2001年4月29日(日)
UFO「LIGHTS OUT IN TOKYO-LIVE」(CASTLE COMMUNICATIONS)
UFO、1992年6月クラブ・チッタでのライブ録音盤が、今日の一枚である。
UFOと聞いて、皆さんはどういうイメージをお持ちになるだろうか?
英国の老舗ヘビメタ・バンド? マイケル・シェンカーの在籍していたハード・ロック・バンド?
ワタシ的には、シングル「カモン・エブリバディ」でデビューした頃の、ZEPの亜流とか呼ばれていた頃のイメージが強いんだよな~。
なにせ、その「カモン~」のEPを買ったぐらいだから。今はさすがに手元には残っていないけど。
バンドの結成はなんと68年。当初のグループ名「ホーカス・ポーカス」を「UFO」に改名、71年にアルバム「UFO1」でレコード・デビュー。
当時のメンバーはボーカルのフィル・モッグ、ギターのミック・ボルトン、ベースのピート・ウェイ、ドラムスのアンディ・パーカーの4人。
まずは、日本、フランス、ドイツといった本国以外の国々で人気が出て、72年にはさっそく来日、日本限定発売のライブ盤までリリースしている。
しかし、まだ実力的には低く、泡沫バンドのイメージはぬぐえなかった。
世界的に注目されたのはやはり、74年にミック・ボルトンが脱退、元スコーピオンズの凄腕ギタリスト、マイケル・シェンカーが参加してからである。
74年の「Phenomenon」から79年の「Strangers In The Night(LIVE)」まで約五年間在籍したマイケルのおかげで、グループは大きく成長した。
演奏面でも、曲作りの面でも。
このライブ盤でも、マイケルの遺産ともいうべき、彼が在籍時のナンバーが多数演奏されている。
「LOVE TO LOVE」、「ONLY YOU CAN ROCK ME」、「LIGHTS OUT」、「DOCTOR, DOCTOR」、「ROCK BOTTOM」、そして「SHOOT, SHOOT」。
いずれも、ステージでは欠かせないナンバーとなっている。初代ギタリスト、ミックの曲は1曲もないのにである。
短い期間であったとはいえ、いかに彼がグループにとって大きな存在であったかがよくわかる。
マイケルと訣別したUFOはその後、何回かメンバー・チェンジをしながらも、ライブを中心に活動を続けていくが、セールス的にはジリ貧状態になっていく。
92年当時のメンバーは、モッグ、アーチャ―、ウェイ、エドワーズ。
このライブ盤を発表して一旦活動停止した後、93年黄金のラインナップ(モッグ、ウェイ、レイモンド、パーカーそしてシェンカー)で再結成して95年「Walk On Water」を発表、再び解散。
しかしまた、昨年には二枚組アルバム「Covenant」を発表。何度も不死鳥のようによみがえるしぶとーいグループなのである。
80年以降のオリジナル・アルバムでは、70年代のマイケル在籍時のようなクリエイティビティを発揮することは出来なかったが、ハード・ロック/ヘビーメタルの、完成された「型」を愚直なまでに守り続け、いまだに多くの固定ファンの支持を集めている。
この日本でのライブでも、予想を裏切らないパワフルで安定した演奏を聴かせてくれる。
ファースト・アルバムでボ・ディドリーの「WHO DO YOU LOVE」をカバーしていたことからわかるように、もともと彼らもブルースをルーツに出発、成長して来たバンド。そのあたりは2曲目の「BORDERLINE」を聴くと、よくわかる。
ゴリゴリのヘビメタ・チューンしか演奏出来ない新世代バンドにはない、音楽的な奥行きが感じられるのだ。
コンサートのラストは、デビュー曲の「C'MON EVERYBODY」。
基本的には同じアレンジで、この50年代末に作られたロック・スタンダードを、25年も歌い続けてきた四十代のフィル・モッグ。
その曲のリフレインを、グループがデビューした時には生まれてさえいなかった十代の若者たちも合唱する。
なんとも、世代を越えた見事なコミュニケーションだ。
決してトップ・バンドとはなれなかったUFOだが、ギターといい、ボーカルといい、そのテクニックには実に手堅いものがある。
とにかく、聴いているうちに思わず体が動くこと間違いなし。「TOO HOT TO HANDLE」の曲名そのままに、これでもかの熱演の連続だ。
これを聴いて熱くなれないようなら、ロックを聴いてもしょうがないんじゃないの。
そう言いたくなるような一枚。たまには理性のLOCKを全面解除して、ROCKしてみるべし。