー・メイフィールドの「プリーズ・センド・ミー・サムワン・トゥ・ラヴ」も、せつなさで胸が痛くなるような名演だ。

tRICK bAGのホトケさんもお気に入りの一曲だ。

もちろん、バリバリ、ゴリゴリの彼本来のギター・プレイも忘れちゃいない。

L・ラッセルほかの作品「パレス・オブ・ザ・キング」「ブギー・マン」、マディの名唱で知られる「アイム・レディ」ほかでは、ハードなアタックでガンガンに弾きまくる。

彼の嬉々として弾いている姿が目に浮かぶよう。

聴いているこちらまで、なんだか嬉しくなってしまうような、そんな絶好調のプレイなのである。

スタジオ、ライブを問わず、いつも脳の血管がぶち切れそうなハイ・テンションさ、それがフレディの身上であり、魅力でもある。

出し惜しみすることなく、歌いまくり、弾きまくったフレディ。そしてあの世へ直行してしまったわけだが。

死後4半世紀がたった今でも、これらの熱いプレイはまだまだ聴く者に感動を呼び起こしてくれる。

ロック感覚あふれるフレディ・キングのサウンドに、若いかたがたも触れてみてほしい。


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