僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

ケータイ小説「パトスとエロス」⑥

2008年10月12日 | ケータイ小説「パトスと…」
辰雄が避けて通ろうとすると手を後ろに組んだままそうはさせまいと位置を変える。
辰雄の手から筆箱がこぼれ落ち派手な音と共に数本の鉛筆と肥後の守が飛び散った。辰雄は無言でそれを拾い集めながら、消しゴムと定規は何故筆箱から飛び出さなかったのか不思議に思った。あいつは薄笑いを浮かべそんな辰雄を見下ろしている。

鉛筆は△マークのコーリン9800。辰雄は文房具に密かなこだわりを持っていた。肥後の守は当時の男子が鉛筆などを削る為にみんな持っていた折りたたみ式のナイフで、木の枝を削って刀を作ったり、机に彫刻を施したりもしたものだが、
辰雄のそれは小遣いを貯めてデパートで買った「青紙割込」と本格的鋼の刻印がある高級品で、校門の前の文房具屋で売っている普及品ではなかった。
辰雄は日曜の度に砥石にかけたので刃に錆びなど全く無く、数年前初めてそれを手にした時より波紋がくっきりと出て愛用品特有の風格が感じられるようになっていた。

立ち上がり足元から抜け出そうとした時あいつは辰雄の手から筆箱をひょいと抜き取った。











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パトスかエロスかパストラミかエロトピア

2008年10月12日 | お知らせ
よくわかんないっしょ?

カテゴリーを整理していたら
違っちゃいました。       多分だ~れも
気にしてないとおもいますが、
一応正解は「パトスとエロス」でありまして

エロスは後になるのが本当なんであります。
でもさ、どっちでもいいかと言うところが本音なんであります。







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ケータイ小説「エロスとパトス」⑤

2008年10月12日 | ケータイ小説「パトスと…」
辰雄の顔は優れなかったがコニーはいつも尻尾を盛大に振って散歩を歓迎した。
寺に向かう道をぐいぐいと進むコニーに、体重では数倍もある辰雄が引っ張られながら歩いた。

ある日はあいつの方が早く来ていて辰雄の顔を見るなり秋田犬の引き綱を解いてコニーにけしかけた。ある日は辰雄の方が先に着き、もう今日は来ないだろうとホッとして帰ろうとするとものすごい勢いで秋田犬が走り寄ってきた。
辰雄は雨の日も行かなければならないかと思っていたが、さすがに家族に不審がられると思い不安な気持ちを抱きながらも散歩には行かなかった。


5日ほど経った頃、それまで無かったのが不思議だが、学校であいつに出くわした。

校舎の3階にある音楽室から戻る途中だった。その日辰雄は当番でみんなの使った楽器を倉庫に片付け黒板を清掃してから最後に教室を出た。
偶然なのか何か用事があったのか分からないがあいつも一人だった。辰雄は嫌な予感がした。その場をすぐに立ち去りたかったが階段はあいつの向こうだ。

仕方なく歩き出した辰雄に気付いたあいつはニヤリとして廊下の中央にに立っていた。辰雄が表情を殺して通り過ぎよとうするとあいつは辰雄の正面に回り込むように立った。












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