NEST OF BLUESMANIA

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音盤日誌「一日一枚」#49 フリートウッド・マック「ブルース・ジャム・イン・シカゴ VOL.1」(EPIC)

2021-12-30 05:38:00 | Weblog

2001年6月16日(土)



フリートウッド・マック「ブルース・ジャム・イン・シカゴ VOL.1」(EPIC)

今週は、初期のフリートウッド・マック(グリーン、スペンサー、カーワン、マクヴィー、フリートウッド)の、シカゴの黒人ブルースマンとのジャム・セッションの模様を収めたCD。VOL.1、2の二枚に分かれているので、まずはVOL.1から。

67年8月デビューしたマックは、早くも翌年6月には最初のアメリカ・ツアーを行っている。

さらには同年12月に二度目のアメリカ・ツアーを行うのだが、このレコーディングはそのツアーの最中に行われたものである。

68年1月4日、閉鎖を間近に控えたチェス・スタジオにて、ピアノのオーティス・スパン、コーディネーター兼任のベース、ウィリー・ディクスン、ギターのハニーボーイ・エドワーズ、ハープのビッグ・ウォルター・ホートン、テナーのJ・T・ブラウン、ドラムのS・P・リアリーら、シブめの実力派ミュージシャンを集めて録音。

もうひとり、ギター・バディという聞きなれない名前のギタリストがクレジットされているが、これは契約の関係で名前を出せなかったバディ・ガイのことだそーで。

リハーサルもろくにせず、ぶっつけ本番的な録り方をしており、当然かなりラフではあるものの、そこはさすがに両陣営ともに巧者揃い、初顔合わせとはとても思えない、リラックスしてノリのいい演奏を聴かせてくれる。

まずは、ピーター・グリーンのオリジナル「ウォッチ・アウト」というシャッフル・ナンバーから。ボーカルもグリーン。

続いては、ハウリン・ウルフの「ウー・ベイビー」。グリーンも心なしか、サムリンを意識したフレーズを繰り出している。そーいえば、グリーンのレスポールは、サムリンを意識してのチョイスかな?

お次はマディ・バンドのハープで知られるビッグ・ウォルターの作品、「サウス・インディアナ」を2テイク。

マリオン・ウォルター・ジェイコブズ、すなわちリトル・ウォルター作の「ラスト・ナイト」も取り上げている。

マディ・ウォーターズ、マジック・スリムのバージョンでもおなじみ、マイク・ブルームフィールドもカバーしている人気のスロー・ナンバーだ。

グリーンの作曲、というよりはその場でリフをひねり出した、という感じのインスト、「レッド・ホット・ジャム」を2テイク。ここではバディ・ガイのプレイが聴ける。グリーンとはひと味違った、シャープでソリッドなプレイを聴けば、いかな変名を使ったところで、彼とバレバレである(笑)。

それに続いては、スペンサーが最もリスペクトするエルモア・ジェイムズの「アイム・ウォリード」。エルモア節をほうふつとさせる、スペンサーのパワフルで艶やかなプレイが聴きもの。

以下、エルモアの曲がずらりと続く。「アイ・ヘルド・マイ・ベイビー・ラスト・ナイト」「マディスン・ブルース」「アイ・キャント・ホールド・アウト」、そして「ボビーズ・ロック」。もう、スペンサーの独擅場である。

この中では「アイ・キャント~」はクラプトンもカバーしているから、おなじみであろう。

いずれの曲も、細かいアレンジを決めてやっているというより、マック組、シカゴ組ともに、ふだんからフェイバリットな曲として演奏しているから、即座に音を合わせられたという印象だ。

いかにもその場のノリで決めているようなラフな空気が伝わってきて、グーである。

ビッグ・ウォルターのオリジナル「アイ・ニード・ユア・ラヴ」「ホートンズ・ブギ・ウギ」、そして「アイ・ゴット・ザ・ブルース」の三連発で終了。

全編でがんばっているって感じがするのが、ビッグ・ウォルター。ソロでオブリでバックで大活躍である。

対するに他のシカゴ組のプレイは、ちょっと控え目って気がするが。でも、全体のアンサンブルは、まずまず。マック組とも、違和感なく溶け込んだプレイが楽しめる。

続くVOL.2は、また明日ということで。