僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

「パトスとエロス」 ラブレター

2008年11月22日 | ケータイ小説「パトスと…」
「留美子さん、僕は…」

そこまで書いて後が出てこない。

「愛しています」じゃぁ大袈裟すぎるし
「好きです」なんて書いたら「好きです好きです♪よーしーこーさーん!」なんてギャグにされてしまうに違いない。

「いつも想っています」「お慕いしています」違う違う。
一緒にいると嬉しい気持ちだってことを言いたいんだ。

ふたり黙って手をつなぐんだ。互いの瞳の奥に何があるのか知りたくてミツメアウンダ。ある日突然そんなふうになりたいんだ。真顔になってうつむく君を気遣うフリしてほほにそっと口づけしたいんだ。

どこかで聴いたことのあるメロディが次から次へと浮かんできた。

真っ白な便せんにうっすらと透けている罫線をペンでなぞってみた。まっすぐな直線にならなかった。何回か描いても震えてしまったり歪んでしまったり、注意深くなりすぎて滲んでしまったりした。便せんを取り替えて下敷きの罫線を縦にしてみた。横書き以上に難しい事が分かった。

線のないところに「永」の字を書いてみる。
点・ハネ、メリハリのあるいい字が書けた事に満足した。
万年筆はすごい。ペン先のしなやかさに改めて驚き、黒にはないブルーブラックの気品に感動した。


しかし肝心の言葉は何も出てこず、目についた本のタイトルやオバQの絵を何度も描いたりした後「永遠の愛」と清書して辰雄の手紙計画は終わりを告げたのだった。
















コメント
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