僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

ケータイ小説「パトスとエロス」⑧

2008年10月14日 | ケータイ小説「パトスと…」
他の教師はみんなハズレだ、どう考えてもカスばかりだ。

ある日クラス担任の長谷川先生はホームルームでこんなことを言い出した。
何がきっかけだったか思い出せないが、唐突だったことは確かだ。

「辰雄の親父さんに道でこないだ会ったぞ、何か下向いてよぼよぼ歩いてたけど随分年とったな、大丈夫か?」

みんなはくすくすと笑った。辰雄もつられて笑ったが、後になって笑ったことを後悔した。一緒に笑ったことで自分も父親を侮辱したことを恥じた。
あの時、あんたの方がよぼよぼだろ、と言い返せなかったことが悔しかった。


夏の日、突然の激しい夕立、校庭はあっと言う間に湖のようになりグラウンドにあふれた水が花壇や鉄棒や朝礼台の隙間を通り、側溝に渦潮のごとく流れ込む。

空のどこにそんな量が蓄えてあったのか、大粒の雨がなおも落ちて来る。水面に激突した水滴はそのまま水面にめり込み、代わりに今そこにあった水が王冠のように弾き飛ばされる。王冠は一瞬のうちにその命を終え、それが存在したことを証明する波紋を、これも一瞬だが残す。
波紋はどのくらい広がるのか見ている暇も無く次から次へと出現消滅を繰り返す。
単純なこの景色がどうしてこんなに魅力的なんだろう。


「神山!そんなに外が見たいんなら外行っていいぞ。」

教師の大声が突然飛んで来て教室中が凍りついた。













画像拝借先です。http://www.amino-town.jp/shiryokan/annnai/annnai.htm

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