NEST OF BLUESMANIA

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音盤日誌「一日一枚」#35 ルースターズ「FOUR PIECES LIVE」(日本コロムビア)

2021-12-16 04:27:00 | Weblog

2001年4月22日(日)



ルースターズ「FOUR PIECES LIVE」(日本コロムビア)

今日の一枚は、「私の推薦盤」(注1)にも登場したルースターズのライブ盤。

それも、88年7月22日の渋谷公会堂における解散コンサートの模様を収めたものである。

花田裕之、下山淳、穴井仁吉、三原重夫という最後のメンバー4人に、現在R&B系プロデューサーとして活躍中の朝本浩文(当時MUTE BEAT)がサポート・キーボーディストとして加わっている。

演奏ナンバーは、アルバム・タイトル通り、最後のオリジナル・アルバム「FOUR PIECES」からの曲を中心に15曲。

非常にタイトで安定したビート、サイケデリックなギター・サウンド、そしてラフでソウルフルなボーカルと、ルースターズのベストな音が楽しめる。

とにかく、演奏力のレベルの高さには、舌を巻くものがある。

本場英米のバンドに比べて、とかくリズムが弱点といわれる日本のロック・バンドだが、そんなことはこと後期ルースターズについては絶対にあてはまらない。

とにかく、グイグイと聴き手を引っ張っていくような、強力なグルーヴが気持ちよい。

ブルースに根ざした、下山淳の泣きのギター・プレイも、実にカッコいいんだわ、これが。

そして、なんといってもフロントマン、花田裕之のボーカル。

まあ、ヘタウマ系ではあるんだが、その突き放したような歌声が、バンドのサウンドのキモといえそう。実にイカしております。

「(Standing at)THE CROSS ROAD」なんて、まさにブルース・スピリットの溢れ出るような彼のオリジナルもグー。

アンコールでは、花田以外のオリジナル・メンバー、大江慎也(vo)、井上富雄(b)、池畑潤二(ds)も加わって、8人で「C.M.C.」を演奏。

大江のヘタウマぶりは、花田をさらに上回っていて(笑)、これまたエクセレント。

ラストは5人での演奏に戻って、「PASSENGER」でルースターズとしての幕を引くことになる。

人気的、セールス的には今ひとつだったかも知れないが、音楽的には頂点に達したところでの、解散。

その後、それぞれのルースターたちは、また新たな音楽世界へと向けて羽ばたいていった。

プレイヤーとしてだけでなく、コンポーザー、プロデューサーとしても、確かな手ごたえのある作品をつくりあげて、現在に至っている。

やはり、実力のある者は、いくつになろうが、息の長い活動を続けていくことが出来る。

多くの若いミュージシャンたちの支持をうけ、トリビュートされているということでは、昨日のスモール・フェイシズと同様だ。

今後も彼らのアルバムは復刻され、聴き継がれていくに違いない。それだけの、クォリティはある。

日本のロックにも、こんなスゴいライブ・アルバムがあるのか!という目からウロコの一枚。

現在入手はかなり困難だが、隠れた名盤として埋もれさせるには、余りに惜しい一枚。

レコード会社サン、再リリース、よろしゅうたのんまっせ!

(注1) http://www.macolon.net/recommend.htm