「由香ったらブスだって自分で言ってるくせして藤本君が好きなんだって-、きゃー」
「平野さんなんて告っちゃったらしいわよ、きゃー」
「藤本君って絢香とラブラブなの知らないのかなぁ、きゃー」
他愛のない女子達の騒音の中で、ポケットからベビースターを取りだした長池がボリボリ食いながら話しかけてきた。
「それでさ、辰雄は誰なん」
「俺はべつにいねぇよ」
「んだよ、言えよ」
「お前は留美ちゃんだよな」
「あぁチューしてぇ」
「ばーか」
「それよかお前だよ、早く言えよ」
「めぐみちゃん!」
「テレビとかじゃなくてさぁ3組のやつで」
「一美さんだよ」
「かずみ?誰それ、3組じゃねぇの?」
辰雄は言えなかった。
本当は辰雄も留美子が好きだったのだ。
深夜放送で流れたラブミーテンダーを聴きながらテンダーの意味を知らなかったことに気付いた。辞書を引きプレスリーの太く甘い歌声の意味を知った時、留美子の姿が浮かんだ。
ノートに留美子と書いてあわてて消した。消してもうっすらと後が残っているのが気になって強く擦っているうちにノートがクシャクシャになってしまった。結局そのページは破り小さく堅く丸めて捨てた。
「いっこ上にいるだろバレー部の女子、ほらセッターやってる」
「あぁあぁ分かった、清水一美な。えーーーっ?本当かよ」
「えへへっ、誰にも言うなよ」
辰雄は長池に念押ししたが、多分数日中に皆に知られてしまうだろうことを知っていた。
その時はそれでもいいと思った。長池が公言している留美子を自分も好きなのだとは言いたくなかったし、それを言って留美子に知れてしまうのが恥ずかしかった。
「平野さんなんて告っちゃったらしいわよ、きゃー」
「藤本君って絢香とラブラブなの知らないのかなぁ、きゃー」
他愛のない女子達の騒音の中で、ポケットからベビースターを取りだした長池がボリボリ食いながら話しかけてきた。
「それでさ、辰雄は誰なん」
「俺はべつにいねぇよ」
「んだよ、言えよ」
「お前は留美ちゃんだよな」
「あぁチューしてぇ」
「ばーか」
「それよかお前だよ、早く言えよ」
「めぐみちゃん!」
「テレビとかじゃなくてさぁ3組のやつで」
「一美さんだよ」
「かずみ?誰それ、3組じゃねぇの?」
辰雄は言えなかった。
本当は辰雄も留美子が好きだったのだ。
深夜放送で流れたラブミーテンダーを聴きながらテンダーの意味を知らなかったことに気付いた。辞書を引きプレスリーの太く甘い歌声の意味を知った時、留美子の姿が浮かんだ。
ノートに留美子と書いてあわてて消した。消してもうっすらと後が残っているのが気になって強く擦っているうちにノートがクシャクシャになってしまった。結局そのページは破り小さく堅く丸めて捨てた。
「いっこ上にいるだろバレー部の女子、ほらセッターやってる」
「あぁあぁ分かった、清水一美な。えーーーっ?本当かよ」
「えへへっ、誰にも言うなよ」
辰雄は長池に念押ししたが、多分数日中に皆に知られてしまうだろうことを知っていた。
その時はそれでもいいと思った。長池が公言している留美子を自分も好きなのだとは言いたくなかったし、それを言って留美子に知れてしまうのが恥ずかしかった。