僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

「パトスとエロス」⑪

2008年10月18日 | ケータイ小説「パトスと…」
辰雄は鈴木の顔を見て思った。

ボールが転がって鈴木が転倒したのは仕方のない事故で辰雄のせいじゃぁない、そのことで辰雄が殴られたり怒鳴られたりするのは我慢できない、自分は背が高いのでたまたまスパイクを打てるが守備のレシーブだって大切な役割だ、代わりができないだろうなんてカスみたいな言い方はいくら何でも言い過ぎだ。

鈴木はそう言おうとしている。

全校朝会の後、鈴木は退部の意向を監督に告げた。
すんなりとはいかないだろうと思っていたが案の定、制裁を受けた。
まだ朝会が終わったばかりでざわついている沢山の生徒たちの目前で、監督が自分の足元を指さした。ここで腕立て伏せをやれというのだ。見ようによっては土下座させているように見える。

辰雄は歯を食いしばって続ける鈴木を見ていられなかった。

「何してるの」「鈴木君何で腕立てやらされてるの」

ひそひそとささやく声を擦り抜けて教室に急いだ。途中長池と出くわしたが、ふたりとも無言だった。
どちらが誘うでもなく手荒い場に寄り部活が終わった時にいつもするようにジャブジャブと顔を洗った。水の音に交じって長池の「ちっきしょう」とつぶやく声が聞こえた。









画像拝借先です(http://www.tamagawa.ac.jp/sisetu/kyouken/WebLibrary/kokufuJHS/index.html)

ブログランキング・にほんブログ村へ









コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする