だからといって辰雄の思いが消えてしまったのではない。
書くのがだめなら直接言えばいいじゃないか。
普段のノリでおしゃべりをし、チャンスをみて「オレ本当は留美子が一番好きだよ」と告白してしまえばいいのだ。
それがいい。
それがいいと決めると気が楽になった。
手紙が書けなかった辰雄はモンブランに付いている指紋を東レのメガネ拭きで丁寧に拭うと再び引き出しの奥にしまい込み窓を開けた。
夜の静かで冷たい空気が頬に気持ちよかった。
それなら明日にでもできそうな気がした。
けれど一週間経っても二週間経ってもチャンスは一向に訪れなかった。
留美子の回りにはいつも誰かしら友達がいてワイワイとおしゃべりをしていた。
たまに留美子が独りの時には辰雄の回りに仲間がいて、どうでもいいことを勝手にしゃべりまくっていた。
留美子をちらちらと横目で見ながらチャンスを伺っていたが、じゃぁなと言って仲間が去った時、留美子はもうそこにいなかった。
学校からの帰り道、偶然留美子の後ろ姿を見つけて声をかけると、
「あっ辰雄君、丁度良かった、男子達のことなんだけどさ…」
と一方的にしゃべられ何も切り出せなかったりした。
書くのがだめなら直接言えばいいじゃないか。
普段のノリでおしゃべりをし、チャンスをみて「オレ本当は留美子が一番好きだよ」と告白してしまえばいいのだ。
それがいい。
それがいいと決めると気が楽になった。
手紙が書けなかった辰雄はモンブランに付いている指紋を東レのメガネ拭きで丁寧に拭うと再び引き出しの奥にしまい込み窓を開けた。
夜の静かで冷たい空気が頬に気持ちよかった。
それなら明日にでもできそうな気がした。
けれど一週間経っても二週間経ってもチャンスは一向に訪れなかった。
留美子の回りにはいつも誰かしら友達がいてワイワイとおしゃべりをしていた。
たまに留美子が独りの時には辰雄の回りに仲間がいて、どうでもいいことを勝手にしゃべりまくっていた。
留美子をちらちらと横目で見ながらチャンスを伺っていたが、じゃぁなと言って仲間が去った時、留美子はもうそこにいなかった。
学校からの帰り道、偶然留美子の後ろ姿を見つけて声をかけると、
「あっ辰雄君、丁度良かった、男子達のことなんだけどさ…」
と一方的にしゃべられ何も切り出せなかったりした。